家屋敷、鬼瓦のちょんまげ? 2009/11/29

金沢、長町の武家屋敷に写真撮影に行った。
紅葉もまだ残り、雪釣りも一部始まっていた。土塀のこも掛けは12/1から始まるそうで、その写真は次に紹介できそうだ。

紅葉、金沢市内では木によってピークがずれる。だから、もう散っている木があるかと思うとまだ緑が残る木もある。これは兼六園なども同じなので、一番美しい木などを写している。この日、用水越しの紅葉と土塀の続く通りを写して帰ろうとしたとき、塀越しのもみじがこれまた見事なので見ているときに家の主から声を掛けられた。中の庭も見てゆけ、と。お年は80過ぎだろうか? 長町の中では広めの道に面した家で、門をくぐって入ると小さいながらも風情ある庭であった。
そこで、”武家屋敷の見分け方を知っているか?” と。曰く、鬼瓦などにちょんまげのような飾りがあるのが本当の武家屋敷、と。確かに一部の屋敷にはそのような鬼瓦がついている。早速帰って調べてみると、これは鳥衾(とりぶすま)といい、鬼瓦に鳥が止まったり糞をかけたりしないようにと作られたものなのだそうだ。ただ、武家屋敷固有のものである、という記述はまだ見つけていない。長町などでは武家屋敷であった建物に多いようだけど、大手町にある現在唯一公開されている武家屋敷にはなかった。(というより、もともと瓦はなかったように感じる建物である) 鳥衾、当時はそうだったけど今は違う、ということかもしれない。武家屋敷の見分け方になるかどうかはわからないが、鳥衾を知ることが出来ただけでも勉強になった。

その後、ぶらぶらと歩いていて見つけたのが新家邸の長屋門。門の脇に出窓状の武者窓がある。中からは外が見えるけれど外からは見えないようになっているそうだ。しっかりした作りである。
で、帰りにまた鳥衾の家の前を通ると、今度は若い女性2人に説明していた。庭はこじんまりとしていて風情がある。本来は非公開。私はここ、何回も通っているのだが、声をかけられたのは初めて。運が良ければ見られるかも?

鳥衾のある鬼瓦。この記事で書いた家とは別です。


茶屋街にて 2009/1/5

多くの人が正月休みの最終日になるであろう、1/4、東茶屋街に行った。
時刻は午前の 11時過ぎ。まず国道沿いの駐車場に行くと既に満車。休日ならばいつものことなので川沿いの駐車場に向かう。ここはまだ空きがあった。
茶屋街に来た目的は写真撮影。ここへは昨年の夏以来になる。今回、デジタル一眼レフに加えてフィルム一眼レフも用意した。フイルムは白黒。正月写真用に用意した残りである。フイルム用は、本当はマニュアルカメラにしたかったのだが、マニュアルカメラはフラッシュのTTL調光ができないのと、フラッシュの発光が不安定で光らないこともある(簡単に言えば故障?)ので、オートフォーカスカメラになった。今回は、カメラを2台ぶら下げての撮影である。念のため書き加えると、街角ではフラッシュは要らないのだが、正月写真には必要だったのである。

まずは茶屋街の入り口、広見に行く。思ったより人が多いと思いながらカメラを構えるとその直後に団体が・・・。そういえば、観光バス専用の駐車場に数台とまってたことを思い出だした。私の場合、観光地では人が一緒に写ってもよいと思っている。適度の人は、写って欲しくないものや目立って欲しくないものをうまく隠してくれるのでありがたい。しかし、到着直後の団体さんはちょっと多すぎた。まだ散らばっていないので視界がふさがれてしまうし、カメラを構えている。ちょっと待とう、と思っていたら記念写真の撮影の依頼。団体参加と思ったら違う・・・。考えてみれば、団体さんなら同じグループの人もいるしガイドさんもいる。写しているうちに団体さんも散り始めたので何枚か写す。

