【東京都渋谷区の会計事務所】中川 尚税理士事務所 税理士 中川 尚 (東京税理士会 渋谷支部所属) |
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スピーチ集(中小企業経営のヒント)31キャラクタービジネスの可能性 昨今、ゆるキャラブームが世間を賑わせており、テレビで見ない日はありません。現在は熊本県のマスコットくまもんグッズが飛ぶように売れています。このようなキャラクタービジネスは、中小企業にとって新しいビジネスチャンスとなり得るのか、その可能性を検証します。 1.背景 熊本県によると、県のPRキャラクター「くまモン」関連商品の2012年の売上高が、少なくとも前年比11.5倍の293億円に達したと発表されました。売上高は使用許諾を受けた2112業者のうち1172業者が回答した売上の合計額とのことなので、実際にはそれ以上でしょう。使用許諾件数も8000件を超え、勢いは止まりません。 何も変わらない同じ商品が、くまモンのデザインを利用するだけで売れ行きが3割増しにもなり、平均で1社あたり2500万円もの恩恵を受けていると言われています。 この背景にあるのは、商標使用の無料化にあります。無料なので商品化しやすく、他のコンテンツとは違って中小企業にも参入する余地があるのです。 自治体にとっても、観光客の誘致などによって税収アップが期待でき、自治体の儲け分を地元企業や商店に還元するしくみになっていて、地域の活性化も図っています。 2.他のゆるキャラビジネスとその比較 「くまモン」の叩きだした売上293億円を過去のゆるキャラの売上と比較すると、 彦根市の「ひこにゃん」の、2008年の関連商品の売上高が約10億円。 奈良県の「せんとくん」の、2009年のライセンス契約額が12億円。 となっており、いかに「くまモン」の経済効果が大きかったかがわかります。 「ひこにゃん」に関しては、2010年から使用許諾料を徴収するようになり、申請数は半減しましたが、売上の3%のロイヤリティを自治体が徴収するため、年間約2000万円の収入が入る計算になります。奈良県であれば、単純計算で年間約3600万円の収益が見込めます。 キャラクターはデザイン料と著作権料込みで、約10万〜30万円程度で自治体が買い取り、以降のロイヤリティは全て自治体の儲けとなります。 3.課題 ここまで見てくると、ゆるキャラビジネスは非常に魅力的に見えるかもしれませんが、ヒットになるゆるキャラはほんのひと握りです。ヒットの流れに乗れた企業が集中すれば、その恩恵を得ることも可能ですが、そこまでヒットするキャラクターは限られているため、いかに使用許諾料が無料だからと言って必ずしも成功するわけではありません。 自治体も、維持費やPR費用、初期の導入コストなどを考えると、必ずしもヒットするわけではないので、なかなか商標を無料で提供する余裕のある自治体は多くありません。 さらに、賞味期限が短いことも多く、注目されたとしても普遍的な人気を得るキャラクターとなると、有力な有料キャラクターに限られます。そのため、導入コストがかさめば当然赤字にもなり得ます。 その意味で考えると、キャラクタービジネスを継続的に安定して成功させていくことは難しく、自社の商品の売上を伸ばすためには、キャラクターによる追い風を利用することよりも、本来の商品力に磨きをかけることが大前提であることを重々わきまえておく必要があると言えるでしょう。 |
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