世界のコミンテルン型共産党=赤色生命体の誕生・死滅・残存
死に方・死亡診断書レベルの4パターン
生き残り5=赤色生命体1+赤色テロル型生命体4の死期展望
(宮地作成)
〔目次〕
1、世界のコミンテルン型共産党=赤色生命体の誕生・死滅・残存
1、1917年〜19年、赤色テロル型生命体・資本主義世界での赤色生命体の誕生
2、1989年〜91年、赤色テロル型生命体10・赤色生命体無数の同時死滅
3、21世紀、コミンテルン型共産党5つの残存−赤色テロル型生命体4・赤色生命体1
3、赤色テロル型生命体・赤色生命体のドミノ的連鎖死滅回避必死作戦
4、生き残り5=赤色生命体1+赤色テロル型生命体4の死期展望
1、マルクス・レーニンのプロレタリア独裁理論・体制と大量殺人犯罪結果
2、資本主義世界唯一の生き残り赤色生命体=日本共産党の死期展望
3、生き残り赤色テロル型生命体=党独裁・党治国家4つの死期展望
〔関連ファイル〕 健一MENUに戻る
wikipedia『プロレタリア独裁』
大藪龍介『小論文→マルクスカテゴリー事典→プロレタリア独裁』
ニコラ・ヴェルト『ソ連における弾圧体制の犠牲者』
ブレジンスキー『大いなる失敗』犠牲者の数
塩川伸明『「スターリニズムの犠牲」の規模』粛清データ
中野徹三『「共産主義黒書」を読む』クルトワの推計−約1億人を殺害
ニコラ・ヴェルト『共産主義黒書』「第2章・プロレタリア独裁の武装せる腕(かいな)」
1、世界のコミンテルン型共産党=赤色生命体の誕生・死滅・残存
政党とは、水の惑星上の無限大数の生命と同じく、生命体の一つである。そして、コミンテルン型共産党とは、赤色生命体である。なかでも、国家を所有した党独裁・党治国家の14政党は赤色テロル型生命体だった、である。ほとんどが死亡した中で、生き残り赤色生命体は5つだけになった。
21世紀現在、残存するのは、(1)党独裁・党治国家を所有する一党独裁政党=中国共産党・ベトナム共産党・キューバ共産党・朝鮮労働党という赤色テロル型生命体4つである。それと、(2)国家を所有していない日本共産党である。日本のコミンテルン型共産党は、資本主義世界で唯一生き残っている赤色生命体である。それらの現状と展望を検証する。
〔小目次〕
1、1917年〜19年、赤色テロル型生命体・資本主義世界での赤色生命体の誕生・出産
2、1989年〜91年、赤色テロル型生命体10・赤色生命体無数の同時死滅
3、21世紀、コミンテルン型共産党5つの残存−赤色テロル型生命体4・赤色生命体1
1、1917年〜19年、赤色テロル型生命体・赤色生命体の誕生・出産
レーニンは、1917年、単独武装蜂起・単独権力奪取クーデターにより、党独裁・党治国家を産み出した。ソ連クーデター国家単独では生き延びられないことをレーニン・トロツキーは熟知していた。それには、ドイツ革命を勃発させるしかない。その目的で、世界中に革命を輸出するコミンテルンを、2年後1919年に創設した。
ドイツ革命挫折後、レーニンの党独裁・党治国家が単独で生き残るには、赤色生命体→赤色テロル型生命体に変質せざるをえなかった。その単独期間は、1917年から、1945年まで続いた。スターリンは、ベルリン突入と同時に、ソ連軍戦車とモスクワ帰り共産党員とともに、東欧9カ国を占領した。それにより、党独裁・党治国家という赤色テロル型生命体は、東欧・ソ連10カ国に拡散した。
1945年、スターリンは、日本敗戦と同時に、ソ連軍中尉だった抗日パルチザンに「金日成」と名乗らせ、ソ連軍戦車とともに、北朝鮮に送り込んだ。これで、赤色テロル型生命体は11カ国になった。