茶屋街の表通りを歩いて、途中で裏通りに外れる。これは私のよく歩くコースである。茶屋街、この裏通りが大切なのである。細い通りが折れ曲がり、入り組んでいる。十字路だけではなく、丁字路も目立つ。そして・・・茶屋の玄関がこちらにもある。茶屋、座敷が特別多いわけではないのに玄関がいくつもある。2つではなくて3つ4つ・・・。そして裏通りにもある。これは決して格の違いによる使い分けではない。もちろん裏口でもない。これは、お客同士が出会うことを避けるためである。お客の中には顔を合わせたくない人同士だっている。そんなとき、裏通りの入り組んだ道が役に立ったことだろう。見通しの効かない裏通り、茶屋にとって表通り以上に重要なのである。

私の曲がった道、裏通りで突き当たり、丁字路となる。そこには昔ながらのお店がある。飲み物やお菓子などが並び、棚にはカップラーメンや洗剤などの日用品もある。何でも屋というほど品物は多くないが、ちょっとしたものならここで間に合いそうだ。芸者さんなどもここでちょっと買い物をしているのかも? と思うと楽しい。裏通りまで来る観光客は少ないが、この店のおかげで、ちょっと足を運んでくれるように思えるところがある。が、冬でガラス戸が閉まっているからか、開けて中まで入る人は少ない。

裏通りでカメラを構えるが、適度な人、というのはタイミングを待たなくてはならない。それにしても、電柱があるのが寂しい。この狭い通りが風情があるのに、単純に表通りから電柱を無くせばよい、と裏に回したように見えてしまう。裏も地中化を進めて欲しいものだが、当分は無理だろうな・・・と思う。裏通りを行き来しながら何枚か写し、適度なところで引き上げる。

駐車場からの帰り道、観光客が道を塞いでいるのでところどころゆっくり走る。東茶屋街、観光客には純粋な観光地に思えるかもしれないが、すこし離れると人が生活している場でもある。これは武家屋敷跡も同じである。駐車場からのこの道も、生活道路なのである。
Webで見ると、車が走っては風情に欠けるから締め出しては? なんて感想が Webに載っていたりする。感想としてはもっともだが、ここに住んでいる人がいる事を知らないのでは? と思ってしまう。東茶屋街、表通りはもう観光地化されてしまっている。茶屋の趣のある建物もほとんどは土産物屋や喫茶に変わっている。表通りは昼は歩行者専用道路になっていて、ここだけ見れば観光のための街に見える。でも、その周囲は違う。そして、人が生活しているからこそ街が生きているのである。道路の雪がすばやく除雪され、ごみも少ないのは人が住んでいるからである。

とはいえ、私を含め、多くの人は観光客へは好意的である。道路をぬける際は観光客を意識してスピードを落としている。よほどのことがなければ警笛など鳴らさない。記念写真を撮っていればちょっと待つこともある。でも・・・金沢への観光、茶屋街と武家屋敷跡へお越しの際は、車への注意と住んでいる人への配慮をお忘れなく。


東茶屋街の洋食屋、持ち帰りと出前 2009/7/15

金沢には昔からの洋食屋がある。メニューは、たとえばオムライスやカレー、コロッケなどである。観光ガイドにも紹介されている店もあり、観光客も入っていたりする。金沢で人気の観光地、東茶屋街の入り口にも洋食屋がある。外観もよく、気になっていた店なのだが利用はしていなかった。このあたりに来るときはいつも一人。一人で食事して帰る、というのは気が引けるから(家族の目が・・・・)、である。だけど、何気なく店頭で見ていると”持ち帰り”の文字が・・・。持ち帰れるならありがたい。
店は外から見て思っていたより狭く、カウンター席がまず目に付いた。座敷もあって、家族やグループも利用しやすそうだ。さて何を注文するか? 張り紙に”オムライスやかつサンドなど”と書いてあったのでかつサンドを注文した。サンドイッチが好き、ということもあるし、持ち帰りによいだろう、と思ってのことである。店員さんのてきぱきとした応対も心地よい。一旦外に出て、10分後。店に戻った直後に”出来てますよ”と。出来たばかりでまだ熱いかつサンド、自宅で食べたが家族にも評判であった。味、雰囲気、店員さん、どれも満足が行く。ここなら遠くからの人にも安心して薦められる。ここ、茶屋街の芸者さんも利用する店だそうだ。

