BCJフォーラム(14) [02/02/16〜]
268 | 《シャープが醸し出す愁いに満ちた美しい響き》 鈴木雅明さん率いるBach Collegium Japanの第159回 神戸松蔭チャペルコンサート−ライプツィヒ時代1724年のカンタータ8−を聴きに行きました (9月7日(土) 15.00-17.00前)。 今日は2時前に会場に着いたのですが,それでも建物のところにそこそこ並んでおられ,会場前には建物の間の橋を超えて長い列になっていました。それでも,開場して一番前の列に座ることができました。今日もお知り合いの方があまりおられず,定期会員の前の席が比較的空いていたのに対して,後ろの方が結構埋まっていましたので新しい方が増えておられるのでしょうか。 いつも座る上手側のオーボエの前あたりが学院関係者の席で,定期会員の席はかなり端になるので,下手側の真ん中近くに座りました。秀美さんの様子がよく見えなかったのは残念でしたが,いつもと違うところで聞くのもまた新鮮です。 【プログラム】題名や曲順はやはりチラシの表記とは違っており,オルガン独奏に追加がありました(特記以外J.S.バッハ)。
今回のカンタータの調性はすべてシャープ系で,全体に鋭い印象でした。 なお,仙台での演奏会のプログラムも同時に掲載されており,さらにBWV106がCD第2巻のコアトーンとは違ってカマートーンで演奏されるそうで,リコーダーは音域的にヴォイス・フルートを使い,ガンバとオルガンはフレンチピッチで演奏するそうです。ピッチの問題は楽器の持ち替えのこともあって難しいですが,これは聞いてみたい! 【プログラム冊子】プログラム冊子は通常通りですが(1,000円),「コンティヌオ」が休載でした。そして,このところ大活躍のトラヴェルソについて,前田りり子さんが「バッハのフルーティストは?−1724年のカンタータとフルートの超絶技巧」という興味深い記事が掲載されていました。「この12曲のカンタータの中で[...]フルートの持つ様々な可能性の限界が試されています」というのは,本当にそう思いますし,今回もよくわかりました。 【配置など】今回も終演後に(おそらく)同じ曲目でのレコーディングがあり,マイクが林立する中での演奏会でした。 配置はここ数回の演奏会と同じで,客席との距離が少し取られ,コンチェルティストは指揮者のところにあるチェンバロ横まで出てきて歌っていました。この形式も,聞き手としてだいぶ慣れてきましたが,それでもアリアの後でコラールがある場合に,どうしても戻る時間が必要で,その時には雅明さんの手が宙に浮いています。 コンチェルティストは,野々下,ブレイズ,テュルク,コーイという,いわば最強メンバーで,安心して聞けました。 オーケストラは,「最小編成」にBWV113と8でりり子さんのトラヴェルソが,最後のBWV8でコルノの島田さんが加わりました。指揮者のところにあるチェンバロの出番は,ずいぶん少なかったようです。そして,尾崎さんのオーボエIIの出番が今回は多かったように思いました。 合唱はいつもと同じようでしたが,この位置だとバスが少し聞こえにくいようです。全体のバランスもあるのでしょうけれども,もう少し音量があっても良いような気がします。 【オルガン独奏】パッヘルベルも心にしみいりましたが,バッハはイ長調のせいでしょうか,ミーントーンの調律が利いていたようです。 【カンタータ《主イエス・キリストよ、この上なく貴き宝よ》 BWV113】神学者バルトロモイス・リングヴァルトのコラール。ロ短調の1.[合唱]はゆったり目でとてもきれいな憂いと嘆き。アルトの2.[アリア]ではブレイズさんも途中からエンジンがかかってきたようです。今回はヴァイオリンの前に座ったので,様子がよく分かりました。バスの3.アリアでは26小節などの1拍ごとに上がる音型でのトリルの扱いが面白かったです。逆にダモーレのトリルはほとんどありませんでした。バスの4.レチタティーヴォ[とコラール]では,BWV178のアルトの第3曲を思い起こさせる,コラールとレチタティーヴォの交替。コンティヌオの構成も,コラールではチェロ・オルガン・ファゴット,レチタティーヴォではチェロ・チェンバロ・オルガンで,変化がありました。テノールの5.アリアではテュルクさんはさすが。ダカーポでの「この甘美な言葉」が印象的。トラヴェルソは,プログラムでもりり子さんが「運指の速さの限界に挑戦する113番」と言われているだけのことはあって,技巧的に難しい上に,ブレスが実に大変そうでした。この曲でようやく出番だったので,最初よりもダカーポの方がリラックスしておられたようでした。テノールの6.レチタティーヴォで「あなたが流された血によって/すべての罪から洗い清めてください」が印象的に歌われ,ソプラノとアルトの7.二重唱アリアを経て,再びロ短調の8.コラールで締めくくられました (楽譜にないトラヴェルソの追加も)。 休憩になって,入り口でカンタータ全集 Vol 19 (BWV86, 37, 104, 166)を販売していたので,迷わず購入しました。そして,私は既に購入して色々示唆を受けている『バッハからの贈りもの』(春秋社)も販売されていました。 後半の開始前に珍しく雅明さんが登場。受付で配布されていた2つの演奏会の変更について,アナウンスされました。 11月に予定されていたハラルド・フォーゲル氏のオルガン・リサイタルは,フォーゲル氏が8月にひどい交通事故に遭われて今なお危険な状態とのことで,雅明さんが弾かれることに,そして来年2月の定期演奏会《ロビン・ブレイズ アルトソロ・カンタータの夕べ》は,ロビン氏の奥様の出産と重なるために延期となり (「欧州では出産に夫が立ち会わないのは極悪非道で,私も経験がある」と雅明さんがユーモラスに紹介されました),代わりに今回の続きとなる《ライプツィヒ時代1724年のカンタータ9》BWV1116, 78, 99, 114になるそうです。 【カンタータ《ただあなたにのみ、主イエス・キリストよ》BWV33】神学者コンラート・フーベルトのコラール。今回の最小編成。雅明さんのチェンバロも加わった快活なイ短調の1.[コラール]では,オーボエも忙しいです。バスの2.レチタティーヴォでは最後の「喜びにいれてくださいます」が印象的。今回シャープ系が多い中フラットが目立つアルトの3.アリアではブレイズさんはさすが。コンティヌオの弦のピツィカートに載せた「何と怯えつつ」の表現が残ります。テノールの4.レチタティーヴォと,テノールとバスの快活で流れるような5.アリアを経て,ハ長調の6.コラールで締めくくられました。 【カンタータ《愛する神よ、いつ我は死なん》BWV8】コルノとトラヴェルソも登場。チラシにも,雅明さんが最も好きだと記されている,詩人カスパール・ノイマンのコラールによるカンタータ。今回は,初稿のホ長調。 1.[合唱]は速めのテンポで弦のピツィカートに乗って美しく「死」が流れます。島田さんのコルノがコラールのメロディを奏でるのも美しく。そして,滑らかなオーボエとスタッカート気味のトラヴェルソの対比。 歌詞は「土に」が強く残ります。トラヴェルソはこれもブレスが大変で,6連符の最後の音をブレスに取っていました (演奏会後りり子さんと言葉を交わした時に「レコーディングではそうはいかないから…」と言っておられましたが,どうされるのでしょう。鼻で息をして吹き続けると言われるオーレル・ニコレならブレスの心配はいらないのかもしれませんが)。テノールの2.アリアはこれまたテュルクさんはしっかり。ダモーレの甘い音色。またもや「土に」の強調。アルトの3.伴奏付きレチタティーヴォでは最後の「追い散らされる」が強く。バスの4.アリアではコーイさんが強く印象的。 16分音符の連続を1つ1つ切りながら明確に。トラヴェルソなどでの装飾はありませんでした。それにしてもりり子さんが「フルートの音域と調性の限界に挑む8番」と書いておられる通り,上がaまで行くとは。この高音部が全体に少しハスキーな感じだったようにも聞こえました。ソプラノの5.レチタティーヴォでは最後の高い部分はaに行かずに。最後にコルノを伴って6.コラールで美しく終わりました。 今週は個人的に疲れていたせいか,今回は響きの美しさを堪能したという感じで,最後のBWV8でようやく歌詞をしっかり追うという有様でした。 【次回】次回は,上述のように来年2月15日(土)とかなり先になります (関西では間に《メサイア》がありますが,東京のクリスマス・コンサートはモテットとEsの《マニフィカート》とは実に魅力的なプログラムですね!行きたいものです)。ブレイズさんの強力なソロが聴けるのが先になるのは残念ですが,1724年のカンタータの続きはまたまたトラヴェルソが活躍するので,これはこれでとても楽しみです。 (竹内 茂夫様) (02/09/08) |
267 | 《バロック見聞録》 VIVA! BCJ 矢口真さま、残暑お見舞い申し上げます! 今週は、NHKFMの特別番組の「バロック見聞録」を、楽しく拝聴しております。 鈴木秀美さんと、様々なジャンルのバッハファン?をゲストに、バロック音楽とイタリア食、フランスワインや、服飾や、イギリス文化と、興味深いお話や古楽器の詳しい説明があり、そして何より、流れてくる音楽が素晴らしいのです。弦楽器、管楽器と特集が続き、明日は、最終の、鍵盤楽器です。 初日の第1曲が、秀美さんの*無伴奏チェロ組曲第1番ト長調BWV1007*でそして番組表によれば、最終曲は雅明さんの*パッサカリア二短調Buxwv161*です。勿論、鈴木美登里さんやBCJ関連の演奏家も秀美さんの選曲で聴かせて頂きました。特別番組の全曲は、番組表を見て下さいね。(私は、MDに録音して、家事の合間に聴いているところです。) 2002年の暑い夏を、秀美さん選曲のバロック音楽で、チェロや、フラウトトラヴェルソや、チェンバロの涼し気な音色で、refresh しています! 秀美様、連日長時間で、大変ではありませんでしたか?格調高いお話で、世界的チェロ演奏家の貫禄がひしひしと伝わってきました。素敵な番組をありがとうございました。次回も楽しみにしています。 From Akiko Suzuki (Akiko Suzuki様) (02/08/15) |
Akiko Suzuki様、こんにちは。まだまだ暑さが続きますが、いかがお過ごしでしょう。お便りをいただいたのが放送の4日目、私は自宅のFMの受信状態が良くないことと、朝寝坊なもので(秀美さん、すみません!)、ほんの少ししか放送を聴くことができませんでした。NHKの番組表を拝見しましたが、多彩なプログラムですね! せっかくなのでこちらにまとめてみましたので、よろしかったらご覧ください! 近づいている秋はまさに芸術の季節。秀美さんもBCJのカンタータのあとはオーケストラ・リベラ・クラシカの第2回演奏会とご活躍です。楽しみですね!それでは、またのお便り、お待ちしております。 (矢口) (02/08/28) |