その後、中国・ベトナム・キューバが、反植民地闘争・内乱を経て、党独裁・党治国家になった。党独裁・党治国家は、その体制維持・強化から、必然的に赤色テロルを必需品とした。これで、赤色テロル型生命体は、14カ国を占拠した。コミンテルンを通じ、赤色生命体は、コミンテルン各国支部として全世界での出産が相次いだ。
資本主義体制からの脱出を熱望する世界数千万〜数十億人にとって、党独裁・党治国家という赤色テロル型生命体は、その赤色テロル実態が隠蔽されていたので、理想のイメージ・国家となった。加藤哲郎の調査によれば、東方の島国からも、28人が、ソ連に亡命した。スターリンの逮捕から釈放されたのは、野坂参三妻の野坂竜一人だけだった。他は、すべて銃殺・強制収容所送り・行方不明になった。
加藤哲郎『旧ソ連日本人粛清犠牲者一覧』 加藤HP
2、1989年〜91年、赤色テロル型生命体10・赤色生命体無数の同時死滅
1989年〜91年は、世界史的に激動の年だった。3つの面で、レーニンが産み出した赤色生命体が同時に死滅した。
〔死滅パターン1〕、1989年、東欧革命により、9カ国の赤色テロル型生命体が消滅した。
〔死滅パターン2〕、1991年、ソ連国家とソ連共産党という赤色テロル型生命体がいなくなった。その寿命は75年間だった。
〔死滅パターン3〕、その同時期、ヨーロッパの赤色生命体=各国のコミンテルン型共産党が崩壊した。大転換・解党・自然消滅など崩壊パターンは様々だった。
これらが、同時に起きた世界史的現象であることは、あまり知られていない。
『コミンテルン型共産主義運動の現状』ヨーロッパでの終焉とアジアでの生き残り
『イタリアで共産主義諸政党が国会議席全滅』08年総選挙141議席→0議席結果と原因
3、21世紀、コミンテルン型共産党5つの残存−赤色テロル型生命体4・赤色生命体1
21世紀、コミンテルン型共産党は5つが残存している。コミンテルン型共産党とは、1919年レーニン創設で、レーニン型革命路線・組織原則・体質を現在も堅持している政党を指す。組織原則・体質の基本内容は、(1)民主主義的中央集権制・(2)分派禁止規定・(3)上意下達型の軍隊的規律である。
4つは、党独裁・党治国家を所有する一党独裁政党=中国共産党・ベトナム共産党・キューバ共産党・朝鮮労働党という赤色テロル型生命体である。他1つは、非権力で国家を所有していない日本共産党という赤色生命体である。ただ、日本共産党は、レーニンの暴力革命路線の放棄だけを明言した。
日本の知識人・ジャーナリストたちは、日本共産党がレーニン型路線を放棄したと騙され、錯覚している者が多い。それは、宮本・不破・志位らが、コミンテルン型共産党の諸原則を、隠蔽・訳語変更などの手口で堅持している欺瞞に騙されているからである。
資本主義世界において、他に共産党名を名乗っている政党が2つ残存する。しかし、フランス共産党・ポルトガル共産党とも、レーニン型基本原則のほとんど、または1つの放棄を党大会で宣言しているので、コミンテルン型共産党とは言えない。しかも、党勢力・国会議員数も激減している。フランス共産党などは、ピーク党員71万人から、2012年公表10万人→2013年2月現在公表13万人に激減し、機関紙「ユマニテ」も激減し、崩壊寸前である。
プロレタリア独裁放棄、民主主義的中央集権制放棄、M・L主義放棄
ポルトガル共産党の経緯と現在−民主主義的中央集権制堅持』
2党とも、共産党・共産党員だけが、科学的真理を認識・体現でき、それができない他党派・労働者に真理を注入できるとするレーニンの「外部注入論」といううぬぼれたエリート犯罪理論に呪縛されているだけである。
「外部注入論」とは、レーニンが唱えた。それは、「(1)レーニン型前衛党だけが真理を認識・体現・遂行できる。(2)他党派は、いくら社会主義を掲げようとも、真理を認識・体現できない。(3)労働者にたいしては、共産党員が外部からマルクス主義真理を注入しなければ、社会主義理論に到達しない」とする独善的なうぬぼれた差別理論である。このような排他的国民差別理論を構築し、全世界に広めたレーニンとは何者なのか。