洋食屋持ち帰りで思い出したこと・・・。金沢にある別の洋食屋では出前をしてくれる。親戚の家の近くに店があり、出前で食べたことがある。これもまたおいしかった。出前、私が子供の頃は結構利用していた。これは洋食屋ではなく、近くの加登長などで、注文するのはうどんやそば、ラーメンにオムライスなどで特別の料理ではない。家でも作るような品である。だけど、味付けが違うこともあり、どこかわくわくしたものである。頻繁に、ではなかったけど特別なことでもなく、結構気楽に頼んでいたように思う。
さて・・・現在の出前である。実家では時々寿司の出前を利用している。が、私の家では殆ど頼んでいない。出前をしてくれる店はまだまだあるようだ。以前ほどではないけど、出前の箱を見かける。また、これは刈谷のなじみの店では結構出前の電話が掛かってきていた。出前自体はまだまだ盛んだと思う。でも・・・なんとなく利用しにくくなってきたかな、とも思う。注文は良いけど、当然食器を返さなくてはならない。食べた後で出かけるときもある。そして・・・私の今の家はいわゆるマンションなのだが、その玄関付近にぽつんと置かれた食器を見るとなぜか寂しく感じてしまうこともある。(箱に入っていれば気にならないのだけど) こういう理由もあってか、出前は殆ど使わなくなってしまった。でも、持ち帰りは利用しているので、自宅で店屋物を、というのはまあ好きな方なのかな、と思う。

さて、東茶街の洋食屋に話を戻す。持ち帰り、非常に満足できたのだが、ひとつ弱ったことが・・・。女房の、”次は○○を買ってきて”の声である


茶屋街にて 2009/1/5

多くの人が正月休みの最終日になるであろう、1/4、東茶屋街に行った。
時刻は午前の 11時過ぎ。まず国道沿いの駐車場に行くと既に満車。休日ならばいつものことなので川沿いの駐車場に向かう。ここはまだ空きがあった。
茶屋街に来た目的は写真撮影。ここへは昨年の夏以来になる。今回、デジタル一眼レフに加えてフィルム一眼レフも用意した。フイルムは白黒。正月写真用に用意した残りである。フイルム用は、本当はマニュアルカメラにしたかったのだが、マニュアルカメラはフラッシュのTTL調光ができないのと、フラッシュの発光が不安定で光らないこともある(簡単に言えば故障?)ので、オートフォーカスカメラになった。今回は、カメラを2台ぶら下げての撮影である。念のため書き加えると、街角ではフラッシュは要らないのだが、正月写真には必要だったのである。

まずは茶屋街の入り口、広見に行く。思ったより人が多いと思いながらカメラを構えるとその直後に団体が・・・。そういえば、観光バス専用の駐車場に数台とまってたことを思い出だした。私の場合、観光地では人が一緒に写ってもよいと思っている。適度の人は、写って欲しくないものや目立って欲しくないものをうまく隠してくれるのでありがたい。しかし、到着直後の団体さんはちょっと多すぎた。まだ散らばっていないので視界がふさがれてしまうし、カメラを構えている。ちょっと待とう、と思っていたら記念写真の撮影の依頼。団体参加と思ったら違う・・・。考えてみれば、団体さんなら同じグループの人もいるしガイドさんもいる。写しているうちに団体さんも散り始めたので何枚か写す。

茶屋街の表通りを歩いて、途中で裏通りに外れる。これは私のよく歩くコースである。茶屋街、この裏通りが大切なのである。細い通りが折れ曲がり、入り組んでいる。十字路だけではなく、丁字路も目立つ。そして・・・茶屋の玄関がこちらにもある。茶屋、座敷が特別多いわけではないのに玄関がいくつもある。2つではなくて3つ4つ・・・。そして裏通りにもある。これは決して格の違いによる使い分けではない。もちろん裏口でもない。これは、お客同士が出会うことを避けるためである。お客の中には顔を合わせたくない人同士だっている。そんなとき、裏通りの入り組んだ道が役に立ったことだろう。見通しの効かない裏通り、茶屋にとって表通り以上に重要なのである。