266 | 《真夏のヘンデル・感想》 矢口様、皆様こんにちは。松田信之@大阪です。真夏のヘンデルとはよく言ったもので、ホント当日神戸は暑かったです。松蔭の配慮で、廊下に列ばせていただき助かりました。 早くから並びましたので、いつもの指定席に座れました。 チャペルに入って先ず感じたのは涼しかったのはもちろんですが、マイクが一本も立っていなかったことです。 普通、録音が終わっていたとしても、【記録用】か何かとして、一本は立っているのですが。こんなことは私が松蔭に通い出してから初めてのことでした。結果として、演奏者のスペースが広大に見え(実際はいつもとそんなに変わらないと思うのですが)、視覚的にとても広く感じました。 今回HP上で矢口さんがスコアのある場所を教えていただいたので、かなり予習できました。どうも、ありがとうございます。私は視唱が出来ないので予習と言っても、スコアをプリントアウトして、好きな演奏を聴きながら、スコアを目で追うと言う作業になります。特に《主はわが主に言われた》HWV232はボーカルスコアしか持っていなかったので、新たな発見(合唱以外の)がたくさんありとても勉強になりました。スコアのある場所を教えていただいて感謝しております。 今回の演奏会の目玉は個人的には《主はわが主に言われた》HWV232なのですが、一般的には、天羽さんでしょう。 詩篇113篇《主を讃美せよ、しもべらよ》HWV237 * ソプラノ独唱のための《グロリア》HWV deest * 上記の2曲は、譜面をみて、「ああこれは三宮さん次第だなあ」と先ず思いました。 予習に用いたのは、237はアルヒーフのミンコウスキ:ソロ・コジェナーで、グロリアの方はガーディナーの新録音の方でGILLAN KEITHがソロです。それと、《主はわが主に言われた》HWV232は主にガーディナーの新旧録音とシクスティーン、OCM(大阪コレギウムムジクム)の1991年の演奏でした。 ここで少し話はそれますが、実はこういった予習は、普通演奏会の2〜3日前までしかしません。その後はなるべく演奏曲目については聴かないようにします。なぜかというと、そうCDより実演が劣ることが関西では多いのです(他の地域ではどうでしょうか?)。 しかし今回スコアをみるのが楽しくて、スコアを手に入れてから各曲最低5回くらいは予習しました。 当日も家を出るまでCDききながらスコアのチェックをしていました。ですから、松蔭の演奏が始まる時の状態は、ソプラノ独唱のための《グロリア》はGILLAN KEITH、詩篇113篇《主を讃美せよ、しもべらよ》HWV237 はコジェナー、そして《主はわが主に言われた》HWV232はガーディナーはじめ、たくさんの演奏家の演奏で頭の中はいっぱいでした。「しもたことしたなあ」(しまったことをしたなあ)と思ったのですが後の祭りです。 しかしその心配・後悔を一気に払拭してくれたのが天羽さんの歌声でした。 以前NHKでの見た演奏の印象からすると、「少しオペラチックで、声もメゾかなぁ」という感じでしたが、第一声目で吹っ飛ばしてくれました。すばらしい!私の頭の中は、今、一番人気のコジェナー・・・、吹っ飛びました。 後半の《グロリア》のGILLAN KEITHも同じく吹っ飛ばしてくれました。 まれにみる逸材ですね。ドイツ語がお出来になるなら是非ともカンタータにも!お願いいたします。早いパッセージの正確さ!完璧なブレス!そしてのってきた雅明さんのミンコウスキを上回るテンポに悠々ついていく余裕!そして何よりも音楽性のすばらしさ!少しビブラートが気になると言う意見もありましたが、まわりの方の評もおおむね好評でした。(私はそんなに気にならなかったですが)。 ここまでの天羽さんに関してはいくら賛美しても足らないくらいですが、う〜ん、やっぱり書いておこう・・・。 三宮さん頑張ってください。 やっぱり微妙にずれます。気にしなければ気にならないくらいなのですが、やっぱり気になります(日本語になってないですね、スイマセン)。この傾向はいつものことと言えばいつものことなのですが、今回はソプラノ・ソロと重なっているところが多く少し問題でした。たぶん雅明さんがノリノリだったから、ゲネとテンポが違うかったのかもしれませんが、う〜む。 BCJに昔から通っていると、やっぱりポンセールPonseele氏と較べられてしまうのです。もうこれは現実問題として較べられるのはしょうがないです。よく料理の漫画等で2代目が先代と同じ味を出しているのに、お客に評価されない・・・。これとよく似た構図でしょうか。どうかポンちゃんを超えるように頑張ってくださいませ!!!! さて最後に、《主はわが主に言われた》HWV232ですが、まず、特筆すべきは、いつもは合唱で隠れている合唱団員のソリストたちです。みんな声量があるし、はっきり言って予想を遙かに超えて上手かったです。声量から判断すると(ソロの時はチャンセルより前に出ますので)、やはり松蔭では合唱(の声・音)は上に逃げて行くみたいです。松蔭の特等席は前から思っているのですが、雅明さんの頭上3メ−トル位の所か、(現実的には無理なので)バルコニー席・・・立ち見席ではないでしょうか! 先ずは上杉さん。いつも合唱でCTが弱いと攻撃してすいません(会場のせいです(^^))。この難曲を上手く歌われていました。一カ所長いフレーズが続くところでブレスミスをしたかなあと思いましたが、あそこしかする所無いですモンね(全盛期のマイケルチャンスはこの曲ほとんどノーブレスで歌ってましたが、これは例外でしょう)。声帯もよく合わさっているし、ファルセットだけの(20年前のイギリスCTの歌い方でなく)でなく胸声も上手く混ぜていて良かったです。それと今回アルト全体にいえることですが、全パートの中で一番楽譜が離れていたのがアルト・CTでした。難しいんですョ、この曲のアルトパート(経験者は語る)。意気込みがよく伝わってきました。 懸田さん。独特の高音の出し方ですね。いくらオリジナルでピッチが低いと言っても、一流のソリストたちが苦労する高音を、何の苦もなく出してはりました。すごい! 曲の(3曲目ですが)もって行き方も文句なし。また、ソロ聴かせてくださいね。合唱にはいると、私の耳では懸田さんの声、判別できないんですね。ひょっとして遠慮気味ですか。 鈴木さん(すいません私ずっと懸田さんと鈴木さんを逆に間違えていました)。この方の声は合唱でもよく判別できます。いつもソプラノで緋田さんと2人並んで声を合わせて出すのは、BCJソプラノ名物です(私が勝手に思っているだけですが・・・、でもあれはすごい音量ですよね)。今回は2重唱でしたが左右に分かれているにもかかわらず、よくあっていました。特に不協和音の所なんか、逃げたくなるのに・・・、上手かったです。 男声陣は問題ないでしょう(^^)。谷口さんは初めてソロで声を聴きましたが、テノールらしい声でうらやましい限りです(嫁さんは少しカンカン・キンキンしているかなあと言っていましたが)。浦野さんは、6曲目のソロの時テンポかなりはやめだったので、少し遅れ気味でした?発声については私がどうのこうの言うレベルではないです。 《主はわが主に言われた》HWV232は雅明さんが一度やってみたいと言われていただけあって、本当に充実した演奏でした。合唱団も今までで一番声が出ていたのではないでしょうか(嫁さんも「初めてBCJの演奏会でちゃんと合唱がきこえた」と言っていました)。 最後にオケについて少しだけ。今回は小編成でしたね。今回はヴァイオリン1と2が左右に分かれるかと思っていたのですが、普通の配置でした。マイクがなかったせいかもしれませんが、ヴァイオリンまでの距離が遠く感じられ、向かって左側にヴァイオリン、ヴィオラ、オーボエ。向かって右側にコンティヌオという配置でした。 私がいつも座る場所ではいつもの配置では若松さんと雅明さんがよく見えて、コンティヌオ、中でも秀美さんがあまり見えない(音は当然聞こえますよ)という感じです。ところが今回配置が違ったもので秀美さんがよく見えました。 それにしても今回の秀美さんは凄かった。 チェロは今回お一人だったのですが、凄い!う〜む、言葉が見つからない。 ・・・とにかくその演奏は通奏低音という枠を遙かに超えて、例えばそのパートだけ録音しても通用するのではないかと思ったほど、もうこれは芸術ですね(嫁さんも感動してました)。 BCJに通い出して先ず最初に教えてもらったのが通奏低音のおもしろさですが(当然それは秀美さんの演奏なのですが)、今回はこの枠を超えていました。とにかく歌の隙間をぬって、あるいは合唱の時なんかはずっと秀美さんの方を見ていまいした。秀美さんにしてみれば「最前列の中央の30チョイのおっさんがなんか俺の方ばっかり見てるな」と思われたかもしれませんが、それは私です。それほど感動しましたです。直接お話ししたことないので、是非今度懇親会の時にでもお話を聞かせて下さい。 ヴァイオリンはすいません、ちゃんと聴いてませんでした。間違ったときだけときだけ「あ、しくじった(^^;)(故:桂枝雀師匠の感じでどうぞ)」と思ったくらいです。安定してたんだと思いますが、秀美さんに気をとられていたものでスイマセン。 長くなりました、全体として本当に充実した演奏だったと思います。 ありがとうございました。以上です。 (松田信之様) (02/07/27) |
松田さん、こんにちは。感動のたくさん詰まったご感想をいただきながらご紹介までに大変時間がかかってしまい、申し訳ありませんでした。 あの演奏、本当に録音されていなかったのですね・・・。残念。しかし、私たちの耳の記憶にはしっかり刻み込まれました。 私ももちろん例のスコアをプリントアウトして予習していったのですが、BCJ&天羽さんの演奏はやはりその予習を吹っ飛ばしてくれました。実にさわやかな熱狂が渦巻いた音楽でしたね。 松田さんが特に感動された天羽さんの音楽、秀美さんのコンティヌオ、合唱団のみなさんのソロ、大健闘した合唱団にまったく同感です。天羽さんの評価には私としてはやや留保がありますが、BCJとの共演も3日目、ずいぶんお互いに触発され、熟した音楽が神戸では聴かれたに違いないと想像しています。 反対になぜ?と思ったのが三宮さんの評価です。東京公演での私の印象は、三宮さんが天羽さんを支えたとすら感じていたもので・・・。東京公演のアンコール、「Laudate」の終曲「Gloria Patri」がこの曲のために再登場した三宮さんの軽やかな演奏で幕を開けると、これまたアンコールのために再登場してくださった天羽さんが歌い始めます。そしてそのソロにオーボエが絡み、掛け合いに入る直前、三宮さんが実に粋な装飾でソロに渡します。会場全体がニヤッとしたと思ったのは私だけではないと思います。そこからのノリはさらにテンションが高く、実に高揚したフィナーレを築いてくれたものでした。終演後、皆がその妙技を讃えていました。それが神戸ではソロとうまく重ならない・・・?にわかには信じられないというのが正直な感想です。しかし松田さんの耳にそう届いたのであればこれは事実。次回のカンタータコンサートでもオーボエ属の楽器がかなり大きな鍵を握っていますので、最高の演奏を期待したいところです。三ちゃん、ファイト! この神戸でのヘンデルについては、いつもご感想をいただいている竹内さんも、現在レビューを作成中とのこと、楽しみにしております。 もう一つ。実は松田さんは当HPの150000番のキリ番をおとりになった方です。その記念に、とご要望をいただいていたものがようやくお渡しできるようになりそうです。実際にお手元にお届け出来るようになりましたら、また当欄でご紹介させていただこうと思っています。松田さん、今しばらくお待ちください。そして、まだまだ暑さが続きますので、どうかご自愛ください。 (矢口) (02/08/28) |