2013年現在、東方の島国でのみ生き残っている党費納入21万党員も、レーニンの排他的国民差別の犯罪理論に犯されている。彼らの本質は、志位・市田・不破という党中央は正しいと信仰する赤色新興宗教信者である。
2、死んだ赤色生命体の死に方・死亡診断書レベルの3類型
死んだ赤色生命体の死に方・死亡診断書には、3つの類型がある。死亡診断書レベルとは、赤色生命体が死んだときの死因・死亡経過などの総括文書レベルを意味する。赤色テロル型生命体4つ+赤色生命体1つを除く、全世界の赤色テロル型生命体・赤色生命体が死滅してしまった現在、その死期・死因・死亡経過などの総括文書レベルを検証することは意味がある。
ただ、資本主義世界における赤色生命体といっても、ここでは国会議席を持つ政党だけに限定する。国会議席がない赤色生命体は、アメリカ共産党など、まだ他に残存している。インド共産党は、国会議席をもっているが、党内外情報不足で、省略する。
〔死に方類型1〕、きわめて具体的な総括→大転換、または、途中経過総括
これは、イタリア共産党→左翼民主党→民主党への大転換しかない。ただし、詳細は、ほぼ大転換時期に限られている。
『イタリア左翼民主党の規約を読む』添付・左翼民主党規約
〔死に方類型2〕、死期・死亡直前経過などは分かるが、死因総括なし。不明のまま消滅
資本主義諸国のコミンテルン型共産党で、赤色テロル型生命体と同時期に崩壊または消滅した。しかし、イタリア共産党以外で、死因総括をした共産党はなかった。
〔死に方類型3〕、国民決起・革命による死亡直前経過は分かるが、党内死因は不明
1989年東欧革命は、国民決起・革命により赤色テロル型生命体を死滅させた。国民決起の状況は報道された。しかし、党内の腐敗・崩壊状況については、分からないままだった。
3、赤色テロル型生命体・赤色生命体のドミノ的連鎖死滅回避必死作戦
レーニン創設のコミンテルン型共産党が、いっせい崩壊した嵐の風圧は、他の生き残った赤色テロル型生命体と赤色生命体にたいし、すさまじい勢いで襲い掛かった。それらは、ドミノ的連鎖死滅の恐怖に怯えた。彼ら指導者は、連鎖死滅を回避しようと、必死でもがいた。
赤色テロル型生命体では、中国共産党・ベトナム共産党・キューバ共産党と朝鮮労働党という4つが生き残った。ただ、従来の政治・経済システムのままでは、ドミノ的連鎖死滅をすることが目に見えていた。
〔ケ小平からの中国共産党と、ベトナム共産党〕
これら2党は、(1)経済システムにおいて、国有化を減らし、大幅に資本主義的市場経済を取り入れた。それは、マルクス・レーニン主義の社会主義原理に反する資本主義経済への逃亡だった。(2)政治システムをまったく変えなかった。党独裁・党治国家システムを堅持した。
その大転換により、党独裁・党治国家の生き残り策とした。2党は、その折衷的転換を、「社会主義市場経済」とごまかした。一党独裁下の国民要求を一定範囲だけ満たすことで、なんとか生きながらえている。
〔金日成→金正日→金正恩の朝鮮労働党〕
ここは、党独裁・党治国家の犯罪システムと国民監視を一段と強化することで、必死にもがいている。
〔宮本→不破→志位の日本共産党〕
資本主義国のコミンテルン型共産党では、日本共産党だけが赤色生命体として生き残った。東欧革命・ソ連崩壊の嵐は、当然、東方の島国にも吹き荒れた。その結果。党員約10万人が離党した。宮本顕治も、ドミノ的連鎖崩壊の恐怖に怯えた。彼は、朝鮮労働党と同じく、党内規律を強化することで切り抜けようとした。「東欧問題で腰を抜かす者がいる」と叱咤した。「安心立命の境地に立て」と宗教用語まで持ちだして、離党を食い止めようとした。
