使用する場面を間違えない

 

「マルちゃん鍋用ラーメン」には、半なま乾燥麺が使用されている。

通常の生麺タイプの麺は、麺同士がくっつかないように打ち粉を使用しているが、半なま乾燥麺は表面が乾燥しているので打ち粉が必要ない、東洋水産の差別化された商品だ。

そのため調理する際、スープとは別の鍋で麺をゆでて打ち粉を落とす必要もなく、直接スープの鍋に入れることが可能だ。

東洋水産は当初この麺を使って、「鍋ひとつで本格的な生ラーメンがつくれる」というキャッチフレーズで商品を発売したが、麺を直接スープの鍋に入れることができるということの価値を消費者に伝え切れず、販売は思うように伸びなかった。一般の家庭には鍋やコンロが複数ある訳で、1つの鍋で調理できなくてもそれほど不便はないということだ。

 

しかし、東洋水産のその後の取り組みが興味深い。半なま乾燥麺を鍋料理の〆に使用する商品としてリニューアルし発売した。通常の麺なら鍋料理のしめに使うには、誰かが食事中断し麺をゆでる作業しなければならないならないが、半なま乾燥麺なら直接鍋に投入できるので誰かが食事を中断する必要もない。使用する場面を変えることで、麺を直接スープの鍋に入れることができるとうことの価値を見事に消費者に伝えることができた。