BCJフォーラム(8) ['99/11/05〜]


ご意見・ご感想のコーナー
BCJファンの皆様からお寄せいただいたご意見やご感想などを集めてみました。内容をできる限りBCJのみなさんにもお伝えして、お返事などを頂けましたらあわせてこのコーナーでご紹介していきたいと思っています。是非こちら[makoto-y@mxi.mesh.ne.jp](または[ニフティID:DZE01555])までご意見等をお寄せ下さい。特に投稿フォームは設けませんが、お送りいただいたメールの内容をこのコーナーで紹介させていただこうと考えておりますので、掲載をご希望されない場合は、その旨お書き添えいただけますようお願いいたします。(ご意見・ご感想No.150〜)

*ご意見・ご感想の中の太字表記は、当ホーム・ページの制作者によるものです。

168 《フレンチピッチのブランデンブルグについて》

 いつも「VIVA! BCJ」を拝見させていただいている者です。(中略)
 しばらく前に「BCJフォーラム」のNo.167を読んでいて、〈フレンチピッチでのブランデンブルグの録音は過去にない〉というような意味の、矢口さんのレスを目にしましてふと疑問を感じました。
そこで最近ようやく確認してみたところ、「LA STRAVAGANZA (Hamburg)」という合奏団が出しているブランデンブルグのCD (Virgin veritas)フレンチピッチによる演奏なのではないかと思うのですが……。
些細な事ですみません。(後略)

(久保田裕子様) (00/02/27) 
 久保田さん、はじめまして。BCJフォーラムにようこそ! また、いつもご覧いただきありがとうございます。
 さて、話題になっている「フレンチピッチ」での「ブランデンブルグ協奏曲」の演奏ですが、私はよく調べることもせずに先の文章を書いてしました。“単に「知っています」なんて状態はとっくに超えて、どれだけの演奏をどこまで聴きこめるかというライフワーク的状況に突入している”方もいる(朝岡氏のコメントから)この曲のこと、やはり少し先走りだったようで申しわけありません。ご案内のCDは残念ながら私は存じ上げませんでしたので、さっそく予習のためにも探してみようと思います。お知らせありがとうございました! こういった情報を知ることができるのもインターネットの醍醐味ですね。“こだわりのブランデンブルグ情報” どしどしお寄せください! お待ちしております。 (矢口) (00/02/29)

167 《 1/26 太刀川さんのレポート》
 
こんにちは。(中略) 今日は1/26にあった、CTの太刀川昭さんのコンサートレポートを送らせて頂きたいと思います。つたないレポートなのでなんの参考にもならないかもしれませんが・・・。

プログラムは次のとおりです。 

カウンターテナー太刀川昭コンサート
 夕べの賛歌 〜 An Evening Hymn 〜


[カウンターテナー] 太刀川 昭
[チェンバロ] 戸崎 廣乃
[ヴィオラ・ダ・ガンバ] 櫻井 茂

曲:14世紀から後期ロマン派までの10曲を時代を追って
会場:イズミティ21小ホール
 

早速レポートですが、太刀川さんも言っていたように 当日は、急に冷え込み雪も散らつくような天気でしたが、座席は8〜9割近くうまってました。自分は学生なので、高校が終わってから、かなり急いで会場に駆けつけました。

一曲目はステージ右端の照明もあたらないところで太刀川さんが、その全く反対の左端にいる櫻井さんのオブリガートで、急に歌い始めました。そして一曲目が終わると三人でステージにあらわれ、トークを交えた”楽しい”コンサートが始まりました。

このコンサートのために太刀川さんの歌声をCDで聴いて”予習”してましたが、CDで聴くよりはるかに声に厚みがありました。声の質はご存知のとおりとてもやわらかく夕べの賛歌というタイトルにぴったりでした。
ガンバの櫻井さんは、決して派手ではありませんでしたが、音の”抜き具合”やアーティキュレーションが聴いていて気持ち良く、とても存在感のある演奏でした。
チェンバロの戸崎さんも地味な演奏でしたが、右手と左手の音の駆け引きがとても面白かったです。

また何回かあったトークもとても面白かったです。
楽器の紹介では、櫻井さんが「ガンバのほかの楽器との違いは・・・、簡単なことです!」なんて言い出したり、太刀川さんは「ガンバをやりたい人はあとで櫻井さんに言ってください。」なんていったりしてました。(ほんとに習いたいと思ったのは僕だけでしょうか?)

この日はロマン派の曲も、この編成でやったのですが、全く違和感がありませんでした。太刀川さんも、「新しい試みです」と言っていました。特にシューベルトにはとても感動しました。(曲名不明。すみません) 甘いメロディと太刀川さんの声と温かい歌詞が、すごくマッチしてました。

しかもアンコールは、サティフォーレでした。こんな編成でサティを聴いたひと人っていないでしょう。なんかすごく得した気分になりました。

当日は客席も一杯でしたが、みんなマナーもとてもよく”フライング拍手”もなくてとても気持ち良かったです。

また、子供から、高校生から(自分もですが・・・)、お年寄りから、コギャル寸前(?)な人までいてとても面白かったです。笑いあり涙(?)ありの、ホントに充実したコンサートでした。サインもしっかりもらっちゃいました。

パンフレットには6月のBCJのブランデンブルグのチラシが入ってました。
また、運良く4/21の、BCJのマタイに行けることになったので今からめちゃくちゃ楽しみです!!!


こんなレポートでなんの参考にもならないと思いますが、感動が少しでも伝われば幸いです。
ご迷惑でなければこれからもできるかぎり、レポートを送らせていただきたいと思います。
これからも、HP作成頑張ってください。応援してます。

(KAY 様) (00/01/30)
KAYさん、「フォーラム」にようこそ! 応援ありがとうございます。仙台からの若きBCJ・古楽ファンのお便り、うれしく読ませていただきました。
太刀川さんのコンサート、とても充実したものだったようですね。太刀川さんと櫻井さん、戸崎さんのトーク、どんな話題のものだったのでしょうか。きっと和気藹々とした暖かい雰囲気のものだったのでしょうね。ヴィオラ・ダ・ガンバとカウンターテナー、チェンバロで聴くシューベルト、ましてやサティフォーレは一体どのような響きだったのでしょうね。まさに“新しい試み”! さらにそれをコギャル寸前(?)な人が聴いている様子は・・・ 想像できません?!。 ともかく、幅広い聴衆に向けたメッセージはきっとしっかり届いたことでしょう。
さて、いよいよ次はBCJ本隊の番ですね。マタイブランデンブルク、是非ご感想などお寄せください。お待ちしております! ところで「マタイ」の予習にはBCJ盤がありますが、「ブランデンブルク」の予習はどれを聴きますか。とにかく、通常より低いフレンチピッチの演奏は聴けないと思いますから、どれを聴いていっても“新しい体験”になること請け合い。楽しみです!  (矢口) (00/02/02)

166 《聴き初めはJ.S.BACH 2000年》
 
VIVA!BCJの矢口さま、お久しぶりでございます。お元気ですか?
Hesse の「階段」の詩、私も大好きです。Bachの音楽同様、心に響くものがあります。「パイプオルガン」の詩も大作ですが、原書を読み進めています。(中略)ありがとうございました。

西暦2000年は、BACHのカンタータより聴き始めました。
勿論Y2Kの1/1「朝のバロック」です。(日野直子さんの番組は毎朝、拝聴。) 「クリスマスを待つ時期から1年が始まる「教会暦」について」そして、「バッハの時代には、コラール賛美歌季節感が結びついていた」ことなど、カンタータを聴くにあたり、大切な事をたくさん雅明先生より教えていただき、早速、BWV番号をカレンダーに書き込んで、私のBach 手帳を作ってみました。すると、私の誕生日にはBWV119が書き込まれました。松蔭chapelで聴かせて頂いたBCJのカンタータ演奏が蘇ります。(平和の祈りの119)さて、「カンタータの美しい旋律と共に、みずみずしい季節を感じ得る感覚」とは如何に? 2000年は、そんな感覚を体得できるのだろうか?!新たな目標となりそうです。

特別番組でご紹介下さった曲目は、
*カンタータBWV61(ヴァイマール1714/12/2)「いざ来ませ、異邦人の救い主よ」
*クリスマスオラトリオBWV248 第4部
*「マタイ受難曲」BWV244 第1曲合唱「娘達よきなさい。共に嘆こう」
*BWV31「天は笑い、地は歓呼す」(ヴァイマール1715/4/21)
*BWV172「鳴り響け汝らの歌声」(ヴァイマール1714/5/20)
*BWV75「貧しい者達は食べてから」(ライプツィヒ1723/5/30)
*BWV8「いと尊き御神よ、いつわれは死なん」(ライプツィヒ1724/9/24)
最後に*BWV147「心と口と行いと生きざまもて」でした。

新しいmillenniumの新たな一歩が、鈴木雅明さんの導くBach の音楽であったこと感動的でした。 また、2月のBCJ版BWV147のCD発売など、本当に、心沸きTATSU年になりそうです。(BACHは丑年でしょうか。) 超ご多忙のマエストロとは存じますが、また、このような放送の機会を是非お願いしたいと思います。ありがとうございました。

「空にバッハ」(A新聞 1/20付)、ご覧になられましたか?
Bachの巨大な肖像が12日、ドイツの教会の上に出現?!
スイスの芸術家が、没後250年を記念して3000枚以上のビニール片を吊して作られたそうですね。素晴しいので見入っていると、「似てるね!」と子供たち。どこの教会なのでしようか? 矢口さんはご存じですか? 距離や写真のデータがありませんが、実際はどんなものなのでしょうか?TVの映像でも見たいものです。心温まる芸術作品ですね。

「大寒の空にバッハの星探す」
「寒星のひとつひとつにバッハ聴く」  かしこ  From Akiko Suzuki

P.S.
モンテヴェルディ「倫理的、宗教的森」の、*stella,stella*について
混乱させてしまって、申し訳ありません。知っている言葉で、聴いてしまうことが往々にしてあると思います。BCJはテキストを深く探究され、作曲家の意志を重視し演奏されると伺っております。どこかで*stella,stella*のように私は聴いてしまったのでしょうね。 でも、美しい響きでした。