ヨーロッパ・東欧・ソ連からはるか離れた東方の島国の距離感は、赤色テロル型生命体の党内犯罪データ・人権侵害・経済停滞などのマイナス情報が、生のままで伝わることを弱めた。日本共産党は生き残った。それだけでなく、21世紀になっても、「レーニン神話」の信者が、党費納入21万党員として、志位・市田・不破という3人独裁者にたいし、党費納入をしている。ただ、志位和夫は、(1)第25回大会党員数40.6万人→(2)2012年31.8万人と激減を報告した。それは、真っ赤なウソである。→(3)実質的には、党費納入党員数は21万人しかいない。
〔データ4〕、12年7月・13カ月間連続「大運動」+8月末結果が証明する衰弱死進行
(党員数のウソ)=31.8万人でなく→8月3日秘密報告の実質党員数21万5922人
(支部数のウソ)=2万支部でなく→3月20日赤旗の実質支部数1万5158支部
(読者数のウソ)=130万人でなく→12年9月1日赤旗の実質読者数126万5210人
4、生き残り5=赤色生命体1+赤色テロル型生命体4の死期展望
〔小目次〕
1、マルクス・レーニンのプロレタリア独裁理論・体制とその大量殺人犯罪結果
2、資本主義世界唯一の生き残り赤色生命体=日本共産党の死期展望
3、生き残り赤色テロル型生命体=党独裁・党治国家4つの死期展望
1、マルクス・レーニンのプロレタリア独裁理論・体制とその大量殺人犯罪結果
レーニン創設のコミンテルン型共産党=赤色生命体は、1917年単独権力奪取クーデター・1919年コミンテルン結成以降、全世界で誕生した。そのほとんどが、1991年、ソ連共産党という赤色テロル型生命体75歳死亡とともに死滅した。21世紀現在、生き残っているのは、日本における赤色生命体1つと、4カ国における赤色テロル型生命体4つだけに減った。
今後、資本主義世界において、国会議席を持つレベル赤色生命体が誕生する見込みは皆無であろう。ましてや、党独裁・党治国家を所有するような一党独裁政党・国家=赤色テロル型生命体が出現することはありえない。ベネズエラ大統領は、社会主義と唱えていた。しかし、その体制・政党は、コミンテルン型共産党と本質的に異なっている。
マルクスは、資本主義体制から社会主義体制へ移行するのは、歴史的必然的法則と唱えた。全世界の赤色生命体・その党員が、私を含め、その「科学的社会主義」理論を信仰した。世界中に、マルクス・レーニン主義教団が生み出された。それは、強大な新興宗教にまで昇華した。しかし、その予言はまるで当っていなかった。
彼の資本主義システム分析や史的唯物論のどこかに、根本的な錯誤があった。彼の唯物論には、2種類がある。
(1)、マルクスの弁証法的唯物論は、ヘーゲル哲学を受け継いだ。「否定の否定」「止揚・アウフヘーベン」などが有名である。これは、抽象的哲学なので、一定の有効性を保持している。
(2)、マルクスの史的唯物論は、その「否定の否定」「止揚・アウフヘーベン」論理を、世界の歴史に当てはめたものだった。しかし、当時の世界史認識・レベルの制約を受けていた。自然科学におけるダーウィンの進化論の影響も受けていた。自然科学の進化論を、社会科学・歴史論にそのまま当てたと言われている。自然科学の進化論と、社会科学・歴史の進化スタイルは根本的に異なる。
マルクスの史的唯物論は、世界史認識論として、奴隷制→封建制→資本主義→社会主義に進化する過程を歴史的必然法則と唱えた。それは、世界史発展認識として、きわめて単純で単線的な発達史観だった。21世紀現在、事実と異なる誤った史観として見向きもされない。