私の曲がった道、裏通りで突き当たり、丁字路となる。そこには昔ながらのお店がある。飲み物やお菓子などが並び、棚にはカップラーメンや洗剤などの日用品もある。何でも屋というほど品物は多くないが、ちょっとしたものならここで間に合いそうだ。芸者さんなどもここでちょっと買い物をしているのかも? と思うと楽しい。裏通りまで来る観光客は少ないが、この店のおかげで、ちょっと足を運んでくれるように思えるところがある。が、冬でガラス戸が閉まっているからか、開けて中まで入る人は少ない。

裏通りでカメラを構えるが、適度な人、というのはタイミングを待たなくてはならない。それにしても、電柱があるのが寂しい。この狭い通りが風情があるのに、単純に表通りから電柱を無くせばよい、と裏に回したように見えてしまう。裏も地中化を進めて欲しいものだが、当分は無理だろうな・・・と思う。裏通りを行き来しながら何枚か写し、適度なところで引き上げる。

駐車場からの帰り道、観光客が道を塞いでいるのでところどころゆっくり走る。東茶屋街、観光客には純粋な観光地に思えるかもしれないが、すこし離れると人が生活している場でもある。これは武家屋敷跡も同じである。駐車場からのこの道も、生活道路なのである。
Webで見ると、車が走っては風情に欠けるから締め出しては? なんて感想が Webに載っていたりする。感想としてはもっともだが、ここに住んでいる人がいる事を知らないのでは? と思ってしまう。東茶屋街、表通りはもう観光地化されてしまっている。茶屋の趣のある建物もほとんどは土産物屋や喫茶に変わっている。表通りは昼は歩行者専用道路になっていて、ここだけ見れば観光のための街に見える。でも、その周囲は違う。そして、人が生活しているからこそ街が生きているのである。道路の雪がすばやく除雪され、ごみも少ないのは人が住んでいるからである。

とはいえ、私を含め、多くの人は観光客へは好意的である。道路をぬける際は観光客を意識してスピードを落としている。よほどのことがなければ警笛など鳴らさない。記念写真を撮っていればちょっと待つこともある。でも・・・金沢への観光、茶屋街と武家屋敷跡へお越しの際は、車への注意と住んでいる人への配慮をお忘れなく。。


長町、武家屋敷跡

観光地。
この言葉から私が真っ先に思い浮かべるのは、たとえば箱根や熱海である。町、あるいはもっと広い範囲が観光客であふれ、それを目当てにした商店が立ち並ぶ。そんな土地である。
しかし、私の住む金沢もまた、観光地である。この地に住み、働き、生活していると、意識しないことも少なくないが、買い物に、あるいは郊外に出るのに車を走らせたりバスに乗ったりすると、途中で多くの観光客を目にする。箱根や熱海とはまた違うが、観光地に住んでいることを実感する。

さて、金沢の観光地といえば兼六園などと並んで一番有名な場所のひとつが長町の武家屋敷跡だろう。武家屋敷跡といっても、ここでは実際に江戸時代からの武家屋敷が公開されているところはない(注)。 土塀を通りから見るか、せいぜい庭園を入口近くから眺める程度である。この武家屋敷跡、その多くは実際に人が住んでいる場所なのである。しかし、土塀のある通り、さすがに風情がある。各地から多くの人が訪ねるのもよくわかる。私自身、この通りが好きだし、見てもらいたい街並みだと思っている。

この長町を抜ける道。これは大野庄用水に沿った道である。町の中の他の道路よりはやや広く、車で抜けることが出来る。用水に沿った細い、曲がりくねった道。ここは観光客の通り道であると同時にこの町の人の通り道となっている。
この道、車では本当に走りにくい。先は見通せないし、幅は余裕がない。まるで障害物競走みたいだ。ちょっと気を抜くとぶつけてしまうのでは、と思う。地元の人はどう曲がっているか知っているからまだよいが、この前は県外の車が見事に用水に落ちて逆立ちしていた。
そして、狭いだけではなく、観光客も多い。行楽シーズンには道にあふれそうになり、また道で記念写真も写している。走りにくいことこの上ない。
でも私は、この先にある図書館などに行くとき、この道を通りたくなる。他にも道路はある。片側2車線の道路で、繁華街を抜けるので混んでいるとはいえ、時間は大差ない。普通なら広い道を選ぶことだろう。でも、私はつい、用水に沿った狭い道を選んでしまう。この道、一番金沢らしい道の一つだと思う。
人がいたら、時には止まりそうなくらいゆっくり走る。
観光客に道を譲る、しばしの待ち時間、脇の用水の流れに目を向け、窓を開けて水を感じる。この時間がまたよい。実際、ここを走っていると先を急ぐ気持ちが全く起きない。観光客が道を塞いでいても警笛は鳴らさない。じっと通り抜けるのを待つだけである。
もちろん観光として金沢を選んでくれた人たちに怖い思いをさせたくない、と言う気持ちもある。でも・・・それ以前にスピードを出したくなくなるのだ。歴史ある町としての雰囲気がそうさせるのかもしれない。
この雰囲気、大事にしたいとも思う・・・。