PP.SS.
緋田シェフには音楽だけでなく、松蔭chapel での様々な事柄でお世話になっており、また「カンタータ料理日記」も愛読させていただきました。今年は、わが家でも家族を誘って、手打ちそばの年越しそばを作って、味わって見たいと頑張ろうと思っています。 カンタータの季節感に、シェフのメニューを取り入れて、多次元の季節感を味わうべく、レシピを再チェックしたいと思います。

(Akiko Suzuki 様) (00/01/21)
 Akiko Suzuki 様、こんにちは。バッハ・イヤーの今年もよろしくお願いいたします。
元旦のNHK-FM、特集『あさのバロック』の放送、なかなか充実したものでしたね。教会暦のお話は、ともすれば堅苦しい感じになってしまいがちなもののように思っていたのですが、今回の放送のように音楽も一緒に味わうと、その時期その時期の感じが何か身近なものに感じられるようでした。カンタータの季節感を感じながら今年一年過ごしてみたいものです。ちなみに、次回2月の定期公演カンタータは少々実際の季節とは違う時期のもののようです。現在「カンタータ・データ」を作成中ですが、4曲とも秋の9月から10月に初演されたもののようです。バッハの時代、2月ごろからの時期は来るべき受難と復活にそなえるべく音楽も控えられる時期だったとのことですから、仕方のないことかもしれませんね。しかし、2月2日の「マリア潔めの祝日」にはあの名曲「われは満ち足りたり」BWV82などが作られていますので、季節感を味わうにはこのあたりを聴いてみるといいのかもしれません。当HPにも、「礼 拝で朗読された聖句」のページの中に、教会暦順のカンタータ一覧表をUPしてありますので、よろしければご覧ください。
 「空にバッハ」のオブジェの件は存じ上げませんでした(うちは「Y新聞」なもので・・・)。どこかネット上に画像がないものでしょうかね。拝見してみたいものです。
 考えてみれば料理も季節感に大変関係の深いものですね。多次元の季節感を感じながら歩む一年を、私も楽しみたいと思っています。(ただし、花粉症はお手柔らかにして欲しいものです・・・。私も、そしてBCJの皆様の中にも花粉に敏感すぎる方がいらっしゃいますので。受難節が花粉の受難で涙涙では・・!!)
 (矢口) (00/01/22) 

165 《ガーディナーのカンタータ》
 
矢口様こんにちは。松田@大阪です。

ガーディナーが今年一年かけてカンタータの全曲演奏をするそうですね(たったの一年で!)。
また、ライブ録音(たぶん全曲ではないでしょうが)も同時に行うとのこと・・・。
BCJファンの私としては、コープマンのカンタータでは競争相手として失礼ながら役不足と感じていたこともあり(雅明さんにとっては師匠ですが)、また、過去のアルヒーフでの3枚のカンタータの出来がすばらしかった為(エラート時代は外しますが)、非常に楽しみです。

近日中にDGから一枚出るようですがまだ目にしておりません。

CD番号 4635802 J.S.バッハ・カンタータ第6&66番
      /ガーディナー、イングリッシュ・バロック・ソロイスツ

それではこの辺で失礼いたします。

(松田信之様) (00/01/15)
 松田さん、こんにちは。いよいよガーディナーも始動ですね。ガーディナー情報のHPこちらです)では3月までのコンサートスケジュールがUPされていますが、話題の米良さんとの共演がいつなのかは、まだ判りません。BCJともご縁のあるアーティストでは、2月のオランダ公演でソプラノのミア・パーションと共演が予定されているようです。ちなみに本日と明日はカンタータ155,3,13の演奏会がもたれているようですね。いずれCDで聴けることを楽しみにしたいと思います。
 バッハ・イヤーだからこそ、このカンタータにこだわる姿勢はすばらしいですね。しかし、カンタータだからこそ、地に足をつけた活動がふさわしいとも思います。BCJの2000年最初のコンサートカンタータです。待ち遠しいですね。 (矢口) (00/01/16)

164 《 To BCJ Forum from Kobe 2 》
 
Y2K 問題とやらも何とかクリアし(当方の周辺でも関係者は相当,苦労をされていました。それにしても,便乗商法も盛んだったですね),15年ぶりの Bach Year を迎えました。
新年早々,HPを拝見して,お礼のお便りをと思いつつ遅くなってしまい,失礼しました。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

* RE to 緋田シェフ
Top にユーモラスな「料理日記」を拝見。緋田様が料理の達人(鉄人?)であることはこのHPで知りましたが,声楽家はもちろん,松蔭宗教センターのスタッフとしてオルガンの保守やコンサートの運営などにも当っておられ,神戸のファンはいつもお世話になっています。今年も大いにご活躍の程を!

* Monteverdi の曲の歌詞
Q&A36にのせていただいたこの件について,いろいろとお手数をかけて申し訳ありませんでした。私も当日のプログラムで曲目解説,歌詞対訳と自分のメモを再度チェックしましたが,やはり,あの曲のソプラノ二重唱の部分(「ミミミー・ドドドー」という軽やかな音型でした)に別の言葉が当てられていたのではという気がします。
Akiko Suzuki 樣は同じ言葉を後半で聴いたとおっしゃるし,何やらミステリアス(?)なことになってきました。いずれ,真相(?)がわかることと思います。ありがとうございました。

* Vespro 公演
同じ Monteverdi の12月 Vespro 公演について,感想やレポートを興味深く拝読しました。
私も松蔭チャペルで聴き,全般に素晴らしいもので,最上のクリスマスプレゼントだったと満足しています。しっとりとしたミサ曲(これ,シュナイトのLPでは Vespro の後に入っていましたが,先にやるのが正しいのですね)の清澄なハーモニーを味わった後,祝典的でさまざまの趣向をこらし,起伏に富んだ大曲もまたたく間に終ってしまった感じで(横浜のようなアンティフォナの追加はなく,テンポも少し早めだったよう),もう一度聴きたいというのが率直な気持ちでした。じっくり取り組まれているカンタータシリーズに比べ,割合,短期間で準備されたのではと思いますが,それでもこれほどの仕上がりで,BCJの底力を感じました。この曲のピッチや楽器のことはHPで知り,なるほどと納得。当日,録音の行われることが大きなポスターでチャペルの前に掲示されていましたから,解説なども含め,CDが楽しみです。
なお,松田様のご意見のように,全楽器が活躍するところで,合唱にもう少し力がという点には,かなり同感です。私の席は前から5・6列目の中央でしたが,チャペルでは音量の「差」も増幅されてしまうようです。もっとも,「クリスマスオラトリオ」の冒頭合唱などもにぎやかな曲で,どんな演奏でも(BCJに限らず)声楽はやや埋もれ勝ち,歌詞まで聞き取れることは少ないのではないでしょうか。「マタイ」の冒頭合唱ではニ群の歌詞のかけあいが聞き取れないと話しになりませんが,こういう祝祭的な曲では喜ばしく晴れやかな雰囲気が第一なのだと,おおらかに聴くようにしています。今回はそれにしても,もう一ふんばりというところでしたね。
こうして Monteverdi を聴いてしまうと,Bach に劣らず深遠な森にわけ入りたくなります。まだCD はほとんどないので,そのコレクションから始まるのでしょうか。一方で,悩みの種も増えそうです。

* Bach 全集ほかの CD のことなど
BCJの事務局を介して,Teldec の Bach 全集の宣伝が届きましたね。昨年,小学館の全集をやっと揃えて,一安心したところなのに(!),カンタータ以外は演奏が違い,収録曲も充実云々。それに,リリングも別の全集をつくっているとの記事も。この年末にはかなり CD をまとめ買いしてしまい,聴く時間がなくて困っている有様でも,こういうニュースには平静でおられません。予算や収納スペースの問題があって簡単には手が出せなくても,Bach ファンたるもの,やはり欲しいですよね。悩みは越年して,続いています。
なお,BCJの「マタイ」CD にはキングの特典ビデオがついていて,録音風景やインタヴユーが見られました。(中略) ただ,クリスマスに近いこの発売のタイミングはちょっと問題でしたね。かつて,やはり「マタイ」のレコードをわざわざ「クリスマス用」と銘打って発売した会社があり,誕生日に受難曲とは見識を疑うと,評論家の先生からこっぴどく叱られた例がありました。受難曲は(BCJ「マタイ」の外盤のように)2・3月頃の発売が最適ではないでしょうか。私もCDの方はクリスマスの内は聴く雰囲気にならず,先日,やっと1枚目を聴きました。昨年のコンサート(大阪)を彷彿とさせるもので,ぐいぐい引き込む音楽です。今年もチャペルで「マタイ」がありますが,こうたてつづけに「マタイ」がやれるBCJのようなところはほかにないでしょうね。
ともかく,Monteverdi も含め,コンサートやCDをめぐって,今年も予算・時間との闘争になりそうな期待と不安にみちた(!)年明けです。

(廣森 勝久様 [神戸後援会員・神戸市垂水区]) (00/01/14)
 廣森さん、こんにちは。神戸からのお便り第二弾、ありがとうございます! 今年は私も何度か神戸にお邪魔する予定で、とても楽しみにしています。緋田シェフのご活躍の様子は、昨年2月のカンタータCD第10巻収録時の模様を入手してありますので、いずれHP上でもご紹介させていただこうと思っています。お楽しみに。
 Vespeo 公演については、BCJとしては今回で3回目の取り組みになりますから、短期間の準備というよりは、「マタイ」同様、満を持してのプロジェクトであったのではないかと思っています。BCJとして初めての「Vespro」は第10回定期公演で、93年の暮れのことですからもうずいぶん前のことですね。今回はその間のBCJの充実振りを実感できました。 合唱の響きについては、たぶん松蔭のオルガン席あたりであれば今回の公演でもいいバランスであったのではないかと思いますが、やはりライブでもできるだけ多くの方に満足いただける演奏を目指してほしいと思います。(私が聴いた限りではそんなに合唱が物足りないとは思わなかったのですが、多くの方がそのようなご感想をお持ちになったようですので・・)
 バッハ関連の企画は本当に花盛りですね。テルデックの「バッハ2000」では、私は新録音の多い第7集のみ輸入盤で購入しました。しかし、日本版の全集には、杉山先生のカンタータの新訳などもついているそうですから、やはり気になりますね。みなさん、どうされますか? 受難曲のCDリリース時期については、もちろんふさわしい時期というものがあるわけですが、色々な要素が関係しているものと思います。私としては、演奏会の記憶がまだ残っているうちの今回のリリース(10月)はうれしく思いました。ちなみに、キング作成の特典ビデオは、すべてのBCJ「マタイ」CDについていたわけではなく、一部の特約店のみのものだったそうです。特典のあった販売店でもすでに頒布は終了しているようですので、残念ながらこれから入手することは困難だと思われます。しかし、BCJはどんどん前進していますから今年の「マタイ」は、きっと昨年のものとさらにひと味もふた味も違ったものになりそうです。楽しみですね。やはり、問題は時間とお金かな・・・? お互い、がんばりましょう(!?) (矢口) (00/01/16)