265 | 《真夏のヘンデル in 岐阜》 矢口さん、こんにちは。最近は、その他の活動にもお忙しいようですね。あ、でも今ごろ夏休みで、本業は楽になられるのでしょうか? さて、昨日は岐阜のサラマンカホールまで行ってきました。 サラマンカホールは今回が初めてでした。かつてメサイアをBCJが演奏したときの評判では良いホールだと聞いていましたので大変楽しみでした。 ただ、交通の便が悪いのが良くないですね。私は車で行きましたが、メサイアのとき矢口さんはどうやっていらしたのでしょうか??? 会場の造りはなかなか良いですね。 サラマンカという名前は、姉妹都市になっているスペインのサラマンカ市から由来されたものなんですね。2階席の入り口あたりにある石門のような飾りとホール内の大オルガンは、サラマンカ市をイメージされたものだそうですね。 演奏は、静かなオルガン協奏曲から始まりました。 非常に繊細な装飾と響きの音楽。そして無理のない、気持ちの良い演奏。 すばらしいの一言でした。 並のコンサートホールだと、この手の音楽は響きが伝わらず、至って地味につまらなく聞こえてしまうことでしょうが、サラマンカホールはこの糸のように細い響きを拾い、自然に聴衆に伝えてくれました。 2番目のプログラムから天羽さんが登場されました。 どことなく、以前コーラスで歌っていらしたアルトの穴沢ゆうこさんに似ていて、最近はどうしていらっしゃるのか。 合唱の配置は、客席から見て真中にバスパート4人、その右側にテノール4人、左側にアルト4人、そして両翼に第1・2のソプラノ3人ずつという変則型でした。そもそも器楽の配置もいつもと若干違っていました。向かって右側、コンティヌオ群の近くにいつもいるはずのオーボエの三ノ宮さんたちがヴァイオリンの後ろに位置していました。今回の小規模な編成にあわせて特別に設定したのでしょう。 天羽さんの声は、深みのある欧米人並のソプラノ。よく日本人のソプラノは、人類学的にみても仕方がないのですが、欧米人のソプラノよりも子供の声のようだと言います。しかし、天羽さんの日本人ばなれした声が欧米できっと受け入れられているのだろうと思います。ミスを全く誘わないような安定した歌唱と豊かな表現力に、すっかり魅了されました。 合唱もしっかりとしたアンサンブルをなし、音楽全体を支えていました。 と、前半のプログラムが終了し、後半の「Gloria」と「Dixit Dominus」への期待を膨らませながらの休憩。 いよいよ「Gloria」。 前曲の「Laudate pueri」からの借用関係がはっきりしていますね。 大変楽しい曲ですね。歌っている天羽さんもとても楽しそうでしたし、聞いている私達も楽しい。 天羽さんの声が広がり、ホールの天井から響きが返って来る感覚がしました。 今回のヘンデル・プログラムには、天羽さんがピッタリでした。(普段のカンタータ・プログラムに合うかどうかは定かではありませんが) 最後は、「Dixit Dominus」。 矢口さんがコメントされていたように、コレギウムの「合唱力」が発揮された演奏でした。プログラムの最後に相応しい、コレギウムらしい演奏でした。 合唱としては大変難しい曲だと思います。各個人に高い技術力を要求するだけでなく、アンサンブルとしてのバランス、表現力が重要になりそうな曲です。 浦野さんはもちろんですが、各コンチェルティストで歌っている人達の技量も良いですね。お二人のソプラノは、天羽さんと比べるとどうしても評価が難しくなってしまいますが、それでも決して劣らない歌唱です。歌いまわしが難しいと思われるところでも安心して聞いていることができました。 さてコレギウムの器楽陣は、ヨーロッパの他の古楽器演奏団体と肩を並べるレベルまで達していますね。如何にヘンデルが造り出した音形が巧みであっても一定のスタイルと安定した奏法、そして噛み砕かれて表現されて行く様を見た気がしました。 そして名古屋にいらっしゃらなかった鈴木秀美さんの存在が大きいですね。 先日、秀美さんのいないコレギウムのコンティヌオという珍しい経験をしたので、秀美さんの存在が貴重に思えました。 音楽全体がぐっと引き締まるというか、心地の良いテンポ感に支配されながら音楽が進行していく感覚がします。 と、今回は、プログラムを満喫しました。 カンタータ・プログラムでは、適所にヨーロッパで第一線を行っている声楽ソリストが来てすばらしい演奏を披露してくれますが、オール日本人による演奏会にも私はいつも注目しています。 3,4年ぐらい前だったか、コレギウムがモテットを演奏したときも、普段とは違う活き活きと魅力溢れる演奏を披露してくれました。 ヨーロッパのソリストたちに遠慮せずにアピールしてくるような演奏が、感動を与えてくれるんだと思います。今回は、モテットの時よりも成長したコレギウムの演奏。格別でした。 渡米する前に、本当に記憶に明確に残る演奏会でした。 では、アメリカのミシガンで、コレギウムに再見できるのを楽しみにしています。 (金原秀行様) (02/07/21) |
金原さん、こんにちは。先のBCJ名古屋公演に続いてのお便り、ありがとうございます!私のコメントが遅くなってしまい申し訳ありませんでした。 サラマンカ・ホール。懐かしいです! かつてやはりヘンデルの「メサイア」をBCJが演奏したときにうかがった思い出がよみがえります。オルガン協奏曲も素晴らしい響きだったでしょうね。そしてヘンデル。輝かしい音楽が、サラマンカホールの贅沢な空間を埋めたに違いありません。 今回の公演の目玉、天羽さんのソプラノ。とても強い音楽だったと思います。ただ、私としては(東京でうかがった感想ですが)、もう一歩の自在さが欲しい気がしました。ある部分、音楽のニュアンスの豊かさでは「Dixit」などでソロをとったBCJのみなさんの方により感銘を受けた部分もあります。しかし、やはりあの豊かな響き・声量と安定感はすごいものでしたね。きっと様々な意味で刺激になった共演だったと思います。 さて、器楽の方ですが、秀美さんの妙技は実に味わい深いものでした。そしてそれに応えて声楽を含めた楽しいやりとりがステージ上にあふれていたのですが、きっとサラマンカでも前日の東京にもましてそういった“遊び”に満ちた演奏だったのではないでしょうか。 次に金原さんがBCJに出会えるのは海の向こうでとのこと。しばらく間があいてしまいますが、インターネットは世界をめぐっています。是非またお便りをお寄せください。お待ちしております。そしてお気をつけて! (矢口) (02/08/23) |
264 | 《BCJのヘンデル》 天羽さんのソロは、グロリアが良かったですね。「Laudate」は練習不足な感じでした。BCJは、合唱が今回は好調でしたね。「Dixit」は、メンバーのソロはともかく、合唱で楽しめました。 BCJがヘンデルをやると、ヘンデルの大らかさというか、豪快さというか、晴朗さが消えて、どちらかというと禁欲的に響きますが、それが独特の魅力をかもし出しているように思えますね。バッハ以外の作曲家をやると、変な書き方ですが、BCJの「本当の魅力」が浮き彫りにされるような気がします。つまり、肩の力が多少抜けた、「音楽する集団」としてのBCJですね。まあ、雅明さんの肩の力の入り具合がそのまま演奏に反映されている、ということなのでしょうけれども。 (北村洋介様) (02/07/21) |
北村さん、こんにちは。お便りいただいてからコメントを書かせていただくまでに一ヶ月以上かかってしまいました。申し訳ありません。 まさに「楽しめた」あの演奏会、BCJ合唱団のここのところの充実を実感させてくれました! ところで、この日、会場で『バッハ問』の著者のおひとりの野中さんから、「以前、ガーディナー/モンテヴェルディ合唱団が来日公演でこの「Dixit」をやって、非常に印象に残っている。確かNHKで放送したはず」とうかがい、家で探してみました。すると、あったのです、そのビデオが。さっそく見てみたところ、BCJよりもやや多めの人数での演奏でしたが、これが素晴らしい。やはりソロは団員が受け持つのですが、一人一人が自信とゆとりを持って歌っていることが印象に残りました。もちろん鈴木/BCJとは方向が違うわけですが、圧倒されました。で、彼らの後半のプログラムがバッハの「マニフィカト」だったのです。きっとこの放送当時、私はこちらにより感激していたのだと思いますが、今回ヘンデルに続いて改めて見てみると、ヘンデルの時よりも音楽との距離がややあるように感じ、意外でした。しかし、このコンビによる先のバッハ・イヤーの「カンタータ巡礼」のビデオ(9月にBCJが取り上げるBWV113も収録されています!)を拝見すると、BCJとはまた違った深みのある演奏に心を打たれます。さあ、今度はBCJが再びコラール・カンタータに挑戦!ヘンデルで聴かせてくださった合唱の充実が、バッハの音楽の中にどう生かされるか、注目したいと思います! (矢口) (02/08/23) |
263 | 《♪6月8日のカンタータコンサートの感想♪》 最初の今井奈緒子さんのオルガンとソプラノ3人によるコラールは実に美しく、うっとりしました。 カンタータ10番のソプラノアリアは、予習のCDで聴いた時にソプラノソリストがちょっと苦しそうだったので、「この曲、難しいんだな」と思い、ドキドキハラハラしながらも期待していたのですが、野々下さん、みごと正確に立派にやってくれちゃいました!さすが!! 又、4曲目のバスアリアの鈴木兄弟によるコンティヌオは最高でした。秀美さんのチェロのイキイキした動きが脳裏に焼き付き、今でも頭の中で繰り返し流れています。ペーター・コーイの迫力のある歌唱には心から感激しました。ここの歌詞は内容的にあまり楽しくなっていいところではないですが、あのバスとコンティヌオを聴いたら、なんだか楽しくてウキウキしちゃうんです。 カンタータ93番は、5/7の古楽レクチャーで素晴らしい実演付きの予習をさせていただいたので、とっても楽しみにしていました。レチタティーヴォやアリアにあるコラールに耳を澄まして聴いてみましたが、とてもおもしろかったです。テノールのアリアは素晴らしく美しかったですね。桜田さんは高音もキレイに、しかも、とっても簡単そうに歌われていて、聴いていて爽快でした。今回初登場のカウンターテナー、マシュー・ホワイトはとても好印象。安定している。でも、ちょっと味気ないかなー。あまり印象に残らないんです。また、合唱のアルトの音が、ブレイズさんがいる時の音色とちょっと違ったのもおもしろかったです。ところで、ロビンとマシューは去年、オペラツアーでヘンデルの「ロデリンダ」の王、Bertarido(ロビン)とその忠実な家来、Unulfo(マシュー)として共演したんですよ。(聴いてみたい!!) いよいよ今週はヘンデルのグロリア。久しぶりに緋田吉也さんが合唱で歌ってくれますね。Gloriaはまだ聴いたことありませんので、楽しみです。皆さん、夏風邪と冷房病に気を付けて、Gloriaを楽しみましょう! (k.k.Witmer様) (02/07/16) |
k.k.Witmer様、カンタータのご感想、ありがとうございました!聴き所の多いコンサートでしたね。バスのアリアは神戸では浦野さんのソロで、静かに燃え上がるといった感じだったのですが、ペーターの場合は躍動感のあるソロでしたね。お二人それぞれの持ち味が出て興味深く聴かせていただきました。野々下さん、櫻田さんの日本勢ももうすっかり堂にいったもの。櫻田さんは久しぶりな感じですが、これからも楽しみです。マシュー・ホワイトは神戸よりも安定感が増し、そのふくらみのある声を楽しませていただきました。暮れのメサイアでのソロが楽しみです!ロビンとの共演も興味深いですね! 今回のコンサートで印象に残ったことの一つが、神戸とオペラシティでのトラヴェルソの聞こえ方の違いです。107番の冒頭など、トラヴェルソのひなびた感じの音はやはり松蔭の響きの方がよく伝わって来ました。しかし、オペラシティでは弦楽器中心の響きで、よりドラマチックな感じがしました。CDではどのような仕上がりになっているか楽しみです。またのお便り、お待ちしております! (矢口) (02/08/17) |
262 | 《コラールカンタータ −バッハの多彩な試み−》 鈴木雅明さん率いるBach Collegium Japanの第156回チャペルコンサートのライプツィヒ時代1724年のカンタータ7を聴きに,神戸松蔭女子大学チャペルに行きました (6月1日(土) 15.00-17.00過ぎ)。 JRが遅れたために六甲道駅で連絡するバスが次の便になり,会場への到着が遅れました (JRは最近余裕のないダイヤを組んでいますので,ちょっとしたことで電車は容易に遅れますし,その遅れを取り戻すのに時間がかかります)。 会場前の列としては長いとは思いませんでしたが,座席は2列目にしか座れませんでした。定期会員が増えているのかもしれませんが,後ろの一般席の方は結構空席があったようです。カンタータでも一般によく知られているBWV140,147などでないと,満席というわけにはいかないのかもしれません。かく言う私も,カンタータはどのカンタータでも聞き込んでいくと色々と発見があって面白くなってくることを,最近になって気付かされたのですが。 【プログラム】題名はやはりチラシの表記とは違っており,オルガン独奏に嬉しい追加がありました。