注: 長町にある公開している武家屋敷跡は、建物は移築であり、庭園も明治以降に整備された。
    大手町で公開している寺島蔵人邸は、江戸時代からの本物の武家屋敷。

茶屋街の裏通り

先日、金沢市の東山と主計(かずえ)町に行った。どちらも茶屋街である。3月の終わりの休日のこと、特に東山は観光客も少なくなかった。表通りは観光客が行き交い、写真撮影や土産物店での買い物など、とても賑やかであった。

しかし、裏通りまで入る人は非常に少ない。だけど、茶屋街の裏通り、これがまた風情がある。茶屋、現在の料亭同様、お客同士で出会うことがないように配慮している。このため、階段が2つあったり、玄関もいくつもあったりする。当然、表通りに出ると不都合がある場合もありえるので、裏側からも出入りできるようになっている。裏、とはいえお客が出入りする玄関。作りは表にまけないものである。単なる勝手口ではない。
そういう玄関もあるので、裏通りのようで表のような、ちょっと不思議な感覚になったりする。しかし、基本的には裏なので生活感がちょっと強くなる。
東山や主計町の裏通り、とても狭い。そして、脇に入る道や折れ曲がりなどがあり、見通しが必ずしもよくない。また、道の交わりもわざとずらしてあるようで、やはり見通しがよくない。わざと見通しを悪くし、また人目を避けて行き来がしやすいように、ということなのだろうか。

私が行ったとき・・・。
裏通りを散策している人を数人だけ見かけた。もっと裏通りの風情を楽しんでほしいものなのだが、細い道である。
人であふれても困る・・・。
まあ、私がここで茶屋街の裏通りの魅力を紹介したところで、人が増えるとは思えないが・・・。


東茶屋街の裏通り。風情があるのだが、電柱が残念。表通りは電柱がないのだが・・・。


 七つ橋渡り
金沢の習わしに、「七つ橋渡り」というのがあったそうだ。
これは、”春秋の彼岸の中日に浅野川に架かる7つの橋、常盤橋、天神橋、梅の橋、浅野川大橋、中の橋、小橋、彦三大橋を、二度同じ道を通らず、誰とも一言も話さずに渡りきると無病息災の願いがかなう”というものだ。
この習わし、「通行人とまったく口を聞かずに七つの橋を渡り、卯辰山の天神さまに参拝した女性の病気が治った」という言い伝えが基になったといわれている。残念ながら、最近では知る人も少ない、というより忘れ去られかけている習わしである。これを、「ウオーキング推進モデル地区」に指定された崎浦地区で、公民館が主体となってこの伝統行事を復活させ、彼岸の中日の二十三日早朝、四十六人が参加して行なわれたそうだ。ただ、渡る橋は地区にあわせ、天神橋より上流の7つの橋を選んでいる。

七つ橋渡り、これは面白い習わしだと思う。
もともとの7つの橋、個性ある橋も少なくないし、浅野川沿いの風情を楽しむこともできる。実行してみるとなかなか面白いと思う。”無言で”というのは、これはちょっと厳しいだろう。まあ、同行者と橋の風情を確かめ合う位は許してもらうことにしよう。彼岸の頃は歩きやすい時期ではあるが、別にこだわらなくても良い。真夏はともかく、季節の変化を楽しむのも良いだろう。浅野川の七つ橋、距離にして2Km少々。手軽なウォーキングかもしれない。