163 《緋田シェフのカンタータ料理日記・年越し編》
 
お客さま各位

今年も創作カンタータ料理処『緋田亭』をご利用いただきまことにありがとうございました。1999年はイスラエルツアーに始まり、マタイのレコーディングハモ・うどん旅行、洋上大学などなどむちゃくちゃ忙しく、カンタータ料理日記の更新もままならない日々でしたが、行く先々また襲いかかる試練の数々の中でも料理の腕を磨くことだけは忘れず、皆々様のご期待にそえるような立派なカンタータ料理人めざして日々研鑚を積んでまいりました。
年の瀬を迎え、家庭においても「おせち」作りはもう恒例のことですが、今年はつ、ついに年越しそばまで手・打・ちに挑戦してしまいました。
こねて、のばして、切って、茹でて・・・・・・・「う、旨い・・・・」「お父さん、おかわり」
この味を電子メールでは充分お伝えできないのが大変残念です!!!

それでは2000年も益々ご愛顧のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
                            
店主(ほんとはバス歌手やっちゅうてんのに)敬白
(緋田吉也様) (99/12/31)
 緋田シェフさま、明けましておめでとうございます! 昨年の大晦日にいただいたお便りをご紹介させていただきます。
2000年代、科学技術はますます発展するものと思いますが、いずれは電子メール香りまで伝えられるようになるでしょうか? しかし、「料理日記」でも充分その味の“すごさ”は伝わってきますので、昨年に輪をかけて忙しくなると思われる今年ですが、是非また「料理日記」もお寄せください! 店主様の歌声ともども楽しみにしております。 (矢口) (00/01/02)

162 《聖母マリアの夕べの祈り》
 
矢口さん今晩は。(中略)
12月18日 松蔭でのコンサート、モンテヴェルディ”聖母マリアの夕べの祈り”を聴いてきました。6声のミサの何と素晴らしかったことでしょう。アンサンブルの音色が天に届くように高く高く舞い上がって空に消えて行きます。もう神様にきっと届いている事でしょう。そして鈴木みどりさんのソプラノの美しい事。本当に幸福でしたし、鈴木雅明さんが本当に偉大な方ということも改めて確認致しました。
矢口さんにも聴かせてあげたかったですよ、ホント!
2000年がまたまた楽しみです。
どうぞよいお年をお迎え下さい。

P.S.秀美さんの8フィートのヴィオローネも素晴らしかったですよ。又弾いて下さいとお願いしましたが、ご本人はやめてくださいと悲鳴を上げておられました。

(三宅設子様 [レスパス・エラン]) (99/12/29)    
 三宅さん、こんにちは。神戸の「ヴェスプロ」素敵だったようですね。オペラシティでもその高い高い天井に、BCJの祈りが立ちのぼっていました。東京では、本公演に先立って、子ども向けの「リンガリングコンサート」も開かれ、抜粋演奏楽器の解説モンテヴェルディについて(「ヴェルディよりも重要です」という説明にメンバーが受けてしまっていたそうです!)などが披露されたそうです。今回は珍しい楽器も多かったようですから、本公演でも簡単に説明していただければよかったですね。その点、神戸では気軽にメンバーに質問などもできたのでしょう。ちなみに、うかがったところによると、「ヴェスプロ」の終わりの方の曲で少しだけ登場したフルートのような楽器は、1本だけあったルネサンス・フルートを、デュエットをする必要から、この公演のためにもう一本作ったものだったそうです。その辺のBCJならではのこだわりも、CDの解説あたりには是非書いておいていただきたいですね。2000年のうちにはリリースされるであろうBCJの「ヴェスプロ」CDも楽しみです。さあ 、いよいよ2000年がやって来ます! (矢口) (99/12/31)

161 《2000年への期待》
 
こんにちは はじめてお便りさせて頂きますmimiと申します。こちらのHPはよく拝見させて頂いております。
来年はバッハイヤーBCJもそして、私が大ファンの米良さんもますます御活躍の1年となりそうですね。

RIEKOさまの御意見を拝見して、触発されて、こちらにお便りさせて頂いております。

こと、米良さんに関して言えば、今年は年初から、私にとってはハラハラの1年でした。(笑)
彼が何を模索し、どこへ着地しようとしているのか。はじめは本当に分からなかったからです。あまりにいろいろな声で歌われるせいか、ひと頃のような磨き抜かれた、安定した声を聞けない時期もありましたし・・・
でも、彼の歌の力を信じていたし、バッハへの敬愛も信じていたので、そう、とんでもないことにはならないはずだと(笑)、途中からは静観できる様になりました。

私は米良さんのソウルフルな歌唱−−歌を両手に包み込んで、まるで、その中に入り込んでいくかのように大切に歌い上げる姿勢に、心底惚れ込んでいます。歌うものはバッハでも、日本歌曲でも、ポップスでも、ひばりさんでも構わないのです。

ただ、どうも私の感じるところでは、米良さんの斬新さオーラといったものはやっぱり、クラシック日本歌曲のフィールドのほうが、より、輝きを増すようなそんな気がするのです。それは声種が理由でもなく、ましてやそれが、「クラシックだから」という理由でもないような気がします。

米良さん自身が、クラシックや日本歌曲に対しての方が、より自由で新鮮な独自の視点から取り組まれているから、そして、それに対して、信念をもっているからじゃないかと、私には感じられるのです。

他のジャンルについていえば、どうも「クラシックではない、他のジャンルの歌に取り組むんだ」という気構えが見えて、ことさら「それらしく」うたおうとする意識が強く働かれるのか、どうしても、「他の誰か」とか「何か」の影が見えかくれしてしまって、確かにいいのはいいのだけれど、「これぞ米良美一」という、満足感が得られないのです。クラシックをあれだけ歌い上げる人なのだから、もっと、自由に、米良さんらしくうたえばいいのに・・・と、つい思ってしまう。贅沢すぎる希望なのでしょうか・・・
末恐ろしい事に(笑)まだまだ発展途上でいらっしゃるわけですよね。
今はあらゆる意味で、模索中、きっとゆくゆくは他のジャンルをうたったって、「米良美一!」という歌唱を聴かせてくれるようになられるのでしょう。
いまの同じ時代を彼のような類い稀な歌い手と生きられて、その行く末を共に見届けられて、幸せだと思っています。

バッハイヤーの来年、彼のバッハを聴かれるのが、今の所、3月の聖トーマスとの共演だけ、あとは海外というのが、なんとも寂しいですが(他に情報ってあるのでしょうか。日本て音楽的土壌としてはまだまだなんでしょうか・・・?)
それでも、米良さんにとっても、聴く私達にとっても、またと無い、ビッグネームとの共演心から楽しみにしております。(後略)

(mimi 様) (99/12/27)
 mimi さん、「フォーラム」へようこそ! 米良さんに対する熱い想いのこもったお便り、ありがとうございました。
 このクリスマスの期間、私も久々にBCJの「クリスマス・オラトリオ」を聴いて、米良さんの歌に触れました。やっぱりすごいですね。そして、私にとって米良さんのベストパフォーマンスはやはり日本歌曲の「うぐいす」カンタータCD第5巻BWV161他、メサイアのアリアの数々ですね。これらの歌唱は、その存在感の故に永く輝きを持ち続けるであろうと思います。まさに mimi さんご指摘の分野の作品です。この聖も俗も飲み込むようなオーラは他の歌い手の歌からはいまだ感じることのできないものです。
 その米良さんがついに「マタイ」「憐れみたまえ」を歌う、2000年がまもなくやってきます。米良さんの一時期の声の不安定さはその後どうなったのでしょうか。カウンターテナーの歌としては比較的声域の高い「憐れみたまえ」を充分に余裕を持って歌えるようにコンディションは整ってきているのでしょうか。すべては“歌”で勝負です。私にとって2000年のバッハ・イヤーにはじめて聴く「マタイ」が米良さんの出演される「マタイ」の予定なので、その期待はいやが上にも高まります。彼の歌の力バッハへの敬愛を、まず1月2日の「あさのバロック」でうかがい、もう一度信じてみようと思います。 mimi さんも無事に(?)2000年を迎えられ、是非またお便りをお寄せください! (99/12/31)

160 《Merry Christmas & Joy to the world ! 》

 VIVA!BCJ の矢口様、                
 Merry Christmas and Joy to the world !

12/11 横浜音楽堂の Vespro 素晴らしい演奏会でした。矢口さんにもお目にかかることが出来、お話を伺え、また、Hesse の本のこともありがとうございました。独語辞典を片手にまず初めに「階段」の詩を何とか、読みました。Hesseの詩には音楽が流れてゆくような心地よさがあり、独語を「第九」やBCJのCDで学ぶのと同様、喜びがあります。

さて、Hesse の「ガラス玉演戯」について気づいたのですが、その作品が完成したのは、マエストロ鈴木雅明氏のお誕生日 4/29 なのですね。勿論、1942年(第2次大戦最中)のことですが。そして、一回りして、12年後に・・・・。作品の中の音楽名人を彷彿させる所以なのか、数字の不可思議なのか、縁なのか?!