今回のカンタータの調性は,前半がすべてフラット系,後半がシャープ系というコントラストでした。 【プログラム冊子】プログラム冊子は通常通りですが(1,000円),チェイフは休載でした。雅明さんの「巻頭言」では,Early Musicに掲載されたケヴォーキアンの論文の紹介が興味深かったです。「お説教にさえ間に合えば良かった」というのは,現代の教会でもところによってはありがちなことかもしれません。しかしながら,コラール・カンタータが「もはやカンタータ(のアリアとレチタティーヴォ)なしでは礼拝は成り立たない」と感じていた上流階級だけでなく,「誰でもが知っているコラールが数多く用いられていた」カンタータを楽しむ庶民が「思わず顔を挙げる」ような工夫を凝らしたものであるという説は,現代でも色々と工夫を重ねながら会衆がより礼拝に参加してもらえるようにしていることを想起させます。 【配置など】今回も終演後に同じ曲目でのレコーディングがあり,マイクが林立する中での演奏会でした。 配置はここ数回の演奏会と同じで,1) 客席との距離が少し取られ,2) コンチェルティストは指揮者のところにあるチェンバロ横まで出てきて歌っていました。ただし,BWV178の第5曲のように合唱とレチタティーヴォが組み合わさった曲の場合,コンチェルティストはリピエニストのところで歌っていました。そうしたことを見ると,コンチェルティストが前に出てきて歌う方が,聞き手にはよく聞こえる反面,リピエニストのすぐ近くにいる方が自然なのかもしれない,という思いも禁じ得ません。特にチャペルという場ではその方がふさわしいのかも,とも感じました。 コンチェルティストでは,バスがコーイさんではなくて浦野さんに変更されました。コーイさんは事情があって,その日にオランダから日本に到着だったそうです。 オーケストラは,BWV93の最小編成(?)の他,BWV10,107,178で島田さん(トランペット&コルノ・ダカッチャ)が,今回最大編成のBWV107でさらにトラヴェルソ2本が加わりました。ただし,BWV107ではチェンバロは使われませんでした (93でも使われていなかったことを,後で矢口さんに教えていただきました)。また,コントラバスは5弦で,聞くところでは新しい楽器だということです。 【オルガン独奏など】マニフィカトBWV733も良かったですが,《愛する神にすべてを委ね》は オルガンBWV691−ソプラノ合唱によるコラール1節−オルガンBWV690−コラール7節−オルガンBWV642が心にしみいりました。 【カンタータ《我が魂は主を崇め》BWV10】まずはルターによるドイツ語版「マニフィカート」であるBWV10。 1.[合唱]はゆったり目。コラールの旋律がソプラノだけでなくアルトでも現れるところもしっかり。コラール・カンタータになって曲がどんどん難しくなってきますが,合唱は安定しており,安心して聞けます。ソプラノの2.アリアでは細かな弦の動きにやや乱れ?コンティヌオが充実しすぎているからそう聞こえるのかもしれません。ソプラノも欲を言えば下の方がもう少し欲しいところ。歌詞でheiligが邦訳で「尊く潔い神」はかなりの意訳ですね。テノールの3.レチタティーヴォは充実。櫻田さんが演奏会の度ごとにどんどん充実してきている感。コンティヌオのやりとりが興味深いバスの4.アリアでは,ゆったり目に始まりながら,鈴木兄弟のバトルというかどちらが主導権を取るか,どちらがより気持ち良いテンポを取るかというのを見たよう。バスの浦野さんもしっかり。テノールの他,初登場のカウンター・テナーであるマシュー・ホワイトさん登場の5.二重唱とコラール。ホワイトさんは倍音が多めでふくよかな声質ですが,やや流し気味でしょうか(パーティの時にスピーチをして「BCJのCDを聞いていた私が一緒に歌えるなんて」のように言っておられたので,緊張していたのでしょうか)。コラールを奏でる島田さんのトランペットも懐かしく,ライプツィヒの会衆もコラールを口ずさんだことでしょう。テノールの6.レチタティーヴォも充実。Andanteになってからの「永遠のみ言葉」はしっかりと,「死とすべての悪しきこと」の弱さ,神の「恵みと真実」がしっかりと歌われ,最後に装飾で満ちた雅明さんのチェンバロで締めくくられました。小頌栄(グロリア・パトリ)である7.コラールではしっかりと信仰が表明され,最後の「アーメン」では低音の粘りが印象的でした。 【カンタータ《愛する御神にすべてを委ね》BWV93】第1回の定期演奏会でも演奏された曲目。そして,個人的には教団『讃美歌』304番(『教会讃美歌』325番では3/4拍子,『讃美歌21』454番では4/6拍子)に入っている中で私も好きな曲です。 ゲオルク・ノイマルクのコラール。 1.合唱では,時にグリーン・スリーヴズのような旋律を伴いながら,合唱が細かく技巧的に歌う中に4声のコラールが浮かび上がってくる様子がとても気持ち良く,各楽器が交替で浮かび上がってくる様も見事。冒頭で一瞬長調に向かいそうになりましたが,指を見てると難しそうです。バスの2.レチタティーヴォ[とコラール]も,コラールの歌詞とレチタティーヴォの対話も,浦野さんが見事に表現。アンダンテ気味で淡々と進むテノールの3.アリアでも櫻田さんに芯があり,高いbも力まずしっかり。弦でコラールが奏でられる中ソプラノとアルトの4.二重唱アリアを経て,テノールの長い5.レチタティーヴォ[とコラール]では「稲妻と雷鳴」を表す技巧的なコンティヌオも見事。「だから貧しさにも,十字架にも,苦痛にも,/ただ待ち望むがいい」では,チェロが延ばして待ち望む様を。ソプラノの6.アリアを経て,最後に7.コラールでは,秀美さんも歌う中,「その望み」(直訳は「彼の望み」)が強調されて,「決して見捨てられることがないからだ」がしっかり歌われて閉じられました。 休憩になって,入り口でカンタータ全集 Vol 18 (BWV66, 134, 67)を販売していたので,迷わず購入しました。 【カンタータ《なぜうなだれるのか》BWV107】トラヴェルソが登場。驚いたことに,大塚さんが登場せず,チェンバロは使用されませんでした。 ヨハン・ヘールマンのコラール。ロ短調でトラヴェルソとオーボエの上昇音型が印象的な1.[合唱]ではじっくりしたテンポながら決して遅くなく,うなだれる魂に呼びかけます。「神の御旨の統治」と副題が付けられたバスの3.アリアは,生き生きとしたオケとともに浦野さんの歌も印象的。ヘミオラ気味のテノールの4.アリアではヘミオラ気味な中,サタンが登場してチェロも激しい中,櫻田さんが熱唱。テノールの6.アリアではトラヴェルソが美しく奏でられる中神に委ねる美しさが。 最後の7.[コラール]では単純な4声コラールではなくて6/8拍子での頌栄で,神を讃えるにふさわしくゆったり目に演奏されて締めくくられました。 【カンタータ《主なる神,我らの側に留まりたまわず》BWV178】ユストゥス・ヨナスのコラール。オーボエだけで始まる1.[合唱]は速めのテンポで,符点音符と16分音符で激しく破滅が語られ,最後の「破滅する」が強調されて終わります。 Prestoとも記されているアルトの2.レチタティーヴォ[とコラール]はゆったり目で,コラールの部分はオルガンが,レチタティーヴォはチェンバロという使い分けがされていました。最後のレチタティーヴォで,ト長調でチェロがずっと延ばしたままイザヤ書からの(?)引用がなされ「すべての悲運を転じる」という部分が非常に印象的でした。ただ,ホワイトさんがコラールに入る部分で不安定なのが,歌詞として決然としているだけに気になりました。荒れ狂うサタンを表すバスの3.アリア,コラールの旋律を歌うテノールの4.アリアを経て,壮大な造りの5.コラールとレチタティーヴォ!何という造りでしょうか,敵の激しさで始まり,それは神の激しさに変わります。一定のコンティヌオの音型に乗せて合唱が歌う中に,イン・テンポでソロのレチタティーヴォが入ります(バスの1箇所だけは音型的にソロではなく合唱で歌われます)。テノールの6.アリアではまだ揺れ動く人知がある中,Adagioの「慰め」のカデンツはそれほど装飾をしないで収めます。最後の7.コラールでは繰り返しの際に少し間を置いて,気分を変えて。秀美さんが歌うのが見えました。 今回も充実していましたが,櫻田さん,浦野さんの日本人コンチェルティストの活躍が特に印象的でした。 最後に,雅明さんのトークがあり,カンタータの演奏会を始めて10年を迎えたこと,第1回目の演奏会でBWV93を演奏したことなどが話され,その93の最後のコラールがアンコールとして印象深く演奏されました。 【懇親会】演奏会後,レコーディングが始まるまでの短い時間でしたが,後援会主催の懇親会が別の会場でもたれました (2000円。本当は松蔭の食堂で行う予定でしたが,都合でできなくなったために外の会場で行われたそうです。大学がオープンキャンパスをやっていたような雰囲気でした)。 カンタータシリーズの演奏会が始まって10年経ち,用意された第1回の全演奏者の写真入りプログラムを話のタネに,その変遷をもたどりながら今回の全演奏者にインタビューという大胆な試みで,楽しませていただきました (司会の大庭さん,伊藤さん,ご苦労様でした)。それにしても,オケの方はそれほどメンバーが替わっていませんが,合唱はほとんど入れ替わっているのですね。 懇親会では秀美さんとオーケストラ・リベラ・クラシカのことで話すことができ,「ぜひ関西でも」と言うと「純粋にお金の問題」ということでした。何とかどこかに働きかけて,かのハイドンを生で聞きたいものです (まずはNHK-BSを見ることで我慢しますが)。 また,矢口さん,鳴海先生,野中さんという執筆陣で,「バッハ問」(東京書籍)という本が夏には出版されるそうです。メンバーから想像するに,かなりマニアックな本になりそうです。 会場をいつも提供されている松蔭女子大学の学長の荒井章三先生もご挨拶されて,その中でルター訳の邦訳の構想があることをお話しされ,これも非常に楽しみです。バッハの聖書の引用は,あくまでもルター訳からなされていますから,ヘブル語やギリシアとの原典ともラテン語のヴルガタ訳とも違いますから。 【宴の後で】帰り道,矢口さんたちと一緒にJR六甲道駅まで歩き,新大阪駅までご一緒しましたその時に,例の「バッハ問」の話になり,色々伺ってみると,私が「これこれについての問題,ありますか?」みたいなのは中級編だそうです(笑)。上級の問題も少し聞いたのですが,「そりゃわからんだろう(笑)」というようなカルトな問題でした。初級編だけで100問あるとのことなので,なかなかの分量です。出版されるのが実に楽しみです。 (その他,ふとしたことからショスタコーヴィチの話題で盛り上がりました。やはり一番面白いのは第4番ですよね。>矢口さん) 【次回】次回7/21(日)は,ヘンデルの新発見のオラトリオ《グロリア》HWV deest,《Dixit Dominus》HWV232,《Laudate pueri》HWV237などで,新発見の《グロリア》を天羽さんが歌うのもさることながら,《Dixit Dominus》は雅明さんも楽しみにしておられると言っておられたのと同様,私も大変楽しみです。今回とは逆に東京公演が先なので,そうした意味でもより練り上げられた音が期待できそうです。 その次の9/7には再びカンタータで,BWV8, 33,
113という,これまた楽しみな曲目です。曲がどんどん凝ってきているので,オケ・合唱ともに大変かもしれませんが,そこはBCJ,楽しみにしたいです。 |
竹内さん、いつもながらの詳細なレヴュー、ありがとうございます! 当日は懇親会などでも色々お話出来、とても楽しく過ごさせていただきました。コラール・カンタータ2回目のコンサートでしたが、やはり私としては第1回定期冒頭に鳴り響いたBWV93に注目でした。冒頭、「愛する御神」のいたずら(?)でちょっとしたアクシデントもありましたが、やはりとても感慨深いものでした。他のカンタータも、これから録音ということでしたが、それぞれ完成度の高いもので非常に満足いたしました。それにしてもやはり松蔭の響きは格別ですね。久しぶりにうかがったので、そのうれしさにも満たされました。 懇親会でのみなさんのコメントも楽しかった(司会の大場さん、伊藤さん、ありがとうございました!)のですが、第1回定期にも出演された器楽奏者の方がたくさんいらっしゃることに、BCJの音楽の一つのバックボーンを見たような気がしました。みなさん、しっかり腹ごしらえはできたのでしょうか・・? 帰り道も竹内さんとご一緒できて、なぜかバルシャイのショスタコーヴィチ交響曲全集のCDの話題で盛り上がれたのは痛快でした。(11月にはゲルギエフの指揮で7番を聴きますよ!>竹内さん) 懇親会でたくさんの写真を撮らせていただいたのですが、なかなか整理する時間が取れません・・。いずれ少しでもご紹介したいものと思っております。9月の公演後は懇親会はなしで、次回の神戸公演後援会の懇親会は来年2月15日のロビン・ブレイズ、アルトソロカンタータコンサートの後に開かれる予定とのことです。 (矢口) (02/08/17) |
