クラウドソージング−株式会社ランサーズ（Lancers）

 

クラウドソージングという言葉をご存じでしょうか。

これまで社外に仕事を依頼する場合、アウトソージングという手法は多く行われてきました。

アウトソージングが特定の取引先に外注するのに対し、クラウドソージングでは、不特定多数の相手に仕事を依頼するビジネスモデルをいいます。Yahoo！やパソナといった大手も参入に乗り出すなど、今後飛躍的に発展する可能性を秘めた業界といえます。

今回はその中で、株式会社ランサーズという企業に着目します。

 

１．事業内容

ランサーズ（Lancers）とは、仕事をしたい人と、仕事を依頼したい人とを、ネット上で仲介して、直接仕事の取引ができる、いわゆるマッチングサイトです。

主な事業は、ロゴ製作や社名の考案、システム開発からデータ入力まで、ネット上で行えるあらゆるサービスについて、発注者と受注者の仲介する場を提供しています。

これまでは働けなかった主婦たちが労働市場に参入する動きも見られ、今後、労働力人口の減少が懸念される中、人材活用の新たなカタチを模索している動きが注目されマスコミでも取り上げられています。

創業は2008年、2012年にランサーズ株式会社と称号を変更しました。

 

２．特徴

ランサーズでは、お互いに対面することなく、匿名で仕事を受発注が行われ、ネット上でのやりとりで仕事がすすみます。ただし、匿名とはいえ、登録の際には発注者も受注者も、免許証等での本人確認、仕事評価システムを導入するなど、取引の信頼性を向上させています。

売りとしては、依頼者にも受注者にもWIN-WINの関係を築くことを売りにしています。

依頼者のメリットとしては、これまで外部委託しづらくて外注できなかったような単純な入力作業でも、安く、スピーディに対応できる点です。急な依頼でも、多くの受注者（ランサー）が登録しているので、対応が可能になります。また逆に、自社では行えない大がかりなWeb関連のサービスについても、希望価格で発注ができます。

請負側のメリットとしては、システム開発といった高度な依頼から簡単なデータ入力まで、さまざまなカテゴリーの中から、得意分野の仕事を選べるのが魅力です。また、自分の能力やレベルに見合った仕事を好きな時間帯に探すことができるため、育児のために働けない女性などには、新しい雇用の場となり得ます。

 

３．課題

課題としては、経験や実績が重視されるため、初心者は仕事を獲得するのが難しい。

また、安く発注できる半面、受注者のレベルによっては逆に手間がかかり、ミスマッチがあることが挙げられる。

このような課題に対しては、まだ実績のない受注者のために、コンペ方式と呼ばれる方式が設けられ、実績のない分野であったとしても、受注金額を下げることで、仕事を獲得できるしくみを作っている。

 

４．構造

○ランサーズでは、クライアント・ランサー双方の保護のため、エスクローサービスを行っている。

エスクローサービスとは、仕事の報酬を、仕事を行う前に預かり、完了した段階でランサーズから受注者に手数料を差し引いた報酬が支払われる仕組み。

一旦報酬を預かることで、決済の際のトラブルを防止し、かつ、会社の売上も確保できるのです。

○価格設定については下記の通りになっています。

依頼金額　　　　　利用手数料

20万円超部分　　　　5%

10〜20万円部分　　 10%

10万円以下部分　　 20%

 

（2008〜2013年2月12日現在）

依頼 107,449件

提案 1,775,220件

ランサー 118,740人

流通金額　5,920,981,723円

 

５．まとめ

受・発注者を引き合わせる新しいモデルによって成長はしているものの、このようなネット企業では多くみられるように、大手が参入してきた場合のリスクを常に考えていく必要があります。新しい分野であることから、まだまだ成長の余地は残されているはずですから、いかにスムーズにこれからも発展していけるかがカギとなるでしょう。