Hesseは 11年間「ガラス玉演戯」の完成に全精力を注がれたとのこと、BCJの10年の歩みがその精神の実現を結晶させたことと通じますね。神戸の昔からのBCJの聴衆の皆様のお便り(フォーラム)からも、BCJの音楽に 心充ちた日々を過ごされたことなど伺うことが出来ます。私にとっても、BCJの10年の音楽活動をこの1年で、ほぼ全作品(CD化されたもの)を聴かせていただくことが出来、Hesseの言葉を借りれば、「世界は共に鳴り響き、重たいものは軽やかになり、硬直したものには翼が与えられるのだ!」感動しました。

「マタイ」、「倫理的、宗教的森」「カンタータ」「パイプオルガン」「ヴェスプロ」と聴かせていただき、それぞれBCJの精神と共に、新たな発見がありました。言葉では表せない魅力があり、私を遠方の演奏会へと引き寄せる、BCJには何かが存在するのです。
特に、Robin は「マタイ」(Interviewの映像もfantastic !) そして、Nancy Argenta さん、「倫理的・・」では、ヴォーカルアンサンブルの素晴らしさに圧倒! 「カンタータ 119」では、月曜集会「平和の祈りの会」のこと。雅明先生の「パイプオルガン」は正しく神へのオルガン、「ヴェスプロ」は音楽家の方々の音楽を創造する喜びや、素晴らしい演奏家の皆様が集い奏でる楽しみとでも云うような雰囲気、不思議な宇宙的な音の響きに耳を澄ませました。
「マタイ」と「ヴェスプロ」を聴いた私の家族は、今でも、「マタイ」について、「いいコンサートだったね。ありがとう。」と言ってくれます。「ヴェスプロ」では、鈴木美登里さんと、ヴィオラ奏者の演奏が特に素晴らしかったと感想を話しています。さて、コルボの Vespro のCDではあまり好きではなかった部分がありましたが、テュルクさんの歌声は素晴らしく、彼のモンテヴェルディはとてもいいなと思いました。
コンサートの後、忙しくしていたので、すぐに、お礼のお手紙を書けませんでしたが、こうしてお手紙を認めていますと、鮮やかに演奏会が蘇ってくるようです。私達は、幸い、特等席とでもいえる良い席で聴くことが出来、夏美さん秀美さんの演奏を拝聴するだけでなく、演奏法をまざまざと拝見することができ、ありがたく思いました。秀美さんは、いつものチェロではなくヴィオローネでした。迫力在る演奏でした。コンチェルト・パラティーノの皆さんはまた、何か試みておられるようでもあり、存在感がありました。とにかく大勢の方々の演奏と歌の迫力! ソロの方々も個性的で、それぞれの役割を誠実に歌っておられる姿に感動いたしました。矢口さんの、「主へのメッセージ」という言葉を思い出しました。ステージBの演奏は、耳を澄ませるばかりでしたが、野々下さんが歌っておられることが分かりました。ステキな交唱でした。少年少女合唱団の皆さんや、箏などの音の響き魅力的でした。本当に素晴らしい発想での画期的な企画ですね。もう一度聴きたいと願いますが、バッハの時代のように「 一期一会」なのですね。
皆さんのステージ衣装ですが、どこかに「青」が取り入れてあり、青い地球をあるいは宇宙をイメージされていたのでしょうか? それとも、心の中の真実の青
マエストロの指揮を演奏の最後の方でしばらく見ていたのですが、大庭美登里さんの言葉がよぎりました。それは美しい指揮で、しかも二つのステージ(舞台前方と後方)を統括するとは! BCJの心地よいテンポの演奏が好きです。

矢口さん、皆様、神戸や東京のコンサートのリポートも是非お願いいたします。本日も個人的な感想を述べさせて頂き失礼いたしました。素晴らしい演奏と演奏の間の透き通る空間に溢れるメッセージに感謝を込めて。2000年を迎える直前の私の心象スケッチのBGMは勿論BCJの「クリスマス・オラトリオ」です。 
 東方の星を見ながら ・・・かしこ
 
( Akiko Suzuki 様 ) (99/12/24)
 Akiko Suzukiさん、いつもお便りありがとうございます。横浜ではお目にかかって色々お話しをさせていただき、とても楽しかったです。来年は神戸でご一緒できるかもしれませんね。買い求めてお持ちしたヘッセの原書もご活用いただいているようでうれしい限りです。ヘッセの「階段」の詩は私がもっとも好きな詩です。自分で訳も試みましたので、そのうちにHPにもUPしてみようと思っています。 しかし、『ガラス玉遊戯』の完成日雅明さんのお誕生日とは気づきませんでした! ヘッセがこの大作に取り組んだと同じだけの時間をBCJも歩んできたのですね。1991年にうかがった「マタイ」がBCJにとってもはじめての「マタイ」でしたから、今年(演奏とCD)、そして来年の「マタイ」は、まさにその歩みの結晶といえるものでしょう。改めてすばらしい演奏を私たちに届けてくださったことに感謝したいと思います。
 BCJの魅力に“引き寄せられた”今年の数々のコンサートの印象に、この一年をしみじみ思い返させていただきました。今年をしめくくったモンテヴェルディのコンサートは、本当に色々な試みに満ちたものでした。横浜での現代のアンティフォンとの競演では、古の響きバロックの響きが現代のアーティストの手によって見事に織りなされ、かつてない経験をさせていただきました。音律の違いをどこまで感じることができたのかはいささか心もとない部分もあるのですが、それぞれの音律で彩られた音楽の色合いの違いはとても興味深いものでした。私には5度を重視したピタゴラス音律(ステージBの現代のアンティフォン)が比較的冷たい感じの響き、モンテヴェルディでの3度を重視したミーントーンの響きは、ふくらみのある暖かい、時には熱い響きに感じられました。普段のバッハのコンサートよりもピッチが高めであった(音律も違いますね)ことも関係しているとは思うのですが、より華やかな感じもしました。 このように、音律がそれぞれの音楽の持つ特質その ものに密接に関わっていることに思い至ったことも貴重な経験でした。
 ステージ衣装に配された“青”の色ですが、23日のオペラシティ公演でも使われていました。(例年のクリスマスコンサートですと“赤”が用いられるケースが多かったのですが) この“青”、私はつい“海”のイメージを持ってしまいました。「ヴェスプロ」に「めでたし海の星」(賛歌)という曲もありましたし・・。みなさまいかがでしょうか。
 23日の東京公演でも満員の聴衆(「大入り袋」が」出たそうです!:下の写真参照)の中、今年のBCJの活動をしめくくるにふさわしい、すばらしい演奏が繰り広げられました。写真家の三浦さんから当日のステージリハーサルでの写真をさっそくご提供いただきましたので、えり抜きのソリストによる「6声のミサ」のリハーサル風景と、鈴木秀美さんが弾いていらっしゃった 8フィートのヴィオローネ(AHさんご推察の通り、読売日響の西澤さんの楽器だそうです!)の写真を掲載させていただきます。三浦さん、ありがとうございました。
      「6声のミサ」リハーサル風景 
  左から、鈴木美登里、野々下由香里、波多野睦美、
       G.テュルク、S.V.ダイク、S.マクラウド 
       オルガンは今井奈緒子
     (撮影:三浦興一氏 *ヴィオローネの写真も)
     
 ヴィオローネ(8フィート)
フレットがついているのが見えますでしょうか。ちなみに弓は秀美さんのバロック・チェロ用のものを使われたそうです。
大入り袋!

 なかなかの盛況でした。

 さて、いよいよバッハ・イヤーの到来です! 来年もたくさんのすばらしい音楽に出会えることを祈りながら西暦2000年を迎えたいと思います。 (矢口) (99/12/26)

159 《松蔭ヴェスプロ・感想》
 
BCJファンの皆様こんにちは。松田信之@大阪と申します。

松蔭でのヴェスプロの感想です。この曲は本当に大好きな曲で、I教授も書かれていたように、無人島に一枚だけCDを持っていくとしたらこの曲(できればLD)というほどです(BCJのCDが出るとそちらになるかもしれませんが)。またその響きを確かめたいがためにサン・マルコ大聖堂まで妻と行ったこともあります。

今回はスペシャルコンサートということでお客さんも多いと思い、12:00に着いたら一番乗りでした(昨年のレーヌ以来のことです、神戸は寒いですよ(^^))。おかげで座席は正面向かって左側の最前列・一番中央より、要するにかぶりつき、雅明さんのすぐ後ろで聴いていました(松蔭は座席によって音響が著しく変わりますので(どこのホールでも同じですが)、どこで聴いたかを明記しておきます)。

先ずはモンテヴェルディ:6声のミサ《イエスがこれらのことを言いたもうた時》から。これはソリストのみの構成。関西では京都・Cモンテヴェルディ合唱団が演奏したことがあるように思います。とっても良かったです。ハモリだけにとらわれず(もちろんそれも大事ですが)、それぞれの歌い手の個性が出ていて(特にソプラノの二人)、しかもそれを1メートルかそこらの至近距離で聴けたのですから、楽しくないわけがありません。個人的にはあとのヴェスプロより楽しめました。

次にメインのヴェスプロ・・・これは終演後雅明さんに失礼な質問をしまして・・・、それはまた後で書きます。松蔭でこの曲を聴くのは100回目の記念演奏会以来です。個々の曲について書き出すと際限がないので、なるべく全体的かつ簡潔に。

全体の印象は良かったです。それとこの演奏がCDになるのでしたら、世界最速では? ソロ、管弦楽、コンチェルト・パラティーノそれぞれ熱演でした。合唱は頑張っていたもののやはり(松蔭のキャパでも)、人数不足が否めませんでした(ダブルコーラスで各パート二人)。カンタータのときは全く問題がないのですが(それでもやはりアルトにカウンターテノールを入れてほしい)、大曲のときはやはり少ない。これは最近ではマタイ(CDではなくシンフォニーでの演奏会)のときにも強く感じました。今回のヴェスプロでは、つまり例えば一曲目のあのきらびやかな曲の際、合唱が聴こえてこない(表現としては届いてこないの方が正確でしょうか)のはツライです。これは今回のヴェスプロを通しての印象です(ただし管弦楽、コンチェルト・パラティーノが静かなときはきちんと聴こえてきました)。
どうしてわざわざこんなことを書くかというと、BCJも有名になりましたので、はじめて聴きにきたお客さんが、CDとは違う(もっとうまいと思ったのに)と思われるのが、昔からのBCJファンにはつらいのです。しかし時々ソリストが合唱に入ると(たとえばNisi Dominusの途中からとか)、合唱が起つのです。不思議なものです(ソリストとはそれだけの力量があるからソリストなのか)。テュルクは座りながら内緒でテノールパートをよく歌っていましたので東京の方はお楽しみに(しかもほとんど暗譜、いったい何回ぐらいこの曲歌ってはるんでしょう?)。