261 | 《BCJ名古屋公演》 みなさんこんにちは。先日名古屋でBCJ公演があり、初めて聴いてきました。曲はトッカータとフーガ二短調、オーボエとバイオリンの協奏曲BWV1060、カンタータ10番、マニフィカトBWV243です。
気に入っているメサイアのCDばかり聴いていたので、鈴木美登里さんの大きな良く通る声に「これだ」と思っていた所、野々下さんのデリケートな歌いかたは新鮮味を感じました。 年末に聴いたメサイアの鈴木さんの、楽しそうに歌っている表情。今回のマニフィカトの野々下さんの冷静な姿。それぞれそういう曲調なのでしょうか。表情と声音が一致していて、なるほどと面白かったです。野々下さんのメサイアはどんな感じになるのか、聴いてみたいです。 バルブの無いトランペットを軽々と演奏するすごさ。また、忠実な再現をねらってオリジナル楽器を使用となっていましたが、オーボエ、バイオリンなど音が少し小さかったように聞こえましたが、みなさんオリジナル楽器は今の楽器とどのように違って聞えますか?最近は第九、メサイアなどアマチュア合唱団ばやりの中、初めて聴くプロの合唱は安定していて、もっと聴いてみたいです。トッカータ独奏の鈴木雅明さんは、すごく気分がのって演奏されていました。また名古屋に来て下さい。 (miura様) (02/06/19) |
miura様、お便りありがとうございます。ソプラノ・ソリストのキャラクターの様々な味わい、これも楽しみですね。野々下さんの「メサイア」は今年のクリスマスに聴くことができます。楽しみです。オリジナル楽器を使うコンセプトについては、新刊の「バッハからの贈りもの」に様々な形で出てきています。是非お読みになってみてください! BCJの名古屋公演も定期的に行われるようになると良いですね。今回は東京では聴けなかった特別プログラムでしたので、うらやましく思いました。平日の夜でなければ是非おうかがいしたいところでした! (矢口) (02/08/13) |
260 | 《お久しぶりです(名古屋のマニフィカート)》 (前略)名古屋のマニフィカート、聴きに行くことができました。演奏プログラムは、名古屋用の特別編でしたが、大変楽しむことができました。 普段、私はアマチュアの合唱団バッハ・アンサンブル・コールという団体(http://www1.odn.ne.jp/bec/)に属していまして、毎週火曜日に練習をやっています。しかし、火曜日はBCJの名古屋公演の日。ちょうど我々の定期演奏会の直後ということもあり、練習を休みにして団員の大多数が聴きに行くことになりました。 一般的に、アマチュア合唱に参加している人たちは、複数の団体を掛け持ちしていて、聴きに行くよりも自分が演奏するのが大好き!という人たちです。BCJのようなハイレベルな古楽器団体は、およそCDなどでは認知しているのですが、生演奏を聞いたことのない人たちがほとんどです。 CDと生演奏が違うというのは、BCJとて同じです。生の演奏のパフォーマンス、響き、雰囲気は、CDではとても味わえないものです。生意気ながら、きっと団員の人たちも良い体験をしたのではないかと思っています。 今回の演奏会の感想は特に出演者に絡むものです。 名古屋の演奏会、BCJとしてはなんとも贅沢でした。マニフィカートのために(1演目だけのために)ソプラノを6名に増強、トランペットが1名から3名に、ティンパニの追加。一般受けするほど知名度のある演奏曲でなかったにも関わらず、国内の演奏会としては金銭的規模が大きかったと推測されます。しかしスケジュールがあわなかったのでしょうか、鈴木秀美さんがコンティヌオとしていらっしゃらなかったことが、かなり大きいと私は感じました。BCJとしても秀美さんの欠席は珍しいのではないでしょうか。 この日は山廣美芽さんが代わりを務め、レチターティーヴォなど健闘しておられました。しかし、普段聴きなれたBCJのコンティヌオとは違う印象を受けました。BCJのコンティヌオがダブル鈴木さんだから、BCJが他の古楽器団体とはまた違った魅力を放っているのだと確信しました。この日は、そういう意味では残念でした。 しかし、残念な話題だけではありません。矢口さんが話題にしていた、カウンター・テノールのマーシュ・ホワイトさんが大変すばらしかったです。最近一緒に演奏を聴きに行っている妻も、ロビン・ブレイズさんよりも落ち着きと品があると絶賛していました。マニフィカートでは、アルト・アリアがあり、美声を堪能することができました。今後も、BCJの演奏会に出演されるみたいですので、楽しみですね。 テノールの桜田さんも大変すばらしかったです。CDではゲルト・テュルクさんが演奏されていますね。テュルクさんの歌はどちらかと言えば叙情的で聴衆の心にゆっくりと入っていくような感じがするのに対して、桜田さんは声にのびやかさ、艶があり、正確なコントロールで歌い上げ、感嘆の思いで聴き入ることができます。マニフィカートでは、CDとは違った味わいを楽しむことができました。 ソリストの人たちは、どの人もそれぞれ持ち味があり、違った楽しみ方を提供してくれる感じがします。BCJ再演のプログラムでも、出演者の顔ぶれが変化すれば、違った味わいが出てくるので、今後の活動にも大変期待しています。 さて、アメリカ公演ツアーのこと、詳しい予定が組まれたそうですね。見ると、NYの次は、アナーバー、グランド・ラピッツ・・・。これらはミシガン州の町です。しかも、アナーバーは今年の夏、私が住み始めようとしている町ではありませんか。私も影ながら応援させていただくと同時に、当日は絶対聴きに行きます! 国内の演奏会は、岐阜のヘンデルを最後に、しばらく日本とはお別れです。米国レポート、書けたら書きますね。 (金原秀行様) (02/06/18) |
金原さん、こんにちは。お便りありがとうございます。BCJ名古屋公演、バッハ・アンサンブル・コールの皆様にもお楽しみいただけたようですね。 秀美さんのいないコンティヌオのご感想、なるほどと思います。で、今回、山廣美芽さんが健闘していらしたわけですが、実は一人のチェロ奏者がBCJデビューを果たしていたのです。その方の名は懸田貴嗣さん、そう、ご存じソプラノの懸田奈緒子さんのダンナさまです。懸田貴嗣さんは今秋のBCJブランデンブルク協奏曲公演にも出演されます。今後、ご注目を! カンタータ公演ではアリアのなかったマシュー・ホワイト氏、きっと、リリカルな歌を聴かせてくれたことでしょう。櫻田さんとテュルク氏は来春のアメリカ公演でもソロを歌われます。是非レポートお願いいたしますね!! (矢口) (02/08/13) |
259 | 《心沁み入るBWV565〜マニフィカト!》 (前略)前回の、松蔭チャペルのBCJカンタータも、残念ながら聴きに行くことができませんでした。演奏会&BCJとの交流会は、いかがでしたか?矢口さんにも、お会いできず、残念でした。神戸BCJ後援会の皆様もお元気でいらしたでしょうか? さて、名古屋音楽祭のBCJ、聴いて参りました。BWV565の雅明先生のオルガン演奏から始まり、マニフィカトまで、心に沁み入る演奏でした。クリスマスオラトリオから久しぶり、昨晩の演奏会は、W杯(ドイツVSカメルーン戦)でごった返す中を、職場より1時間、年休を頂いて駆け付け、開演に間に合いました。 矢口さん、それはそれは、素晴らしかったです!!私の席(2階席舞台下手)より、雅明さんのパイプオルガンを演奏される指先や、足鍵盤を駆使されるお姿まで拝見できました。あの芸術劇場の大きなオルガンを自在に奏でられる、四肢、聖なる魂、バッハを、ヘッセの詩を、すべての邂逅を想い、感謝致しました。心沁み入る演奏とは、まさにBCJ!! 素晴らしいアーベントでした。それでは、詳細は、また。取急ぎ、お福分けといたします。 (マエストロ、雅明先生、少し痩せられましたか?御多忙なのでしょうね?御健康をお祈り致します。矢口さん、BCJの皆様にくれぐれもよろしくお伝えください。) (Akiko Suzuki様) (02/06/13) |
Akiko Suzuki様、ご無沙汰しております。「マニフィカト」便り、ありがとうございます! BWV565、いわゆる「タリラ〜」ですが、雅明先生、きっとノリノリで弾いていらっしゃったのではないでしょうか。この曲について、新刊の「バッハからの贈りもの」で、バッハとしては出来映えが・・・? というくだりがあり、「でも弾くのは好きですよ。」とご発言されていましたので。この曲の演奏は2000年の1月に読響の演奏会でうかがっていますが、最初の装飾も結構たくさんやっていらして、躍動感あふれる演奏でした。 マニフィカトはもちろんCDになった'98年11月の第36回定期公演をうかがっています。そして今年はすてきなクリスマス・プレゼントが! クリスマス版のマニフィカトが12/10、オペラシティで演奏されます。Es-durの調性と挿入曲がクリスマスを祝います。今月30日、前売り開始。楽しみです!! Akiko Suzuki様、またのお便り、お待ちしております。 (矢口) (02/08/13) |
258 | 《オーケストラ・リベラ・クラシカの5月17日の演奏会について》 5月17日のオーケストラ・リベラ・クラシカ(OLC)の初公演は、衝撃的なほど新鮮で美しく、喜びあふれるものでした。指揮者鈴木秀美氏と演奏者たちが一心同体となって奏でる曲はどれも、しなやかさ、機敏さ、躍動感、繊細さそして緻密さを達成していたと思います。 演奏は歌にたとえても踊りにたとえても、とにかく始終非常にテンションが高く、聴く人をとらえて離さず、100%集中させるパワーを秘めていました。無駄な動きや贅肉のないバレエダンサーの舞踊のようでした。日ごろからよくわかり合っている仲間による、高度でエネルギッシュな演奏を本当に楽しませていただきました。 大のハイドン好きの私にとって今後しばらくOLCによるハイドンの調べに浸かる贅沢を約束されていることは、嬉しい限りです。秀美さんの勇気ある試みの見事な成功を、氏の大ファンである娘と共に心から喜んでいます。 (C.W.様) (02/05/25) |
C.W.さん、こんにちは。5/17のOLC旗揚げの東京公演のご感想、5月中にいただきながらご紹介が大変遅くなってしまった失礼をどうかお許しください。このOLCの演奏会については、OLCのサイトに紹介されている朝日新聞の評を始め、音楽雑誌等でも取り上げられ、一部新聞評に疑問を投げかける内容のものがあった他は、OLCの新鮮な音楽の楽しみを好意的に迎えてくれたようです。秀美さんは、先日のBCJ定期の後ポーランドに飛ばれ、かの地でもハイドン、モーツァルトを指揮されてきたとのことです。(こちらにレポートがあります!) さて、いよいよ明日、6/25(火)朝、そのOLCの公演がNHK-BS2にてオンエアされます(AM8:05〜9:00の予定)。時間の関係で全曲の放送はできないようですが、OLCのスピリッツはきっとビビッドに伝わってくるに違いありません。お見逃しありませんように!(もっとも私も仕事中なのでビデオ録画をして楽しむ予定ですが・・・) そして次回OLC公演は、C.W.さんも楽しみにされているオール・ハイドン・プログラム。朝・昼・夜の3曲を一挙に聴かせてくれます!(9/27) こちらも聴き逃せません!楽しみに待ちましょう。 (矢口) (02/06/24) |