マルクス・エンゲルスは『空想から科学へ』とし、空想的社会主義理論・理論家たちを批判・全面否定した。しかし、歴史の現実は、マルクス・レーニン主義理論も、空想的社会主義理論の範疇だったことを証明した。
それだけでなく、彼らの理論は、赤色テロル型生命体を産み出し、全世界で赤色テロルにより、数千万人を殺害する赤い怪物に成長した。(1)レーニンは、レーニン批判をするロシア革命・ソヴィエト勢力数十万人殺害、(2)スターリンは4000万人銃殺・粛清・強制収容所送り、(3)毛沢東も数千万人を殺害・餓死させた。(4)14の赤色テロル型生命体は、世界で約1億人を殺害したというフランスの研究者クルトワの推計もある。
ニコラ・ヴェルト『ソ連における弾圧体制の犠牲者』
ブレジンスキー『大いなる失敗』犠牲者の数
塩川伸明『「スターリニズムの犠牲」の規模』粛清データ
中野徹三『「共産主義黒書」を読む』クルトワの推計−約1億人を殺害
ニコラ・ヴェルト『共産主義黒書』「第2章・プロレタリア独裁の武装せる腕(かいな)」
マルクスのプロレタリア独裁理論は、政治・政党運動上の恐るべき犯罪理論だった。プロレタリア独裁概念は、(1)ブルジョアにたいする独裁+(2)プロレタリアートへの民主主義という両面を持つと宣伝された。レーニンは、1917年単独権力奪取クーデター後、コミンテルン結成において、プロレタリア独裁理論を「試金石」にグレードアップさせた。しかし、マルクス・レーニンとも、「独裁」概念は、本質的に、大量殺人是認志向を含んでいた。
レーニンは、理論レベルに留めず、大量殺人犯罪体制の理論的支柱に発展させた。実態として、(1)ブルジョアにたいする独裁=大量殺人だけでなかった。(2)、レーニンは、彼の根本的に誤った路線・政策にたいし、批判・反乱するロシア革命・ソヴィエト勢力数十万人殺害を肯定し、共産党員・チェーカーが推進する大量殺人犯罪是認理論に変質させた。
『「赤色テロル」型社会主義形成とその3段階』レーニンが「殺した」ロシア革命勢力の推計
『レーニンの大量殺人総合データと殺人指令27通』大量殺人指令と報告書
『「ストライキ」労働者の大量逮捕・殺害とレーニン「プロレタリア独裁」論の虚構』
大藪龍介教授の「プロレタリア独裁」項目担当・執筆内容
大藪教授は、『マルクスカテゴリー事典』(青木書店、1998年)において、「プロレタリア独裁」項目を担当・執筆した。その一部を次に抜粋する。〔マルクスのテキスト本文A B C〕と大藪論考「試金石としてのプロレタリアート独裁」である。マルクスは3カ所で書いただけだった。レーニンは、『レーニン全集』において、おびただしい個所で強調している。
大藪龍介『小論文→マルクスカテゴリー事典→プロレタリア独裁』項目全文
(1)、【テキスト】
A 「プロレタリアートは、ますます革命的社会主義のまわりに、すなわちブルジョアジー自身がそれにたいしてブランキなる名称を考えだした共産主義の周囲に結集しつつある。この社会主義は、革命の永続宣言であり、階級差異一般の廃止に……到達するための必然的な経過点としてのプロレタリアートの階級的独裁である」(『フランスにおける階級闘争』7-86)
B 「コミューンの組織がいったん全国的な規模で確立されたとき、おそらくその前途になお待っている災厄は、奴隷所有者の散発的な反乱であろう。それらの反乱は、平和な進歩の仕事をしばらく中断させはするが、社会革命の手に剣を握らせることによって、かえって運動を促進するだけであろう」(『フランスにおける内乱』第1草稿17-517)
C 「資本主義社会と共産主義社会とのあいだには、前者から後者への革命的転化の時期がある。この時期に照応してまた政治上の過渡期がある。この時期の国家は、プロレタリアートの革命的独裁以外のなにものでもありえない」(『ゴータ綱領批判』19-28〜29)