さて長くなりましたので最後に雅明さんにした失礼な話を・・・。
実は今回の演奏は、10.Lauda Jerusalem 13.magnificatの二曲が4度下げられて演奏されました(これをすると、派手やかさがなくなってしまいますが)。私もヴェスプロ歌ったことがあるのでそういう演奏方法があるのは知っていたのですが、どちらも好きな曲でしたので終演後あつかましくも雅明さんに質問しに行きました。
 
松田 「こんばんは、松田といいます。ぶしつけな質問で申し訳ないのですが、終曲は何で(どうして)下げられたのですか?」    とお疲れ様でした等の挨拶もなくいきなり質問。
雅明さん 最近の研究の結果、4度下げられていたことか証明されているのです。特に管が下げないと、とてつもなく高い音域になってしますのです。」
松田 「10曲目も下げられていたでしょう」
雅明さん 「その曲もそうです。そのかわり基本のピッチをいつもより上げて(きらびやかさを失わないようにして)います。その辺りの事は解説をつけようかとも考えたのですが。」
  とここで終わっていればよかったのですが、
松田 「そうなんですか。どちらの曲もアルトとテノールが同じパートを歌う(あるいはアルトを聴こえやすくするためにアルトパートにカウンターテノールが入る、この表現は正確ではないのですが)ので、歌いやすくするためかと思いました(と元カウンターテノールの私は思ってしまったのでした)。」
雅明さん 「いえ、決してそうではありません(きっぱり)。」
松田 「(赤面)」
 
雅明さん、終演直後に本当に失礼いたしました(^^;)。
何か自分が、グラモフォンの雅明さんのインタビューにあった「CDの聴きくらべ」に終わってしまっているようで、恥ずかしかったです。また何か質問するかもしれませんが、これに懲りずに今後ともよろしくお願いいたします。

東京はキャパが大きいですが、良い演奏であったことは確かですので(文句ばかりいっているようですが)皆さんお楽しみに。それではこの辺で失礼いたします。

(松田信之様) (99/12/19)
 松田さん、「フォーラム」にようこそ! そして、さっそくの神戸ヴェスプロのご感想、ありがとうございました。
 今回のBCJのヴェスプロでは先日の横浜公演についで2度目のコンサートだったわけですが、横浜公演がやや特殊なプロジェクトでもありましたので、モンテヴェルディのみのコンサートとしては最初のコンサートにあたりますね。
 まず、合唱の響き方が話題に上りましたが、私が横浜でうかがったときには、特に足りない感じはありませんでした。今回松田さんは“かぶりつき”で聴かれたとのことでしたので、器楽がそばにいた影響も大きかったのではないかと想像します。このあたり、東京であらためて確認してみたいものです。ただ、ソロの方が合唱に加わったときには確かに違いがありますね。当然といえばそうなのですが、合唱メンバーにいっそうの奮起を望みたいところでもあります。
 続いて、終盤の2曲のピッチについてですが、横浜公演のパンフレットに次のような記載がありました。
 ・・・なお、ヴェネツィアなど北イタリアのピッチは一般に高めだったので、今日は a=465 と 現代より約半音高いピッチで演奏されます。輝かしいひびきが期待できるでしょう。また、高い音部記号で書かれた第5詩編《イエルサレムよ、主をたたえよ》と《マニフィカト》は、当時の慣習にしたがって4度下に移調されます(さもないとこの2曲だけ声域や音域が不自然に高くなり、ヴァイオリンやコルネットが悲鳴のようになってしまうのです)。この点でも画期的な演奏となるでしょう。 
(よしむらこう。:音楽ライター)
 ということですので、最近の研究の成果を採り入れた演奏になっている、ということだと思います。確かに、松田さんもお聴きになった'95年の演奏では、“悲鳴”のように感じられる部分もありましたね。そのあたりは、落ち着いた、堂々とした感じになっていたな、と横浜公演の時に思いました。
 ちなみに、今回のモンテヴェルディのみのコンサートは、同じ構成でCDになる予定ですが、コンセプトとして、この曲集の出版譜に準じて演奏することにされているそうです。そこで最初に曲集に載っている6声のミサも演奏することになったわけですね。また、アンティフォンはなしで、全曲が続けて演奏されるとのことです。神戸でもそのように演奏されたと思います。
 では、あと3日後、このめくるめくモンテヴェルデイの音世界に遊べる時がやってくるのを楽しみに待ちましょう! 是非またお便りください。 (矢口) (99/12/20)

158 《フォーラム156番の人からです★》
 
矢口様へ (中略) 米良さんの歌声の魅力は,なんといっても「天上の声」ですよね。でも,私自身としては彼のバリトンも素敵だと思うんですよ。「地上の声」とでもいいましょうか。
ポップスよりクラシックを歌うときのほうがかなりのテンションが要求されますが,その分,ポップスはライトに歌えるだけ,「土地に根付いた米良さんの声」を聴くことができるので,私にはこちらのほうも心にしっくりときますね。
10月に発売された彼のポップスCDでは音程が低くてなかなかうまく歌えていないところもあったりしますが(歌うというより誰かに語りかけているような歌い方?),全体的な仕上がりはなかなかいいものだと感じています。

もちろん「バロック・アリア・セレクション」も聴きました。
カウンターテナーとして歌う彼の歌声の魅力は,裏声できれいに高音域を歌い上げることができると同時に,その声質が「中性的」であることですね。独唱で聴いていたら女性的で,男性とはなかなかわかりにくい・・・(「もののけ姫」がそうですね)。ソプラノと比較したときに,「あ,なんか違う」ことに気が付きます。女性でもなく,男性でもなく,・・・じゃ,何だろう? の「何」が米良さんの声質の個性のように感じます。もしかしたら,声帯を3種類使い分けている人かもしれません★

「米良さん=クラシックだけを歌えばいい」ということになったら,彼は尊敬するBachにケリを入れて,一目散に,別のジャンルに駆け出していってしまいそうです。クラシックもポップスも彼にとっては,彼を表現するための同等のジャンルだと思います。
でも,「クラシックの米良さん」のファンの人にとったら,米良さんがクラシック不在ということは,すごく不安を感じたり,疑問に感じたりすることと思います。彼は,もしかしたら,自分のスタイルを確立するために,数多くのステージをこなしたり(←なんか,ものすごい数!),いろんなジャンルにチャレンジして,吸収しなくてはならないものを吸収している時期にあるのかもしれません。
米良さんのことですから,どんな状況にあろうとも,私たちが思っている以上に成長されることと思われます。
彼がいつ帰ってきてもいいように,歓喜の心を準備して,彼を暖かく見守りたいところですね★

(RIEKO TSUJI 様) (99/12/18)
 当「フォーラム」No.156にお便りをお寄せくださった RIEKO TSUJI 様より、再びメールをいただきました。ありがとうございます! 私の質問にもさっそくお答えいただきうれしく思います。「天上の声」「地上の声」のたとえには、なるほど、と思いました。 様々なジャンルに挑戦していっていることなどが、米良さん自身を表現するスタイルの確立のためではないか、とのご意見、同感です。 では、彼はいつ“帰って”くるのでしょうか。これは思いの外早いかもしれません。
 現在発売中の雑誌『音楽の友』1月号の付録「ミュージック・カレンダー 2000」では、5,6月のページが米良さんの写真なのですが、そこにあるコメントに 「2000年はジョン・エリオット・ガーディナー指揮モンテヴェルディ合唱団バッハ・カンタータコンサートで共演、エディタ・グルベローヴァとのデュオをスイスで再演、ヨーロッパ・オペラ・デビューとなるバイエルン州立歌劇場でのヘンデル《リナルド》(新演出)など、ヨーロッパで大きな舞台が続き、世界歌手MERAへ飛躍の年」とあります。これはもうクラシックへの回帰とも言えるのではないでしょうか!
 そんな米良さんの“バッハへの思い”が久々にFMでも聴けそうです。来る2000年1月2日(日)午前7:15〜8:57、NHK-FM 『特集 あさのバロック』〈バッハ没後250年記念(2)〉米良さんがゲスト出演され、バッハのカンタータについてなどお話をうかがえそうです。(ちなみに、同番組の元旦の同時間〈バッハ没後250年記念(1)〉では、われらが鈴木雅明さんがゲストです!この件は近々別のコーナーでもお知らせしようと思います。) どんなお話がうかがえるのか、本当に楽しみです。RIEKO TSUJI 様も是非聴いてみてくださいね! (矢口) (99/12/25)

157 《 Vespro 's eve 二日月に寄せて》
 
VIVA! BCJ の矢口様、今晩は! Vespro の情報等 ありがとうございました。(中略)本当に明日のVesproが楽しみです。特にantiphon はどんなものかと期待でいっぱいです。 7月のモンテヴェルディ「倫理的、宗教的森」の松蔭チャペルの演奏会のことが心にあり、BCJの「Vespro」で12月を過ごしてゆけることは喜びです。今晩はCDで予習して、、、と思っております。LPBCJ便りも届いて、ますます期待大です。演奏家の皆様は、インターナショナルでご多忙な日々で充実しておられるのですね。マエストロ共々、皆様、ご自愛下さいませ。(中略)

さて、矢口さんとは「BCJとヘッセを愛す」という他にも共通点がいくつかあるようです。何だと思いますか? 一つは、、、私も「乙女座」です。 宮澤賢治もそうです。 日本の作家では宮澤賢治が一番好きなので、雅明先生(神戸の方々は、皆さんこう呼んでおられるので私もいつの間にかこう呼ばせて頂いています。でも、本当は矢口さんのように、「さん」で呼ぶいいかたも好きです。)が、賢治の詩に感銘を受けられたことをお聞きして、とても嬉しく思いました。