257 | 《OLC旗揚げコンサート》 矢口さん、こんにちは。三ツつです。 OLC旗揚げコンサートの感想をアップさせていただきます。 当日の激しい雨で、出鼻をくじかれた感じがして、どのくらい入るのだろうか心配しながら、浜離宮朝日ホールに向かいました。着いてみると、7〜8割の入りだったでしょうか?盛況でホッとしました。画期的な活動の実質的なスタートとなるコンサートでしたので、多くの方と共に聴きたいというのが、正直な気持ちでしたので・・・ さて、演奏ですが、素晴らしいの一言でした。特に、一緒に行った家内が言っておりましたが、指揮者と一体になった演奏が印象に残りました。バイオリン、ヴィオラ、チェロ・・・もちろん管楽器も、一人一人の演奏者とアイコンタクトを取り、気持ちがピッタリと合っていましたね。 私としては、モーツァルトが良かったのですが、皆さんはどうだったでしょうか? 後で秀美さんと話す機会があったのですが、とっておきの話を仕入れましたので、これは独り占めするには惜しいと思い、こっそりご披露いたします。 指揮者がこのシンフォニーをどうイメージして演奏したかというと、 第一楽章 オバーチャ 第二楽章 セレナーデ 遠くから舞踏会の音楽が聞こえてくる 第三楽章 メヌエット 舞踏会の会場に着き、扉が開けられた 第四楽章 ロンド 舞踏会 うーん、なるほど。欲を言えばコンサートの前に聞いておきたかった。 (三ツつ様) (02/05/20) |
三ツつさん、こんばんは。さっそくのご感想、ありがとうございます。OLC第一回東京公演当日、本当にガット弦には厳しい天候の中でしたが、ホールの中にははち切れんばかりの音楽が満ちあふれましたね。鈴木秀美さん、OLCのメンバーのみなさんに心からのお祝いを申し上げたいと思います。おめでとうございます!そして、これからも生きのいい音楽を私たちにたっぷりとお聴かせいただけますように。アンサンブルの精度はすばらしいものでしたね。しかし、最初の公演でもあるためか、各奏者の自発性よりは指揮の秀美さんの思いがより色濃く表れた演奏だったと思います。これから回を重ねていくことで、実力派揃いのメンバーたちの愉悦と、秀美さんのしゃれっ気が程良くブレンドされたアンサンブルが練られていくものと期待しています。OLCのHPにさっそく秀美さんのコメントと東京公演の2日前に行われた高山公演の写真集がUPされています! C.P.E.バッハの才気、ハイドンの気品と遊び、さらにモーツァルトの安らぎと躍動にそれぞれ心動かされましたが、私はそのおもしろさをきっちり味あわせてくれたハイドンの演奏が最も印象に残りました。・・・実はこのハイドンの43番とモーツァルトの29番は、「VIVA! BCJ」開設前夜の1997年3月、今は異なる名称で活動されているアマチュア・オーケストラ「東京ロイヤル・フィル」の指揮台に秀美さんが上がってくださった時の演奏曲目なのです。この時には練習会場のお世話などをさせていただき、実に新鮮な音楽体験となったその練習を間近に拝見させていただいたものです。その時のことが思い出され、特に感慨深いプログラムでした。ハイドンの1楽章は5年前はもう少し軽い足取りでスタートしていたように思いますが、今回は荘重な序奏といった趣でより味わい深く表現されていましたね。なるほど、と思ったシーンの一つです。モーツァルトの各楽章のイメージは5年前にもうかがっていました。いろいろな楽しみ方のきっかけになりますね。モーツァルトでは2楽章の終わり近くのオーボエから始まるワンフレーズがとてもユーモラスに演奏されたことが大変印象に残りました。管楽器のメンバーは今回初来日の方もいらっしゃったとのことですが、さらにアンサンブルになじんで弦楽器に負けない精度で妙技を聴かせてくださることを期待したいと思います。 さて、9月のOLC第2回の公演は東京のみのハイドン・プログラム。今回を上回る新たな発見の嵐となるのでは、と今から心躍らせています。みなさん、楽しみに待ちましょう! さあ、ヒデミ・ファンの次の集いは今度の日曜日、5/26のガットカフェです。今度は「一人の器楽を相手にした通奏低音の奏法」がテーマ。またまた企業秘密大公開か?! 楽しみです。こちらに夜のコンサートのプログラムも発表されています! (矢口) (02/05/22) |
256 | 《3月29日の「マタイ受難曲」の感想》 もっと早く感想をまとめ始めてはいたのですが、3/29のマタイ受難曲の感激と興奮がまだ冷めぬ間に、とうとう、私も流行りのウィルスにやられてしまいました。というわけで遅くなりましたが、感想を送らせていただきます。 3/29のマタイ受難曲は、2週間のハードな旅の後なのにもかかわらず、本当に素晴らしかったです。そのハードスケジュールに加え色々なハプニング続きの旅だったと秀美さんのレポートで知っていたので、尚更、‘皆、無事に戻って来てくれて本当に嬉しいヨォ’…という気持ちをかみしめてました。そんな中で演奏が始まりました。「マタイ」を生で聴くのは今回が初めてでしたが、やはりCDでは味わえない感動がありました。ドミニクとロビンによるソプラノ・イン・リピエーノは最高でしたね。ソプラノ・イン・リピエーノが入ると同時にオケと合唱のボリュームがサッとおさえられ、その中を太く通る二人の声は見事に溶け合っていてとても美しく、感激しました。(まるでコーヒーに入れたクリームのよう。)二人で同じ音を歌っているのに、カウンターテナーのロビンの歌う音の方がドミニクの音よりも高く聴こえたのが印象的。CDの児童合唱のもそれなりの意味もあるでしょうし好きですが、私は今回のが断然気に入りました。(録音のないのがもったいないと思ってるのは私一人かしら。 ) ドミニク・ラーベルは、普段よく聴く馴染みのあるソプラノの声質とはたしかにちょっと違ってましたが、高い音を高い音に感じさせず、部分的にややハスキーな歌声は歌詞の内容に合っていて、よく意味が伝わってくると思いました。クリスマスオラトリオなどの場合、もっと澄んだ声が望ましいのかもしれませんが、ドミニクの声は受難曲にふさわしいと個人的には思いました。また、私の読んだある記事によると、彼女は若い頃から非常に教会に携わっていたようで、歌詞の内容に精通していると思いますし、ステージの上の彼女は歌っていない時もとっても自然体で、優しくあたたかい表情で、とても好印象でした。ソプラノとアルトのデュエット“So ist mein Jesus nun gefangen”はテンポも歌い方もCDとずいぶん違いました。両方ともいい味で好きです。(ロビンとドミニクは2000年に、ヘンデルのオペラ「ロデリンダ」で王様と妃として共演してるんですが、当然のことながら、別人同志みたいなところも見てておもしろかったです。)その後の生の“Sind Blitze, sind Donner”は期待以上のド迫力!! 圧倒されました。(CDでここを聴いていても、いつもあまりの迫力に全身鳥肌状態になり、ブルブルしてしまうほどで、真夏にはクーラーより涼しくしてくれます。)特にチェロの動きが耳に焼きついて離れません。秀美さんのチェロファン(妹)にとってはたまらないところだと思います。私自身チェロを弾くわけではありませんが、あの弓さばき(ボーイング…でしたっけ)、美しいんですよね。聴くだけじゃなくて見てても美しさを楽しめる…。ほぼ休み無しでずーっと弾いてらっしゃるうえ、コラールは、やっぱり一緒に歌ってらっしゃるあたりが本当に聴衆の心を打つんですよね。また、演奏にとどまらず、旅のレポートでファンをとことん楽しませて下さり、もう、嬉しくて…。秀美さん、素晴らしかったです。 ゲルト・テュルク氏のEvangelistを生で聴けたのもこれまた感激でした。様々な表情でしっかりと聴衆に語りかける、説得力のある彼のEvangelistを生で聴いて、本当に彼はNo.1のEvangelistだ!と改めて思わされました。ところで、ゲルトのちょうネクタイの色(あざやかな黄緑に紫のシマ)はおもしろかったですね。イエスによる救いへの希望を表す意図があったのでしょうか。ペテロの裏切りの場面で、ゲルトが「そして外に出て激しく泣いた」と言うところは、いつ聴いてもグッときます。その後に続く“Erbarme dich”…。アルトが歌ってるのも聴いたことありますが、カウンターテナーの(特にブレイズさんの)ピンと張りのある音が「苦しみ」や「痛み」などを、より強く表現してくれるように感じ、私はアルトよりカウンターテナーを好みます。また、歌の内容も、マリアの心を特に代表してるというより、同罪を意識してる全ての人間の心を表してると思えるからです。このアリアの時に涙する方が多いとよくいわれますね。私の周りにも泣かれてる方がかなりいました。でも、私がポロっとなってしまうのは「Koennen Traenen meiner Wangen」(「この頬の涙が」)の方です!その前のレチタティーヴォからグワーっときて、アリアの前奏のあたりからこらえきれなくなってしまう。アルトアリア“Sehet Jesus hat die Hand”はこれまたお気に入りの一つだったので、「三年前の録音の時と、どこか歌い方を変えるのかなあ」と楽しみにしてました。今回、3回目の“kommt!”を軽く響くように歌う、ブレイズさんの絶妙な歌い方は、“来なさい”と導き入れる慈愛に満ちた優しさを表しているように思いました。また、オーボエ・ダ・カッチャのはずむような動きが聴こえて、この曲の美しさをひとしお感じさせてくれました。バスのアリア「おのれを清めよ」のオーボエ・ダ・カッチャも美しくて大好きでうっとりさせられています。エッケハルト・アーべレのあたたかく包むような気品のある歌い方がこの曲を深みのある味わいにしてくれたと思います。また、この曲を歌っているアーベレを見ているドミニク・ラーベルの、ゆったりと見守るようなまなざしと微笑んでる口もとがとても印象的で、今も思い出されます。最後の合唱はソリストたちもエッケハルトを除いて全員歌いました(ゲルトは暗譜)。やがて最後の曲が終わり雅明先生の手がおろされると、拍手の嵐。ソリストはじめ、各楽器奏者、そして合唱へと各々に、又BCJ全体に対し、素晴らしい演奏への喜びと感謝 の敬意を示す拍手は大きく鳴り響きました。夜すでに11時の彩の国さいたま芸術劇場からの帰り道、雨足が強く足元も少し濡れる、駅までのわずか10分の道のりは、BCJマタイ受難曲の余韻の中、三日後の復活への希望と喜びを胸に、♪ピッチ、ピッチ、チャップ、チャップ、ラン、ラン、ラン♪でした。会場に向かう時からの、この日の雨の情景も重なって、脳裏に焼きつく、思い出深い聖金曜日となりました。 何と明日の20日はカンタータ神戸公演!27日の東京公演も間近!! カンタータ60番と同じタイトルの20番がどのような曲なのか、また、どうして一年後に同タイトルの曲を作ったのか等など、色々と教えていただくのを楽しみにしています。クリオラ以来久々に野々下さんとコボウ氏の歌声を聴けるのも嬉しいですね。今年度のBCJ定期演奏会、大いに祝福あれ! (K.K.Witmer様) (02/04/19) |
Witmerさん、BCJ2002年「マタイ」日本公演初日のご感想、ありがとうございました。ポイントになるナンバーをたどりながらのご感想、あの雨の聖金曜日の演奏が目に浮かぶようです。今回はツアーに行くことを踏まえた編成で、実は色々な制約が多かった中での演奏だったと思うのですが、ご感想を拝見すると、BCJの“新”「マタイ」のエッセンスはしっかり伝わったようでうれしく思いました。1曲目と29曲目のソプラノ・インリピエーノはこのBCJの“新”「マタイ」の目玉の一つです。今回カウンターテナーのロビンを起用したことでまんべんなく豊かな響きが得られたことは大きな収穫でしたね。いつの日かBCJ「マタイ」の再録音の暁には必ずやこの方法が採られるものと思います。 お便りをいただいたのが今回のカンタータ神戸公演前日の19日だったのですが、ご紹介は神戸公演はすでに終了した本日、22日になってしまいました。今回のカンタータについては業務多忙につきなかなか予習の時間がとれず苦慮しています・・・。現在コープマンの演奏を中心に聴いていますので、東京公演前には何らかの形でレポートしてみたいと思っています。特にBWV94はBCJとして久しぶりの再演でもありますし、過去の資料なども探し出してみるつもりです。 しかし、実は一昨日、いつも詳細かつ内容に肉迫したレポートをお送りくださっている竹内さんから、一足先に今回の公演のポイントをお送りいただきましたので、ここでご紹介させていただきます!