さて、金沢にはもう一つ、犀川もある。ここにも風情ある橋がある。ならば、犀川版七つ橋渡りも面白い? と思って橋を選んでみると残念ながら橋が離れているので歩く距離が3Kmを軽く超えてしまう。歩きなれない人には少々厳しいかもしれない。それに、締めくくりにする天神様がない。
ならば、坂がある? 金沢には天神坂(椿原坂)もあるので、”七つ坂まわり”が面白いかもしれない。故事に習って最後は天神様(椿原天満宮)参りで締めくくることもできる。
しかし・・・風情ある坂を選ぶと一筆書きが難しくなるし、やはり天神坂を下ってのゴールとしたいとなると、なかなか難しい。坂の数が合っても上り下りの数が合わない、一筆書きにならない・・・。できれば縁起よく、鶴亀(鶴間坂と亀坂)のペアも入れたい・・・。
理想のルート選びは難しそうである。
金沢神社を起点にして、
 大乗寺坂-嫁坂-白山坂-亀坂-馬坂-鶴間坂-椿原坂
だろうか?
だが、距離は約6Km。ちょっと長すぎるし、途中で終点の椿原天神の隣を通るこという難点もある。なかなか難しい・・・。


金沢、新しい発見・・・


最近、金沢の用水を調べて回っている。
金沢の町、といって多くの人が思い浮かべる風景のひとつに土塀の武家屋敷跡かと思う。そこへ行かれた方、多分川を見られたと思う。この川、実は用水で、犀川の水を引いているものである。
この用水、武家屋敷の庭に引き込まれていたり、また防火や雪を捨てるためなど重要な役割があると同時に、町並みの情緒を高めてくれる。
長町の武家屋敷跡を流れるのは大野庄用水である。また、柿木畠や香林坊などの裏手の飲み屋などを回ったときに見られる川、これも用水で、鞍月用水である。これ以外にも多数の用水が流れている。その全て、ではないがいくつかを歩いて回ってみた。その多くは暗渠となっていたり、コンクリートで固められた小さな流れであったり、あるいは上に倉庫や車庫、更には家が建っていたりして情緒のかけらもないことが多い。それでも古い石垣があったりすると歴史を感じることもある。また、繁華街のすぐ裏に、武家の屋敷を思わせる家が残っていたり、あるいは蔵があったりと、思いがけない風景を見ることもあった。
また、ごくありふれた建物であっても、水のある風景、たったそれだけのことで、別の世界の町のように感じてしまった。都市の中でも、水の重要さは変わらない、むしろ街中であるからこそ、より重要なのかもしれない。
さて、金沢の町。これは子供の頃から見慣れている。私は金沢の生まれではないが、子供の頃から何度も来ていて、なじみのある町である。金沢の街中、普通に観光客が行くところの多くは既に行っている。また、所用その他であちこち行っている。それ以外にも、車その他で道路は結構走っている。金沢のことはある程度知っているつもりでいた。
だけど、知らないことが山ほどある、ということを痛感した。
たとえば、いつも行くスーパーの裏手にきれいな湧き水があり、そこから始まる川の流れ、それは何度も行ってる知り合い宅のすぐそばを通り、用水と合流して子供の頃何度も行っていたプラネタリウムの裏手に出、これまた何度も行っているデパートや映画館(既になし)の近くを流れていた・・・。
なんのことはない、訪問先という”点”と、道路という”線”しか知らず、それもかなり限られていた、ということにすぎない。線を増やしてゆけば面になる? 理屈から言えばそうかもしれないが、それは無理だろう。何度も行き来しても同じ線のこと。気分を変えて他の道を、といってもそんなに何通りも変えられるわけではない。結局はごく限られた所を見て知ったつもりになっている、ということなのだろう。
更に言えば”時間”という軸もある。先ほどの川は、実は金沢城の惣構堀の一部として利用されていた・・・。ひとつ疑問が湧いて調べ、解決すると更に2つ3つの疑問が湧いてくる・・・。もっともっと調べなくては、との重いが深まるばかりである。
金沢の用水、水の豊富な町は全国にあるが、繁華街を勢いよく流れる、というのは限られているようにも思う。
金沢を訪れた際、改めて水の流れを眺めてみてください。風情がありますよ。

風に吹かれて  金沢の話