話を元に戻します。 Vespro のこと。 Native American の詩とか Herbs のこととか、とても興味深く思っています。 3年前、nativeの方々の保留区や、ユタ州南部のPowell湖を中心に半径230kmの円「グランド・サークル」を巡る旅をし、デリケート・アーチ、キャニオンランズ、ブライスキャニオン、ザイオン、グランドキャニオン、モニュメント・ヴァリー、キャニオン・デュ・シェイ、チャコ、シップロック、メサヴェルデ・・とアメリカ南西部4州を反時計まわりに訪れたのですが、先住民の一編の詩が心に残りました。アメリカの豊かさとは全く正反対の荒野に追いやられた状態のnativeの現実を知り、心が痛みました。でも、世界遺産として、残されている、チャコ・カルチャー国立公園や、シェイの谷のジープ・ツアーでは「先住民の魂」「谷を吹き抜ける風」に感じることができました。 Antiphon では、ネイティヴ・アメリカンの儀礼歌に基づく音響詩をテキストに使われると云うことで、どんな作品を創作されるのかしらと思いめぐらすばかりです。オリジナル作品を交響詩として、数多ご披露されるということでとても楽しみです。宇宙的な発想での「響き」に、12月の澄み切った星空へ、耳を澄ませたいと思います。 かしこ
From Akiko Suzuki

P.S.
先日、「朝のバロック」で、「2000年の元旦の特別番組は、『カンタータ特集』で、第一日目は、雅明先生がゲストである。」とお知らせがありました。本当に楽しみですね。私の「星の時間」も、もうすぐ1年です。美しい音楽の響きを共有させていただき感謝いたします。
私も、演奏だけでなく pre-lecture にも関心があり、いつも是非聴講させていただきたく思うのですが、地方に住んでいるため、そこまでは、不可能です。2000年は、「雅明先生の番組」ができることを希望します。以前、「オルガンの調べ」をご担当されたとき、とても詳しい解説があり、演奏家の音楽の素晴らしさを引き出して下さいました

(Akiko Suzuki様) (99/12/10)
 Akiko Suzuki様、こんにちは。いつもお便りありがとうございます! 「ヴェスプロ:音楽堂ヴァージョン」、いよいよですね。Native American ゆかりの地を旅行されたとのこと、いいですね。今回の新しいアンティフォンのスピリッツに、旅の情景が響き合うことでしょう。客席後方のスペースからの「ピタゴラス音律」による響きに私も耳を澄ませたいと思います。宮澤賢治も深く自然を愛する、もしくは自然を敬う詩人・教師だったと思います。自然の中から響いてくるものに耳を澄ませること、その、音と人間の出会いにもう一度思いをいたすことが、今回のプロジェクトのテーマ「響きのルネサンス」なのかもしれませんね。「母なる大地」と申しますが、自然こそ音楽の母であり、マリアであるということなのでしょう。
 正月のNHK-FMも楽しみですね。雅明さんによるカンタータ特集、聴き逃せません。詳しい情報がわかりましたらまたお知らせしようと思います。バッハ・イヤーにちなんで、「雅明先生の番組」も是非お願いしたいところです。NHKさんをはじめ、放送局のみなさん、いかがですか。もちろん、BCJの演奏も放送して欲しいのですが・・・。そういえば、今日の「ヴェスプロ」はどこか、TVK(テレビ神奈川)さんあたり収録しないかしら。「ヴェスプロ」そのものは今日の公演のあと神戸でレコーディングされるとのことですので、いずれこのHPを色々なところで見てくださっているみなさまもお聴きになれることと思います。お楽しみに。待ちきれない方は12/18の神戸か12/23の東京オペラシティ公演にどうぞ! (矢口) (99/12/11)

156 《はじめまして・・・》
 
 このHPはつい最近知ったばかりです。というのも,先月から米良ファンになった関係上,このHPにたどり着くことができたのです。(^-^)

 このフォーラムで「米良美一バロックアリア集2について」で,米良さんが古楽を歌わなくなったことと,演歌やポップスを歌うことに対して疑問をもつ・・・とのご意見が載っていましたが,そんなに彼をクラシックの枠にはめなくてはよいのでは? と思うんです。
 彼の「美神讃歌」の本を読んだら,美空ひばりを尊敬している,演歌や民謡,詩吟に親しんでいた・・・ということが書いてあります。自分の歌いやすい歌い方がたまたま「カウンターテナー」であったことも書いてあります。また,歌のジャンルにもとらわれないことも書いてあります。
 歌職人なんですよね。この方は。
ほとんどの人がもののけ姫から吸い寄せられて,その後に,彼の歌う古楽にハマったのだと思われます。でも,私は先月のVOICE'99の公演にでかけて,彼の人柄から吸い寄せられて,その直後に,彼のポップスにハマりました
 結局のところ,何を歌っても彼の歌声は魅力的なんです。彼が長年親しんできたジャンルを今の時期に歌っても別におかしいとは思わないし,逆にクラシックにはめ込んでしまっては,クラシックにおける成長もなくなってしまう気がします。
「なんで,クラシックを歌わないんだ!?」と不満の人も多いとは思いますが,もっとヨユウの心で見守ってあげればいいんじゃないかと思います。「次はなににチャレンジするんだろう」って。

*6月の投稿の方に対して,11月になってこんな意見を言うのは,ちょっとヘンですが,ごめんなさい・・ (^_^;)

(RIEKO TSUJI 様) (99/11/28)
 RIEKO TSUJIさん、こんにちは。「フォーラム」へようこそ! 新しい米良ファンのお立場からのご意見、ありがとうございました。米良さんは本当に暖かい人柄の方ですよね。その人柄からファンになられたとのこと、素晴らしいことです。
 実は私は彼のポップスは聴いておりません。なので、なんとも言えないのですが、自分では米良さんの歌ったバッハの数々に、何ものにも代えがたい魅力を感じています。RIEKO TSUJIさんも、「バロック・アリア集」はお聴きになりましたか? そこでの米良さんの歌声と、ポップスでの米良さんの歌声の魅力についてなど、またお便りいただけましたら、と思います。私も米良さんがどんなものにこれからもチャレンジしていかれるか、興味をもって注目していきたいと思っています。とりあえず、来年のライプチッヒ・トーマス教会合唱団の来日公演での「マタイ」で久々に米良さんの歌声をうかがう予定ですので、楽しみにしています! (矢口) (99/12/13)

155 《鍋島元子さんのご冥福をお祈りします。》

 日本のチェンバロ奏者の草分け的存在で桐朋学園大教授の鍋島元子さんが、22日午前0時21分、腹膜がんのためお亡くなりになりました。63歳でした。葬儀は23日に近親者だけで済ませたとのことです。
 告別式音楽葬として、30日午前9時30分から、東京都新宿区市谷砂土原町1の1の日本福音ルーテル市ケ谷教会で。

 鍋島さんは桐朋学園短大作曲科卒業。1期生で指揮科の小沢征爾氏とは同窓です。69年にアムステルダム国立音楽院チェンバロ科に留学し、グスタフ・レオンハルト氏に師事。17、18世紀のバロック音楽を中心に、日本、ヨーロッパ各国で演奏活動を展開されてきました。
 74年に古楽研究会「オリゴ・エト・プラクティカ」を創設されています。訳書に「ランドフスカ音楽論集」などがあります。
 ご冥福を心からお祈りいたします。

(後藤 隆 様) (99/11/24)  
 後藤さんから、残念なお知らせを頂戴しました。早々にお便りいただいたのですが、こちらでのご紹介が遅くなってしまい申しわけありませんでした。
 鍋島さんは、鈴木雅明さんのプロフィールにもお名前がある通り、雅明さんの恩師の一人でいらっしゃいます。雅明さんのチェンバロコンサートのおりなどに、何度かお姿をお見かけいたしました。本日仙台で雅明さんはシュッツの「音楽による葬送」を演奏されますが、このような時期にこういった演奏会があるのも何かの巡り合わせなのかも知れません。
 そして、BCJとしても、上記のお便りにある11/30の音楽葬で演奏を行うことになったそうです。
曲目は、J.S.バッハ/カンタータ《来れ甘き死の時よ Komm, du suesse Todesstunde》BWV161、と
            モテット《イエスよ、わがよろこびよ Jesu, meine Freude》BWV227 とのことです。
 心から、ご冥福をお祈りいたします。安らかにおやすみください。 (矢口) (99/11/28)

154 《鈴木雅明オルガンコンサート福岡公演”ガルニエの響き”》
 
 矢口さんお元気ですか?
 「マタイ受難曲」のメイキングビデオの情報をありがとうございました。小倉の山野楽器ではビデオは手に入らず、どうすればいいのかなと思っていましたら、VIVA!BCJで博多のイムズの山野で扱っているとのこと、さっそくTELしましたところ、売り切れで追加注文中でしたが11月4日に購入できました。出演者のインタビュー(特にテュルク氏が福音史家に取り組む際に、詞をまず朗読し旋律を入れ最後に歌うというのがとても感銘を受けました。)、録音風景(普段着で)など貴重なビデオですね。
 15日には、ルーテル博多教会鈴木雅明さんのオルガンコンサートがありました。
ここのオルガンは、スイスとフランスの国境近くのカトリック教会に設置されていたM.ガルニエ氏のオルガンを移設したもので、日本にある彼の作品としては最も古いオルガンとのことです。とてもエレガントな美しいオルガンで、教会の建物の雰囲気にぴったりで、本当に愛されて大切に用いられているようです。鈴木さんの演奏は(数日前から風邪を引かれたとのことですが)このオルガンの様々な表情を十分に引き出し、そんなに大規模なオルガンではないのに、力強くまた、華麗な響きを鳴り渡らせてくれました。仕事の疲れも忘れ、この世のもろもろのしがらみも忘れ、慰めに満ちたガルニエの響きに心を浸した、至福のひとときでした。
 (中略) もうひとつ、出会いがありました。鈴木さんのコンサートの前日に今仲幸雄さんのコンサートが北九州であったのですが、その伴奏が素晴らしく、どなたかしらと思っていましたら、どうもお見かけした方で、どこの方だったかと考えていましたら、ほかの方とお話ししているのに、「私は大阪で・・・」とおっしゃっていたので「あっ!松蔭だ」と思い出しました。いつも松蔭で何かとお世話をして下さっている方でした。で、ご挨拶をしまして「私は、カンタータを聴きに行っているんですよ」と申し上げたら「えっ!あなたは大庭さん?」と言われびっくりしてしまいました。そしてその方が、ゼロビートシリーズなどでガルニエオルガンを演奏されている松蔭女子学院大学オルガニスト上野静江さんであることがわかりました。VIVA!BCJを通していろんな方との出会いが与えられて、うれしいですね。

