【東京都渋谷区の会計事務所】中川 尚税理士事務所 税理士 中川 尚 (東京税理士会 渋谷支部所属) |
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スピーチ集(中小企業経営のヒント)33限定正社員制度の可能性 「限定正社員」とは、政府が成長戦略のひとつとして推進している制度で、主に「場所・時間・職種」を制限して働く正社員のことをいいます。働き手にとっては、多様な働き方を可能にし、雇用者にとっては、人材流出を防いで採用コストや教育コストを抑制できます。ただその反面、解雇されやすくなるのではと懸念されています。是か非か、中小企業の立場から実態をみていきます。 1 実態 2011年度の厚生労働省の資料によれば、従業員300人以上抱える企業1987社のうち、半数を超える51%の企業では、既に「場所・時間・労働」のいずれかを限定した雇用契約を結んでいるという回答が示されました。明確な法制度はないまま、雇用の多様性をめぐる動きは活発化しているのです。 「時間」を制限する労働契約の場合は、企業によって制限する条件はさまざまですが、基本給を時給制を採用し、賞与も何割かを減額して支給する契約が多く、職務に関しては正社員と同等に評価するといったスタイルがオーソドックスなようです。 「場所」を制限する労働契約は、紳士服販売のタカキューを例にみます。タカキューでは、自宅から1時間半圏内の勤務地で働ける「地域限定社員制度」を導入しており、勤務地を制限できる代わりに、給与は基本給が15%減額されます。基本は地域限定社員として採用され、入社後の実績に応じて正社員登用の試験が行われるとのことです。 いずれにしても、正社員を雇用するよりは人件費を抑えつつ、非正規労働よりは経験が蓄積されやすい構造には期待できます。 2 企業側のメリット・働き手側のメリット 企業側のメリットとしては、単純に人件費の削減を行えるだけではなく、働き手のニーズに合わせることで離職率を低く抑えることで、採用コストや社員育成にかかる教育コストも抑えることができます。そのため、人材の流出を抑えられ、仕事の質は落とさずに済みます。同じ売上でも利益の出やすい体質になることが期待できます。 働き手のメリットとしては、場所と時間を限定できるので、賃金は抑制されても仕事を続けられる点は最大のメリットといえます。長期的に働ければ職種の経験も積みやすくなります。また、非正規雇用者と正社員の中間的なポジションが明確になることで、正社員への道筋ができたことで社員のモチベーションの向上にもつながります。 3 課題と展望 雇用の流動化が図られる点は確かにメリットですが、世代間の所得格差が解消されるかは疑問です。長年勤めるようなベテラン社員の賃金は高額なケースが多く、理由なく解雇もできないため固定的です。 逆に、部署や勤務地がなくなれば解雇できるのであれば、それを理由に必要のない社員を削ろうとする企業も当然増えることになるでしょう。 経営者目線でみれば、人件費をコントロールしやすくなるということは、売上は変わらなくても利益を出しやすくなります。人材の流出が防げれば、社内のノウハウも蓄積できます。解雇は働き手にとっては死活問題ですが、利益の出る企業が増えれば雇用の機会も増えます。表裏一体の関係です。 |
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