(2)、「試金石としてのプロレタリアート独裁」
プロレタリアート独裁は、レーニン主義とスターリン主義によって領導された20世紀マルクス主義のキーワードの一つであった。プロレタリアート独裁の承認をマルクス主義者であるか否かの試金石に設定したのは、レーニンであったが、爾来、プロレタリアート独裁は、マルクス主義理論の基礎中の基礎に据えられてきた。ところが、スターリン主義時代を経て、プロレタリアート独裁は一党支配の官僚専制国家を「マルクス=レーニン主義」的に偽装する用語となり、負の象徴に転化した。
大藪龍介『党内分派禁止と反対政党の撲滅。民主主義の消滅』1921年
ポルトガル共産党は、ソ連・ソ連共産党によるプロレタリア独裁理論の実践実態の検証にもとづいて、1974年12月、党大会で、ヨーロッパの共産党他党に先駆け、もっとも早く「プロレタリア独裁理論」を削除・放棄した。マルクス・レーニンのプロレタリア独裁理論・運動・体制とは、国家・社会・国民の民主主義・自由を抑圧し、大量殺人型犯罪システムだと断定した。この党は、フランス共産党と同じく、共産党名を残している。しかし、プロレタリア独裁理論という「試金石」の放棄宣言によって、もはや、コミンテルン型共産党でなくなっている。
2、資本主義世界唯一の生き残り赤色生命体=日本共産党の死期展望
資本主義世界において、生き残っているコミンテルン型共産党=赤色生命体は、日本共産党一つだけになった。日本共産党だけが、プロレタリア独裁理論の放棄宣言をしていない。ただし、姑息な訳語変更を繰り返し、この犯罪理論を隠蔽・堅持してきた。
宮本・不破による隠蔽・堅持・復活の手口・経緯を確認する。これは、4回目にもなった。日本語問題にもなる。日本のマスコミ・ジャーナリストは、宮本・不破・志位に騙され、日本共産党はプロレタリア独裁理論の放棄をしたと錯覚している。
〔第1回・プロレタリアート独裁の確立を長期51年間堅持〕
日本共産党は、1922年コミンテルン日本支部創立以来、1973年まで51年間、綱領において、「プロレタリアート独裁の確立」という日本語を一貫して掲げ、堅持してきた。
〔第2回・訳語変更→堅持〕
ところが、51年後の第12回大会において、→「労働者階級の権力、すなわちプロレタリアート執権の確立」に改めた。「ディクタトゥーラ」という日本語訳を「独裁→執権」に変えた。
〔第3回・執権削除→「労働者階級の権力」という権力概念堅持〕
さらには、1976年臨時党大会において、綱領から→「労働者階級の権力の確立」だけにし、「プロレタリアート執権」を削除した。
〔第4回・権力概念も削除〕
その後、「労働者階級の権力の確立」も削除してしまった。削除理由は、「労働者階級の権力は当然のことなので綱領に掲げる必要がない」とした。
〔第5回・「社会主義をめざす権力」を復活〕
2004年第23回大会において、不破哲三は綱領全面改定をした。彼は、その末尾(一六)で「社会主義をめざす権力」と「権力=ディクタトゥーラ」概念だけを復活させた。
「五、社会主義・共産主義の社会をめざして―(一六)その出発点となるのは、社会主義・共産主義への前進を支持する国民多数の合意の形成であり、国会の安定した過半数を基礎として、社会主義をめざす権力がつくられることである。」
不破全面改定綱領『綱領』2004年1月第23回大会−末尾(一六)
宮本・不破は、この日本語4回もの操作により、コミンテルン型共産党の必須概念である権力用語を綱領から訳語変更→削除→復活をさせた。彼らは、国政選挙有権者目当てで、「プロレタリアート-独裁=権力」という日本語の語感に怯えた。それら赤色テロル型生命体使用・必須概念の日本語を掲げ続けるかぎり、有権者が赤色生命体から連続大逃散すると怖れた。