(大庭美登里様) (99/11/21)
 大庭さん、こんにちは。今回は地元でのコンサートですから、新幹線は関係なかったのですね! さて、冗談はさておき、鈴木雅明さんはこの博多の素敵なオルガンでのコンサートを終えられて空路東京に戻られたとたん、過労のため倒れられてしまったそうです・・・! そのため、11/18の横浜でのレクチャーは大事をとって欠席され、代わりに今回の横浜での「ヴェスプロ」では新作のアンティフォンの方に出演されるソプラノの野々下さんと、神奈川県立音楽堂のプロデューサーの近藤さんが出席され、アンティフォンの作曲者の藤枝さんとともに興味深いお話を聞かせてくださいました。この時の模様は近々レポートしたいものと思っています。 さて鈴木雅明さんですが、その後無事回復され、20日エドガー・クラップのオルガン&BCJコーラスによるバッハ/オルガン小曲集コンサート(コラール付)では、元気にいつもながらの精力的な指揮振りを見せてくださいました。この模様はいずれNHKの衛星放送で紹介されるはずですので、お楽しみに!
・・・というわけで何とか事なきを得たわけですが、BCJのみなさんも、われわれも、くれぐれも健康には気を付けたいものです。健康に、BCJとともに新しい出会いを続けていきたいものですね。 (矢口) (99/11/25)

153 《J.S.バッハ・教会カンタータ》

 矢口さんご機嫌 いかがお過ごしですか。わたしのバッハのカンタータも残るところ10数曲になりました。今日池袋のHMVで、ヘルムート・リリングのCDを購入いたしました。曲目はBWV83番から90番まで。さっそく帰って聴きましたが83番の美しさといったらなかったです。
 またほかにテレマンの「食卓の音楽」出ました!。 「オーケストラ・ゴールデン・エイジ」というイギリスの楽団だそうでナクソスから出ているものにしましたが、なかなかいいですよこれは、、。安いですし。 ほかにはパッヘルベルのオルガン曲集アンドリュー・パロットのマニフィカトと、復活祭オラトリオもついでにということで。

 バッハの教会カンタータを聴いてきて、なんなのだこの素晴らしくも厳粛な世界は。と驚きの感でいっぱいです。願わくば生の演奏をドイツで聴いてみたいです。残念ながらドイツなんて一回もいったことがないので、今はいろいろと想像旅行しているだけですね。清貧というか貧乏というか?(^^)ょ それで今テレビのドイツ語会話とかに興味津々です。電車のなかでドイツ人らしいひとをみかけますが話ができたらなと思います。でもドイツの人って小ざっぱりした服装で嫌みがなくますます好きになっているこの頃であります。

(渡辺冬二様) (99/11/15)
 渡辺さん、こんにちは! いよいよカンタータ収集も大詰めですね。私は小学館の『バッハ全集』でアーノンクール&レオンハルトの全集をとりあえず持っていますが、これからも色々な演奏でカンタータの世界を楽しんでいきたいと思っています。ちなみに、今回渡辺さんがGETされた83番から90番はBCJではまだ一回も演奏されていないようですね。(「BCJカンタータ演奏表」参照) まだまだ、新しい曲との出会いを楽しめそうです!
 そういえば、最近発行された雑誌『音楽現代』12月号の特集「BACH演奏の20世紀」の中に鈴木雅明さんのインタビューが掲載されていて、その中で雅明さんが「バッハのカンタータの演奏は、日々新たな発見に満ちています」とおっしゃっているのが印象的でした。今回の特集ではこの鈴木雅明さんの充実のインタビューをはじめ、BCJ関係の記事も結構ありますので、ご覧になることをおすすめしたいと思います!
 私はかつてドイツに行った時に、ミュンヘンの教会「ヨハネ受難曲」の演奏を聴いたことがあります。やはりそれは大変印象的な経験でした。渡辺さんも、来年、ライプチッヒあたりに行ってみませんか?! (矢口) (99/11/25)

152 《バッハ:マタイ受難曲(鈴木雅明&BCJ)》
 
ソリスト
 エヴァンゲリスト:ゲルト・テュルク
 イエス:ペーター・コーイ

 ソプラノ:ナンシー・アージェンタ
 カウンター=テナー:ロビン・ブレイズ
 テナー:櫻田亮
 バス:浦野智行

 ついにBCJがマタイの録音をだしました。既に彼等は過去に実演においては何度も取り組んでいるこの曲ですが、やはり時が熟するのをじっと待っていたのかもしれません。
 彼等の最初のレコーディングはBISへの一連の物に先駆けてだされたヨハネ受難曲でした。あれは今回と同じロマネスカというレーベルでのキングからのもの。ただ、今回はエンジニアを含めスタッフはほとんどBISのメンバーですから、音に関しては最近の一連のものとは変わりません。

 今回の演奏ですが、私がまず感じたのは、雅明さんのテンポ設定の見事さです。このセッションの前後に行われた実演では、時に性急に聞こえたところも修正され、今回はとにかく現代の私達の脈打つ心臓のテンポに見事に一致しているのです。これは以前、フレーミヒがこの心臓のテンポが、テンポ設定のないこの時期の宗教曲の演奏ではもっとも重要であることを力説していたことに合致します。
 そのテンポ設定は彼がここでしていることの全てに関わっていると思います。曲の大きさにおびえることなく、といって聞かせようと力むことなく、自分の音楽としてありのままに演奏しようとしているように私には思えます。悲劇的な物語りを強調するのでもなく、テキストの一語一句を研究したうえで、到達した彼の一つの結論ではないでしょうか。誰の模倣でもない彼自身の音楽であるところが、なによりもこの演奏が説得力をもつものになっている理由かと思います。
 そして今回は、なによりもテュルクとコーイという既にこのアンサンブルの一員といってもよいほど共演している二人が、実演も含めて彼等のベストパフォーマンスを聞かせてくれていることが、とても嬉しいです。それは、ブレイズも同じ、彼等は雅明さんが何をここでやろうとしているか、オーケストラがどんなに優秀か、知っています。それにくらべると、アージェンタは、久しぶりの共演で残念ながら彼女のベストとは言えないと思いました。

 合唱に関しては、できれば第1曲は録りなおしてほしかった。とってつけたような子音が、音楽の勢いを殺してしまい。母音のみで音楽を作ってしまったことは、後半の演奏では多少改善されているだけに、おしい気がします。ただどちらにしてもまだまだ改善の余地は残しています。

 オーケストラは、もう改めて言わなくても、ほんとうに安心してきけるアンサンブルになりました。特に今回 管セクションはアリアでのテキストの意味をよく理解した音をだしてたと思います。あと、何といっても、後半ではガンバの平尾雅子さんや、ヴァイオリンの寺神戸さん、若松さんという人たちのソロが、この演奏に華を添えています。

 有名なペテロの3度の否認から、「憐れんでください、神よ」とカウンター=テナーが歌うところなど、これほど感動的な演奏も久しぶりに聞きました。
 必聴の1枚です。

(けいいち様) (99/11/1投稿、99/11/23転載) 
 上記のご感想は、けいいち様がクラシックファンのためのBBSホームページ「クラシック招き猫」のクラシックCDに関する話題の掲示板「巷の評盤ちまたのひょうばん″」にご投稿されたものを、お許しを得て転載させていただいたのものです。ありがとうございました。
 BCJの「マタイ」は、最近発売された音楽之友社の「レコード芸術」(99/12月号)誌上において、声楽曲部門で「特選」になりました。他にも朝日新聞でも◎つきの推薦盤になるなど、高い評価をいただいています。さらに、けいいちさんのこのコメントを拝見して、とてもうれしく思っている今日この頃です。
 テンポ設定の自然さは、この演奏の説得力の大きさの最大のポイントのひとつでしょう。それを、私が今までに聴いた「マタイ」の演奏の中でもっとも心を動かされたドレスデン十字架合唱団の演奏(88/11)の指揮者であったフレーミヒ氏の言葉を引いて評価してくださっているところなど、まさにわが意を得たり、という感じです。
 しかし、1曲目については私は少し違う感じを持っています。このBCJの演奏のもう一つのポイントが「言葉」の扱いにあると思います。この演奏では、1曲目をはじめ多くの場面で、今までこの曲を聴いてきた時以上に言葉の一語一語がはっきり聞こえてきます。それは音楽の流れの面からは確かに勢いを止めてしまうような部分もあると思いますが、受難曲の本来の役割からすると、そこに語られている「言葉」をこそ伝えるべきものと思いますので、1曲目の演奏などもその目的には合っているのではないかと思っています。 ただ、何度となくこの演奏に耳を傾けるうちに、全般にまだまだ色々な意味で練り上げることが可能な面も、見えてきましたので、今後のBCJの演奏にさらに注目していきたいと思います。来年の「マタイ」もCDは無理でしょうから、NHKあたりが収録してくださらないものでしょうか! よろしくお願いいたします!
 このCDの特典として一部の販売店で頒布された「メイキング・オブ・マタイ」のビデオの冒頭には第1曲の演奏風景が1曲まるごと収められています。うかがったところ、このビデオに使われている画像はすべてテスト・テイクの時のもので、収録本番の時のものではないそうですが、松蔭のチャペルのほぼ真ん中あたりまで配置された合唱と器楽に、後方のオルガン席(恐らくカメラもここに設置されているようです)に陣取る、画面には登場しない静岡児童合唱団の少女たちがまさに一体となって、鈴木雅明さんの指揮のもと、この音楽の神髄をえぐり出そうと格闘している様子を見ることができます。他にも、アルトの「憐れみたまえ」の冒頭部分の映像も収録されていますが、そのコンティヌオのピッチカートをつま弾きながら、鈴木秀美さんがチャペルの天上を見上げ、まるで降り注ぐ神の愛を受けとめようとするかのごとくに演奏されている様子など、この演奏へのBCJのみなさんの思い入れの深さを実感できる場面がたくさんありました。そんな姿勢が今回のこのCDへの評価につながってきているものと思います。ちなみに先週末の時点で、新 宿、渋谷の「タワー・レコード」ではBCJ「マタイ」CDをお買いあげの方にまだこのビデオが特典としてついてくるそうです! そろそろモンテヴェルディに心を切り替えようと思っていたのですが、また「マタイ」を聴きたくなってしまいました! そういえば、ヘレヴェッヘの「マタイ」新録音ももうすぐ入手できるのですよね・・・。まだまだしばらく「マタイ」三昧か?!  (矢口) (99/11/23)

151 《 オルガン奏者 冬三日月を研ぎ澄ます 》
 
 VIVA!BCJの矢口さま、BCJの皆様、BCJを愛する皆様、冬三日月の美しい晩です。 大気が澄んで身に沁みわたるものがあります。本当に大好きな季節です。皆様も、ご覧になられましたか?