それでは、現在神戸で行われている録音の成功を祈り、東京公演を楽しみに待ちましょう!! (矢口) (02/04/22) |
255 | 《ヨハネ受難曲第2稿》 矢口さんおはようございます三ツつです。「ヨハネ受難曲」第2稿について、ガットカフェの後で矢口さんから直接お聞きした後で、VIVA! BCJホームページでも読んで、興味津々聴きに行きました。 その感想を、皆さんの批評とは違ってミーハー的に書いてみたいと思います。 > 「いったり来たり」の状態になってしまいます。・・・・ > 大きな指揮者用のスコアに付せんがたくさん付けられていて、何度もめくり直しながら > 指揮をとっていらっしゃいました。 当日、最前列舞台に向かって左の席で聞いておりましたが、拍手に迎えられて入ってきた雅明さんのスコアには色とりどりの付箋がつけられていました。 また、パウル・エレラさんの楽譜が目に入ってきました。第1部終わりのコラールだったと思いますが、下半分が切断されて、ありませんでした。逆に、第2部終わりのコラールのところには、どこかから切り取った楽譜が貼り付けてありました。これって、第一部から切り取ったあれでしょうか? 次に興味を持ったのは、ガンバの福沢さんです。出番まで長い時間がありましたが、待っている間にもしきりにウォーミングアップをしていました。そして期待を裏切らない素晴らしい演奏、哀愁をおびた旋律を聴いていると切なくなってきました。 それに比べると、失礼ながら、ドミニク・ラーベルさんのソプラノはうまくいかなかった様に聴こえました。第一部は素晴らしかったので、きっと待ちくたびれたせいでしょう。 いずれにしろ、聞きなれた「ヨハネ」とは違った、しかし素晴らしい演奏、解釈、これを引き下げて海外遠征(?)に出発したのですね。日本の誇る才能:鈴木雅明、秀美にブラボーです。 (三ツつ様) (02/03/16) |
三ツつさん、こんにちは。BCJフォーラムにようこそ! あの『ヨハネ受難曲』第2稿の演奏会のご感想、コンサート直後にお便りをいただいていたにもかかわらずご紹介が遅くなってしまい申しわけありません。BCJはもうスペインでの『マタイ』演奏を終え、いよいよイタリア・トレヴィゾでの『ヨハネ』に取り組もうとしているところです。ただ、この3/26のイタリアでの『ヨハネ』は、先日東京で演奏された第2稿によるものではなく、現実にはバッハの存命中に演奏されたことの無い、新バッハ全集に基づいた版での演奏です。つまり今回のパッション・ツアーで初めて「主よ!」の呼びかけで始まる、通常聞かれる『ヨハネ』の第1曲が披露される訳ですね。そして帰国後の聖金曜日(3/29)と復活祭前夜(3/30)に埼玉で『マタイ』が演奏されて今回のツアーの幕が閉じられることになります。もうあと少しです。 『ヨハネ』第2稿の演奏ですが、この稿の持つ意味合いをよく伝えてくれた演奏だったと思います。たくさんの付箋が付けられた譜面でしたが、第2稿のみのアリアなどはコピーを挟み込むなどの工夫がなされていて、音楽とドラマの自然な進行を妨げることはなかったと思います。パウル・エレラさんのパート譜の切り取りや貼り付けは何だったのでしょうね。第1部の終わりのコラールは基本的に他の稿と同じなはずですが・・・? 第2部の最後のコラールはBWV23の終曲を貼り付けたのでしょうか。 私が今回の第2稿の演奏をうかがってもっとも強く感じたことは、この『ヨハネ』第2稿は『マタイ』への胎動なのではないかということです。今日知られている『マタイ』第1部の終曲が今回『ヨハネ』第2稿の最初に置かれていた訳ですが、バッハにとってはこの『ヨハネ』第2稿に用いたアイディアの方が先な訳です。その後『マタイ』初期稿では第1部のしめくくりは簡素な4声体のコラールでした。そしてさらに後の『マタイ』の演奏の中でこの『ヨハネ』第2稿の冒頭曲が『マタイ』第1部の終わりに置かれるようになった訳です。 『ヨハネ』第1稿でまさに『ヨハネ』的な"栄光ある成就"を描いたバッハが、翌年、受難を今度はのちに『マタイ』のテーマとなる"慈愛"に焦点をあてて描こうとしたものがこの第2稿なのではないか、と思いました。そのためか、いくつかの楽曲の違いだけでなく、同じ楽譜であるはずの音楽までが、今回の演奏ではどこか丸みを帯びて表現されていたように思います。是非今度はBCJで『マタイ』の初期稿をうかがってみたくなりました。今回は行われなかった『ヨハネ』第2稿の録音と『マタイ』初期稿の演奏&録音を是非お願いします! さあいよいよ、『マタイ』への道の始まりであったかも知れない『ヨハネ』第2稿で始まった「BCJパッション・ツアー2002」も、3/30の埼玉公演でフィナーレです。是非そのヨーロッパ帰りのBCJの『マタイ』を味わいましょう!! 3/15には表現にやや硬さの見られたソプラノのドミニクさん(道中、体調を崩されたとのことですが・・・)も、ハードな旅を共にしたことで、きっとBCJトーンと美しい響きあいを聴かせてくれることと楽しみにしています! バスのエッケハルトさん、私はその気品のある表現がとても気に入りましたので期待しています。ガンバの福沢さんには『マタイ』でもバスのアリアに見せ場がありますよね! (矢口) (02/03/26) |
254 | 《芸大のモテットには驚きました。》 矢口さんからの情報により、2月21日の東京芸大の古楽器科の演奏会に出かけました。満員の講堂での若者達の懸命の演奏は実に好ましく、また頼りない所に微笑みつつも時おり煌めく才能に驚いたりしながら、楽しく聴いておりました。(とくに後半の初めて聴いたデュモンは、私の好きなクープラン的な香りいっぱいの素敵な曲と美しい演奏でした。)そして最後は待望のバッハのモテット「主に向かって新しき歌を歌え」。 当日初めて登場した鈴木雅明さんの指揮で最初の「歌え!」が流れた瞬間、まったく驚きました。これはまた何という充実した響きなのでしょう。これが今までと同じメンバーの声とはとても信じられない、格段に見事な響きでした。この曲の前まで、若者達は指揮者なしで見事に歌ってはいましたが、多少各人がバラバラで、表現の方向性に戸惑っていた気味がありましたが、その全員の秘めた力が鈴木さんの一振りで瞬時に見事に一点に集中し爆発し、演奏至難と言われるこの曲を一人一パートで最後まで緊張感をもって歌いきったのでした。本当に素晴らしい演奏でした。これでは「学生の」演奏などではない飛び抜けた名演奏としか言いようがありません。こんな奇跡もあるのですね。 このようなに感動に満ちた演奏会を教えて頂いた矢口さんに、あらためて感謝いたします。ありがとうございました。 それにしても、かくも見事にメンバーをまとめ未知の力を引き出す鈴木さんの力量の何と恐ろしいことでしょうか。この力があってこそ、あの毎回BCJのコンサートの緊張感のある音楽が生まれるのだとあらためて納得した次第でした。15日のヨハネ第2稿が今から楽しみです。 (玉村 稔様) (02/03/09) |
玉村さん、こんにちは。お便りありがとうございます。2/21の「コガッキヨコンニチハ」コンサート、紹介しておきながら都合がつかず聴きに行けなかったので、ご感想、大変興味深く拝見いたしました。やはり"マサアキ・マジック"が炸裂していたのですね。モテット「主に向かいて新しき歌を歌え」は定期公演で2度(カザルスホールと紀尾井ホール)と、モービル音楽賞の授賞式に特別にお招きいただいた時にうかがいましたが、毎回色々な工夫が凝らされ、多彩な味わいを楽しませていただいたという記憶があります。いずれBCJによる「モテット」のCDも作られると思いますが、実現が待ち遠しい企画の一つですね。今回は可能性に満ちた若者が相手。マサアキさんのインスピレーションがまた普段とは違ったヒラメキを見せたに違いありません! さあいよいよ今日はBCJパッション・ツアーのスタートとなる『ヨハネ』第2稿のコンサートです。「新全集版」「第4稿」と刻まれてきたBCJの『ヨハネ』の演奏史に、きっと新たな輝きを添えてくれる一夜になるでしょう。楽しみです! (矢口) (02/03/15) |
253 | 《2月9日のカンタータコンサートの感想》 矢口さん、はじめまして。(うわー、私がこのHPにお便りするなんて。これで私も大人の仲間入り!?)実は以前、この道の先輩、+おくむらけいこさんと一緒に居た時に、何度かお目にかかったことがあります。 2月9日のカンタータコンサート、4曲とも最高でしたね。演奏が始まると同時にいつものように、全身鳥肌!コンサートが終わるまで、暑くなったり、寒くなったり...。初めてジェームズ.ギルクリストを生で聴けて、感激でした。以前から favourite tenorの一人でしたけど、今回でさらにファンになりました。カンタータ81番のテノールのアリアの嵐のところは、本当に押し流されてしまいそうな、その勢いに圧倒されましたし、その後のペーター.コーイの"Schweig! Schweig!"は威厳に満ちた迫力があって、あれならすぐにピタッと静まるだろうな、と思いました。「新しき契約の喜びの時よ」のアルトのアリア...。あの melisma には本当に「喜び」が感じられますね。大好きです。そして一番楽しみにしていた190番!最初の合唱は何て美しく、また、よく出来ているんでしょう!声楽の全パートがユ二ゾンで歌うところは、さすがBCJ、ばっちり一つの声になっていたので、主を恐れる者たちが皆、心を一つにして主を賛美し、主に祈る、そういうものがよーく歌に表れているように思えました。その後にバスからソプラノ、そしてソプラノからバスに向かって入っていくフーガのところで私は、"すべて"息のあるものよ、主を賛美せよ!と強く感じたのです。いつも、いろんなBCJの演奏を聴いていて好きなところの一つなのですが、付点のリズムが重たくなく、前へ前へと進む感じも非常に良いですね。コンサートの後でブレイズさんが、このカンタータに関して「歌ってて、本当の喜びを感じる」とおっしゃってましたが、聴いてる側の私も、バッハが詩篇の御言葉で作った、このすばらしく美しい曲に、一層、神への喜びを感じました。 鈴木雅明さんの息子さん、優人さんの復元して下さったこの190番!この上なく美しく、私は大いに気に入りました。バッハがどう思ったかは、いずれ本人に会う時に聞けるので、たのしみです。親子2代にわたって共に研究に取り組んでいらっしゃられるとは。神の豊かな祝福が、さらに増し加えられますように。次のヨハネ受難曲、待ち遠しいです。そして、その後に続くハードスケジュール!ついて行っちゃいたい気持ちをこらえつつ、日本でマタイを待っていましょう。 (K.K.Witmer様) (02/03/01) |
Witmerさん、こちらでははじめまして。お便りありがとうございます!