それなら、ポルトガル共産党を初めとする、ヨーロッパの全共産党のように、党大会において、公式に放棄宣言をすればいい。しかし、選挙目当てとしても、レーニン信仰者の彼らは、プロレタリア独裁理論を放棄したくなかったと思われる。
中野徹三教授・学者党員による不破「執権」誤訳論文の全面批判という学術論文出版と除名報復
その宮本・不破の欺瞞的な隠蔽・堅持手口にたいし、中野徹三教授・学者党員が、不破哲三論文の全面批判という学術論文を書籍『マルクス主義の現代的探究』(青木書店、1979年)で公表した。
論文33ページの題名は、「マルクス、エンゲルスにおける『プロレタリアートのディクタトゥーラ概念』−不破哲三の『科学的社会主義と執権問題』の検討」である。中野教授は、「ディクタトゥーラ概念」の日本語訳として、宮本・不破の「執権」訳語は歴史的学問的にも根本的な誤訳と論証した。
宮本・不破は、学者党員の学術的批判にたいし、怒り狂った。それを放置すれば、日本共産党の存在意義が根底から崩れると恐怖に襲われた。学者党員たちの大量離党の引き金になりかねない。2人は、学術論文にたいし、教授への査問・除名で報復した。除名理由は、「党内問題を、党外の書籍で、党外に持ちだした重大な反党的規律違反」とでっち上げた。学術論文内容にたいしては、一切反論しないで、黙殺した。
学者党員への除名は、中野徹三が最初で最後である。古在由重教授にたいしては、1983年平和委員会・原水協への大粛清事件において、「事実上の反党的規律違反行為をした」とでっち上げた。彼の離党届を受付拒否→却下した上で、除籍措置にした。これは、実質的な除名処分だった。
21世紀の2012年現在、最後の生き残り赤色生命体は、別ファイルで分析したように、党勢力全分野が衰弱死ステージV、または、W段階になっている。私は、党機関財政破綻進行ペースから見て、死期=余命期間5年・2017年説の立場である。その死亡診断の基準は、衆議院議員・参議院議員とも3人以下に衰弱することである。
6、資本主義世界で最後に生き残っているコミンテルン型共産党の余命期間
7、余命5年=2017年説の主因となる機関財政破綻進行シミュレーション (表13〜20)
(表13) 共産党政治資金収入分15年間の総務省公表データ
(表14) 日本共産党HPの2010年度政治資金報告の収支
(表15) 30年間連続減紙政党=読者大量離脱政党
(表16) 3中総・4中総後の日刊紙拡大と党員拡大の増減データ
(表17) 余命5年・2017年説の収入シミュレーション
(表18) 余命5年・2017年説の日刊紙発行費用・赤字シミュレーション
(表19) 00年〜11年の日刊紙減紙→7年後2017年H部数シミュレーション
(表20) 余命5年間日刊紙発行の年間赤字累計シミュレーション
3、生き残り赤色テロル型生命体=党独裁・党治国家4つの死期展望
生き残り党独裁・党治国家4つとは、中国共産党・ベトナム共産党・キューバ共産党・朝鮮労働党である。それらの死期展望といっても、1989年〜91年のように、いっせい崩壊はしないと思われる。それぞれの条件が大きく異なっているからである。
〔朝鮮労働党・北朝鮮〕
ここが一番死期に近づいている。しかし、周辺国家が崩壊による大量難民や体制崩壊時期の混乱を恐れている。軟着陸も難しい。国内状況だけからなら、破綻は目に見えている。赤色生命体の生き残り日本共産党も、北朝鮮崩壊に伴う、日本共産党に吹き付ける嵐に怯えている。日本共産党・不破哲三は、日本において、北朝鮮存続を強く願望する犯罪政党になっている。
『不破哲三の恐怖心=北朝鮮崩壊ケースが日本共産党にもたらす衝撃・ドミノ的崩壊推定』
〔中国・ベトナム〕
