「手元資金」

 

　「明日支払いに充てる現金が無い」どんなに利益の出ている企業でも、どんなに優秀な社員のいる企業でも、資金繰りに行き詰ると企業は倒産してしまいます。一時期「黒字倒産」という言葉が注目を浴びたこともありましたが、このような資金がショートする状況を防ぐためには、将来の資金の収入・支出の時期及び金額をあらかじめ把握し、資金の出入りを主体的にコントロールすることが重要です。そのために資金繰り表の作成が有効です。

　また実際に手元資金、中小企業でしたらほぼ預金残高ともいえるのでしょうが、手元資金の有高を高めることによって、日々資金繰りに追われて本来の業務に集中できなくなることを避けることができ、気持ちの余裕にもつながります。手元資金の目安は一般的に、大企業は月商の１ヶ月分、中小企業は月商の１から２ヶ月分と言われています。

 

　では実際に資金繰りを改善するには、どのような方法があるのでしょうか。

　・売掛金の回収サイト管理

　売掛金が回収サイト通りに回収されているか、回収チェックを怠っていると、知らない間に取引先が経営不振に陥っていた又は倒産していたなどということもになりかねません。

　また、回収サイトの見直しや、特に大口入金日のチェックも重要になります。

　・余剰在庫の見直し

　在庫が無いと注文を受けたときに引渡すべき商品が無く商売になりませんが、一方、余剰在庫は売れれば資金となりますが、売れないものは陳腐化や劣化により商品価値の下落につながり、保管しているだけで、倉庫代や保管料等の経費もかかります。

　・過大な設備投資

　設備投資に費やした資金は、設備投資をした後の売上により回収していくこととなります。順調に売上が伸びれば問題はありませんが、この御時勢全てが計画通りに進むとは限りません。借入により設備投資をした場合は、借入の返済が発生しますが、借入返済を売上でカバーできなくなり、新たな借入で返済していく状況は避けなければなりません。

　地道な経費削減を続けていくなどの策を講じていくことにより、結局は無理・無駄の無い経営へとつながっていきます。