あのカンタータコンサートからもう一月近くが経ってしまい、もうすぐ「ヨハネ」公演です。楽しみですね。 190番の第1曲の復元ですが、神戸での公演と録音の時には若干の手直しが行われたとのこと。いずれその成果はCDで耳にできると思いますので、こちらも大変楽しみです! 「ヨハネ」、そしてツアー帰国後の「マタイ」のご感想なども是非お寄せください! (矢口) (02/03/07) |
252 | 《新しき歌、新しき復元》 鈴木雅明さん率いるBach Collegium Japanの第153回チャペルコンサートのライプツィヒ時代1724年のカンタータ5−新年,顕現節,マリアの潔めの祝日用のカンタータ−を聴きに,神戸松蔭女子大学チャペルに行きました(2月11日(月・祝) 15.00-17.00頃)。 小雪が舞い木枯らしも強く吹く荒れた天候で,チャペル前に着くと人影がなかったので少し早く開場したのかとふとチャペルの反対側を振り向くと,懇親会を行う建物の下の通路のところにずらりと並んでいたのでした。チャペル前にも張り紙がしてあり,荒天でそのようにしたとのことです。祝日のせいでしょうか,いつもよりもたくさんの人が並んでいたようで,実際に立ち見も多くて座席もよく埋まっていたようです。 プログラムは下記の通りで,矢口さんが先に書かれている通り チラシとは曲順(と題名の訳)が異なりました。
このプログラムの変更は,前半と後半の対比がより際立ったという点で,より良かったように感じました。また,調性の推移を見ると, ハ長調(最後はイ長調)−ホ短調(最後はホ長調)−ホ長調(最後はニ長調)−ニ長調 という見事な流れになっていました。 今回も終演後にレコーディングがあるようで,ノイマンのマイクが林立する中での演奏会でした。 演奏者の配置はいつもとは少し違いました。1) まず,客席との距離がいつもよりあったこと,2) 指揮者の位置にチェンバロとオルガンが並置されていたこと,3) コンチェルティストはその間まで出てきて歌ったこと,4) コンチェルティストが歌わない時のための席が両端にあったこと,でしょうか。しかしながら,3)はコンチェルティストが客席に近くて歌が明確に聞こえる反面,リピエニストと一緒に歌うような時には戻りが間に合わずに,端の方あるいはチェンバロとオルガンの間で歌わざるを得なかったようです(特にBWV81, 83で最後のコラールの前がアルトのレチタティーヴォの時にブレイズさんが戻れませんでした)。聞き手としては,松蔭のこれまで通り,リピエニストの前に出てきて歌う方が自然なような気がしました。 オーケストラは最初は,下手端にコルノ・ダ・カッチャIとII(これはトランペットIIとIIIの席で,最初はトランペットIとティンパニの席が空席),上手オーボエの前にリコーダーIとII(オーボエIIIの席も)とあったために,一杯という感じで,コンチェルティストの出入りも少し大変そうでした。コントラバスは,今回は低いcが必要なので5弦ヴィオローネでしょうか。どっしりと響かせていました。 まず最初に,オルガン独奏によるプレリュードとフーガ ハ長調。プログラム解説にあるように,プレリュードは3連音が耳に残り,短いフーガのテーマの精巧な対位法にペダルによって拡大形が導入される様が印象的。ただ,気のせいかミスタッチが気になりました。
カンタータの《彼らはシェバからやって来る》は,華やかなコルノ・ダ・カッチャで始まるゆったりとした1.[合唱]でシェバから来る人を表現。リコーダーも違った雰囲気を与えていました。「ベツレヘムに嬰児が生まれぬ」からの2.コラールでは4分の3拍子でしっかりと歌詞が歌われていました(コープマンは最初の合唱との連続を考えたのでしょうか,3拍子を1拍で取って極めて速く演奏)。バスの3.レチタティーヴォに続いて,オーボエ・ダ・カッチャが参加するのでコンティヌオにファゴットも入った4.アリアはコーイさんはやや抑え気味?テノールの5.レチタティーヴォのギルクリストさんは,客席を見渡しながら雄弁に語りかけるよう。聖書の別の箇所からの引用である「信仰を黄金として,/祈りを乳香として,/忍耐を没薬として」ではチェロは延ばして。続くテノールの6.アリアでは中間部の細かな音型の歌は見事!それで安心したのでしょうか,その後の高いaはご愛敬でした。オケもスタッカート気味で快活。最後のP・ゲルハルトの7.コラールはしみじみと,途中で少し延
ばされて,その後の「またあなたの栄光がますます,/私のうちにおいて高められますように」が浮き立っているようでした。 コルノ・ダ・カッチャははけてリコーダーは残ったまま《イエスは眠りたもう,私の望みはどこにあろうか?》に。アルトのゆったりとした1.アリアではリコーダーが眠りに誘います。ブレイズさんも抑え気味ですがしっかりクレッシェンド。テノールの2.レチタティーヴォでは印象的な「導いてください」。続く3.アリアでは「ベリアル」「倍増」「猛威」「奈落の」の激しさ!ギルクリストさんの細かな音型の歌は見事。コンティヌオはチェンバロもオルガンも総動員。そして4.アリオーゾではイエスが抑え気味に登場。チェンバロ,オルガン,チェロというコンティヌオの明確さと対照的でした。アタッカで5.アリアに移り,弦の音型で表される並みの高まりに「静まれ」(Schweig)と力強く語るコーイさん。そして,アルトが6.レチタティーヴォで幸いを歌い,最後のJ・フランクの7.コラールではJ・クリューガーの《イエス,我が喜び》のメロディーに乗せて。「サタンよ,奮い立つがよい」と最後のまったりとした「主イエスは私を守られる」が対照的でした。 「絵画的」とも評されるこのカンタータでは,当局の反応が何であれ,聖書が非常にわかりやすく音楽化されてとても魅力的なことには変わりがないように思いました。 休憩になると受付のところで何種類かのCDが売られていましたが,第17巻などはまだ上陸していませんでした。 後半になるとリコーダーがはけてオーボエが前進。コントラバスは今回は移動しませんでした。 後半は喜ばしい《新しき契約の喜びの時よ》から。再び華やかなコルノ・ダ・カッチャが入ったアルトの1.アリアがゆったりと。ヴァイオリンのソロ(コンチェルタート)も線が細いながらも装飾も交えながら。シメオンが登場するバスの古風な感じの2.アリア[+レチタティーヴォ]では低音がもう一つ聞こえにくい印象が。コーイさんの体調はどうだったのでしょうか。テノールの「急げ」という3.アリアではコンティヌオも総動員で快活な中にもクレッシェンドが印象的。テノールの歌もヴァイオリン・ソロも生き生きと。アルトの4.レチタティーヴォで最後に高い音の光と対比して死が低い音で表現されて。最後にBWV125でも有名なM・ルターの5.コラールで,短いながらも充実したカンタータが締めくくられました。 最後に,トランペット3本,ティンパニ,オーボエIIIも加わった,今回の最大の注目である《主に向かって,新しい歌を歌え》では,失われた第1, 2曲目の大半のオーケストラ部分がどう復元されているかが1つのポイントでした。1.[合唱]はトランペットで開始されて(コープマンはオーボエ。他の復元は調べていません),歌詞として使用されている詩篇149篇と特に150篇に具体的に名前が挙がっている様々な楽器の音楽化は,充実していたのではないかと思います。楽譜をぜひ見てみたいものです。そして,途中の合唱のユニゾンで歌われるM・ルターのドイツ語訳の〈テ・デウム〉すなわち「主なる神よ,あなたに感謝します」の何と荘厳なこと!2.コラールとレチタティーヴォもかけ合いがとても印象的。コラールでは今井さんにオルガンで任せていたコンティヌオも,レチタティーヴォの部分では雅明さんもチェンバロを演奏。テノールとバスの5.アリアではチェンバロとチェロのコンティヌオに乗せて,オブリガートとしてヴァイオリンが奏でる中,全ての行でイエスを主語にしてしみじみと歌われました。テノールの6.レチタティーヴォでは高いhで表現される「雲にまで」もしっかり。その後の「新たに」がモットーとして特にしっかりと。最後のJ・ヘルマンの7.コラールで はトランペットとティンパニも加わって華やかにゆったりと。ファン・デル・ファルクさんのティンパニはまるで歌っているかのようなリズムと強弱で,その表現の豊かさに驚きました。 旧約聖書における「新しい歌」というのは私も追求しているテーマの1つですが,バッハなりの詩篇149篇(同時に挙げられている96篇の他ももちろん念頭にあったはず)を用いた新しい歌の音楽化,鈴木父子による復元,バッハ・コレギウム・ジャパンの演奏から多くのことを学びました。 そして,このBWV190は一刻も早いCD化を望みます!(あのマイクの配置ではその可能性あり?)できれば,今回の楽譜も出版なり一般の目に触れる形で公開されることも希望したいです。 ちなみに,第1, 2曲目の復元された楽譜はコンピュータで製作されているようですが,アプリケーションは何でしょうか。おそらくFinaleと推測しているのですが(ちなみに,私はFinaleの縮小版のPrintMusic! 2001Jを使っています)。 今回もまた,BCJの演奏には一種のまったりと成熟した良い雰囲気とオーラが見えるような気がします。一方で,率直に言うならば,マンネリにならないような新しいプラスアルファをこれからも加え続けて欲しいと期待しています。その意味で,今回コルノ・ダ・カッチャやリコーダーが加わっていたことで,また違った雰囲気がかもし出されていたと感じました。 プログラム(1000円)はほぼいつも通りの連載で演奏会の時だけでは読み切れないくらい内容が充実しており,今回はさらに聖句を記してあるページの上部に「1724〜ライプツィヒの教会暦」が掲載されているのが,今回のカンタータを時系列的に理解する助けとなっていたようです。 なお,パーソネルの部分で,BWV65のオーボエIIについては江崎さんではなく尾崎さんが吹かれていました。 今回の雅明さんの巻頭言は,今回でライプツィヒの第1年巻が終わることもあってでしょうか,歌詞について掘り下げておられた最近のものとは違って,曲の解説に力点が置かれているようでした。 今回,懇親会があることを会場に行ってから知りました(矢口さんのページをチェックしておくべきでした)。用事があったので参加できませんでしたが,色々と伺いたいことがあったのでとても残念でした。 次回の定期は新年度の4/20で(私はまだ申し込んでいません(汗)。Eile, Eile!)いよいよコラール・カンタータのBWV20, 7, 94です。 個人的にはトラヴェルソが華やかに活躍する94が注目でしょうか。最近では,ガーディナーの素晴らしいCDや(BWV105も絶品!),合唱をリフキン説に従って各1人ずつで歌っているラ・プティト・バンドのCDもあるので,比較するのも一興かもしれません。 (竹内 茂夫様) (02/02/16) |
2001年暮れの「クリスマス・オラトリオ」神戸公演のレビューに引き続き、2002年最初のBCJカンタータコンサートのレビュー、ありがとうございます!
公演直後にお便りをいただきながら今回もご紹介までに時間がかかってしまったことをお詫び申し上げます。 いつもながらの各楽曲についての詳しいコメント、まるでもう一度音楽を聴いているように感じます。また聖書の内容に対応したご感想も大変参考になります。 懇親会に参加されなかったとのこと、残念です。しかし、ご心配には及びません?! ご質問の向きをお寄せいただければ「Q&A」のコーナーでご紹介し、鈴木雅明さんはじめ、BCJ関係の皆様にもお答えいただけますので、是非どうぞ! 東京ではまもなく「ヨハネ」第2稿の公演とヨーロッパツアー後の月末の受難節には埼玉で「マタイ」の公演があります。その両受難曲の演奏を経てBCJが取り組むいわゆるコラールカンタータ年巻(ライプツィヒ第2年巻)の開幕を飾るコンサート、楽しみですね!是非またレビューをお寄せください。 (矢口) (02/03/07) |
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