これら2つは、一党独裁政党が所有する国家であり、かつ、開発独裁型資本主義経済に転換した新種の国家になった。日本共産党は、これら2つを「市場経済を通じて社会主義を目指す体制」という詭弁でごまかしている。2党とも、自称「社会主義国家」である。彼らは、一党独裁を手放すことはありえない。政治改革を進めれば、共産党独裁の特権が奪われることを自覚している。
一方、国民の経済要求も拒否する路線を続ければ、東欧・ソ連10カ国のように崩壊することも分かっている。そこで、(1)政治は一党独裁強化+(2)経済は資本主義市場経済という矛盾した路線を続けざるをえない。しかし、この対立・矛盾する政策への批判・不満は、中国できわめて表面化してきた。ところが、不破哲三は、中国を3回も訪問し、その体制システムを賛美してきた。これも、日本有権者にたいする反国民的犯罪行為である。
有権者で、日本の政治経済体制を、生き残りの党独裁・党治国家のようにしたいと願う者は一人もいないと断言できる。今後とも、日本共産党が国政選挙で躍進したりすることはない。むしろ、ますます、衰弱死過程がテンポアップする。
(不破哲三と中国共産党との関係経緯) 時系列別ファイル
『不破規約共産党と尖閣諸島・ノーベル平和賞問題』中国べったり・3回訪問不破80歳
『日本共産党と中国共産党との和解劇』1998年 wikipedia日中共産党の関係
共産党『不破哲三議長の中国訪問』02年8月 『学術講演「レーニンと市場経済」』02年8月
共産党『中国共産党との会談終了/日本の情勢について不破議長が発言』05年12月
新日本出版社『不破哲三102冊』『日中理論会談で何を語ったか』06年3月
日本共産党『不破哲三−「学術講演」内容』全文、06年5月訪問
しんぶん赤旗『不破所長−中国社会科学院で「学術講演」』06年5月記事
加藤哲郎『「社会主義」中国という隣人』共産党一党独裁・民主主義以前の党治国家
高木純吉野川市議会議員『日本共産党を離党しました』12年4月10日
「理論交流」=人権弾圧の中国共産党と友好関係、「一党独裁」容認と批判・離党理由
(北朝鮮支援・無批判の反国民的犯罪組織=日本共産党の本質)
朝鮮総連を2000年党大会に招待=朝鮮労働党との友党関係回復
『北朝鮮拉致(殺害)事件の位置づけ』日本共産党の反国民的犯罪対応
『北朝鮮拉致事件と共産党の意図的な無為無策路線』金正日擁護政策
(朝鮮総連=北朝鮮の日本支部。総連幹部全員=朝鮮労働党党員)
林玲『「日本共産党史」から消された「朝鮮総連」結成秘話』1955年・六全協、中国共産党
日本共産党所属の在日朝鮮人全員離脱を指令→朝鮮労働党党員に
赤旗2000年12月20日『朝鮮総連指導部と日本共産党三役が懇談』
赤旗01年 3月 4日『朝鮮総連議長の告別式に志位委員長が参列、献花』
赤旗01年 5月26日『朝鮮総連大会始まる−志位委員長があいさつ−18年ぶり出席』
赤旗02年 9月 7日『北朝鮮の建国祝賀宴−志位委員長が出席、朝鮮総連主催』
赤旗05年 5月25日『朝鮮総連結成50周年にあたってあいさつ−日本共産党議長』
赤旗10年 7月25日『鳥取県委員会−岩永書記長が朝鮮総連であいさつ』
赤旗11年12月20日『北朝鮮問題で日本共産党』80年代前半、北朝鮮と関係断絶=ウソ
以上 健一MENUに戻る
〔関連ファイル〕
wikipedia『プロレタリア独裁』
大藪龍介『小論文→マルクスカテゴリー事典→プロレタリア独裁』
ニコラ・ヴェルト『ソ連における弾圧体制の犠牲者』
ブレジンスキー『大いなる失敗』犠牲者の数
塩川伸明『「スターリニズムの犠牲」の規模』粛清データ
中野徹三『「共産主義黒書」を読む』クルトワの推計−約1億人を殺害
ニコラ・ヴェルト『共産主義黒書』「第2章・プロレタリア独裁の武装せる腕(かいな)」