            オルガン奏者 冬三日月を研ぎ澄ます   (晶子拙句 11/10,1999)

 勿論、オルガニスト鈴木雅明氏への讃歌(句)です。
 11/3のパイプオルガンが、鳴り止みません木漏れ日の松蔭chapelに在るようです。 素晴らしいオルガンを聴かせて下さった雅明先生に感謝を込めて、失礼ながら拙句を捧げたいと思います。

 霜月の 神のオルガン弾き給へ

  Kata-Kata と 足鍵盤や秋気満つ

  コラールの 旋律追へば花野かな

  オルガンの 音の愛らしき木の実降る

  秋の日の 祈りの中に君が居る

  耳を澄ませば 連なってゆく秋の星

  秋灯し バッハの自筆譜面かな

  秋深し J.S.バッハを充満す

  神に捧ぐ 冬の光のガルニエ作
                        
From Akiko Suzuki    

P.S. 松蔭 chapel には末っ子を連れて参りましたが、雅明先生のオルガンを夢の中で聴いておりました。
   祭壇を囲むように、聴衆は時に瞳を閉じて、神へのオルガンに耳を澄ませました。 

P.S. 今、バッハ等音楽家を詠んだ著名俳句作家の俳句を集めています。
   例えば、「グミをふふめば楢の虚空をバッハの曲 (加藤しゅうそん)」

(Akiko Suzuki様) (99/11/11)  
 Akiko Suzukiさま、いつもお便りありがとうございます。11/3の松蔭のオルガンリサイタルに行かれたのですね! そして、たくさんのインスピレーションをお持ち帰りになったのですね。しみじみと一句一句を味合わせていただきました。 
 私は11/5のカザルスホール11/6の芸大・新奏楽堂で、雅明さんのオルガンを堪能させていただきました。2日間で同じ曲目も何曲かあったのですが、こじんまりとしたカザルスホールのアーレント・オルガンすっきりした響きと、新奏楽堂の大ガルニエ・オルガン豪華な響きでは、全く違う曲のようにすら感じました。どちらの持ち味も捨てがたいものです。ちなみにカザルスホールでの公演はNHKが音声を収録していましたので、来年1月ぐらいにFMで流される予定だそうです。お楽しみに!
 先日、宮澤賢治のオルガンにまつわる詩の話題がありましたが、ある本で、実は今カザルスホールがある場所、しかもオルガンが設置されているステージ後方の場所こそ、賢治が最後の時を迎えた、旅館の一室のあった場所であるとの記載を見つけました。今回賢治の詩がこの「フォーラム」で話題に上り、賢治終焉の地でもあるカザルスホールで、その賢治の詩の一節に心打たれたことのある鈴木雅明さんがオルガンを奏でられたことは、不思議な巡り合わせですね。
 インターネットでバッハに関する詩などを調べてみましたら、尾崎喜八中原中也の作品にもいくつかあるようです。「バッハ・俳句集」も楽しみにしております! その他のジャンルでは、思索家(?)の森有正氏のエッセー(最近「エッセー集成」全5巻がちくま学芸文庫で発行されました)の中に、みずからオルガンも弾いた彼なりのバッハ観が、随所に書かれています。現在少しづつ読みすすめているところです。 (矢口) (99/11/18)
*上記の私のコメントの中に不正確な部分がありました(   を付けた部分です)。正しくは「現在のカザルスホールのある場所は、賢治の最後の上京時の宿泊先である「八幡館」があったところ」ということです。間違えのご指摘をくださった吉沢弘志さんからのお便りでその経緯をご紹介させていただきます。
《カザルスホールの場所は「終焉の地」ではありません》

 (前略)宮澤賢治は、1933年の9月21日午後1時半頃に、花巻の自宅にある病室で永眠しています(37歳)。
 現在カザルスホールのあるところは、「終焉の地」ではなく、賢治の最後の上京時の宿泊先である「八幡館」があったところです(旧完宅駿河台南甲賀町12番地)。それは1931年9月20日から28日までのこと。賢治はこの上京の際に仙台から乗った列車の中で悪寒と頭痛を覚え、東京に着くと発熱、八幡館に投宿後寝込んでしまいました。医師の往診を受けたりしても熱は下がらず、賢治は「死」すら覚悟し、手帳に「遺書」まで書いています。結局熱が下がらぬまま、医師の勧めもあり、知人に手伝ってもらって寝台車で花巻に戻り、自宅で静養。ある程度の回復まではその年いっぱいかかったようです。有名な「雨ニモマケズ」はこの病の静養中に手帳に記されたものです。
 おそらく「遺書」を書いたことなどからの誤解でありましょう。(後略)

(吉沢弘志様) (99/11/19)
 ・・・なるほど、カザルスホールのある場所でもし亡くなってしまっていたら、あの名作「雨ニモマケズ」は幻になってしまってしまうところだったのですね。私が見かけた本は、購入しなかったのでいま手元にありませんが、今度書店で見かけましたら良く確認しておこうと思います。ご指摘、ありがとうございました! (矢口) (99/11/22)
 先日のコメントで私が見かけた本を確認して参りました。いやぁ、お恥ずかしい、私の読み間違えでした!
本のタイトルは『チェロと宮沢賢治』(横田庄一郎著、'98.7.30、音楽之友社刊、1800円)でした。その中の該当する個所には確かに「賢治が病を得て遺書をしたためた」旨記載がありましたが、亡くなったのはその2年後とも明記されていました。私の早とちり、お詫びいたします。なお、本の中では続けて、「このカザルスホールと賢治の関係については、カザルスホール倶楽部会報第100号(97.10発行)にも紹介されている」とありました。そして、そこからの引用として「賢治の魂はまさしくカザルスホールの聴衆の一人なのである。賢治に会員番号第0番を特別に捧げたい」というカザルスホール倶楽部会報の編集長さんによる言葉が掲げられていました。きっと“賢治の魂”も、鈴木雅明さんのオルガンの調べを聴いてくださったに違いない、と思いました。 (矢口) (99/11/25)

150 《To BCJ Forum from Kobe》
 
 BCJのHPを久しぶりに拝見しました。これまでも二三度,のぞいたことはあったものの,当方の古いマシンはインターネットには非力で十分楽しめなかったのですが,このほど,職場のパソコンを新調してもらい,早速,アクセスした次第です。HPの内容は一段と豊富になったようで,一度では見切れないくらい・・・。 今回はとくに,BCJフォーラム(7)を全部 print して(23ページ!),読ませていただきました。皆さんの含蓄あるご意見・ご感想に触発され,少しお尋ねしたいこともあって,初めてペンならぬキーボードをたたいています。

* 神戸松蔭チャペルコンサートとの出会い
 1980年代の初め頃,「季刊リコーダー」という雑誌の対談記事に鈴木雅明氏が登場,オルガンつきチャペルのある女子大学が神戸にでき,そこへ赴任することになっている云々と話しておられました。へえーと思っていましたが,それが当時の自宅(灘区の鶴甲(つるかぶと)団地)に近い神戸松蔭女子学院大学だったわけです。チャペルコンサートにはオルガンの披露とか(改造時も),チェンバロの聴き比べ,女子大の学生さんたちの合唱など,折に触れて足を運び,楽しませていただきました。
 自宅は大震災の前年(94年)に市内西南端のところへ転居しましたが,職場は松蔭に近い灘区六甲台にあり,ずっと親近感をもって聴かせていただいています。とりわけ,BCJ設立後も,Bach のカンタータ・シリーズなどを神戸でも続けていただいているのは本当に嬉しいことです。昨年,神戸後援会の最初の懇親会には参加させていただきましたが,その後,土曜の夜は帰りを急ぐ事情があって失礼しています。その内に余裕ができれば,また参加したいと思っております。(以上,自己紹介に代えて。なお,上記の雑誌は転居の際,どれかのダンボール箱に入れたままですが,必ずあるはずなので,見つかったら,正確な巻・号などお知らせします。)

* Monteverdi コンサート
 さて,7月のBCJMonteverdi のコンサートは,この大家の多様な技法をみごとに浮き彫りにした,感銘深いものでした。HPのフォーラムには,同じプロの東京公演について,やや不満の声もありましたが,私は「禁欲的」どころか,曲ごとに違う音と言葉の世界がダイナミックに描き出されていたと感じています。もしかすると,会場の相違ということがあるかもしれません。因みに,一昨(97)年秋,東京の紀尾井ホールでBCJの Bach カンタータを聴く機会があり,おのずとその少し前の神戸公演と比較してしまいました。オペラ・シティにはまだ行く機会がありませんが,やはり,1000人規模の通常のコンサート・ホールと松蔭のチャペル(200人そこそこしか入らない)では音響がまるで違い,CDの録音がここで行われている理由も納得というところです。

* 1つの質問
 ところで,この Monteverdi プロの前半最後の「Beatus Vir」について,冒頭のソプラノの印象的な美しいテーマの歌詞が「Stella Stella」のようにきこえ(星よ星よ?),「Beatus Vir」という言葉は中間部でやっと出てきたように思います。カンタータなどでも,声楽曲のタイトルは冒頭の歌詞によるのが普通なので,この曲だけが(演奏の美しさとは別に)歌詞のことで妙に気になっています。当日,懇親会に出られれば,お尋ねもできたのですが,私のきき違いか,あるいは何か事情があるのか,ご教示くだされば幸いです。Monteverdi といえば,かつて,有名な「聖母マリアの晩課」(これも12月,神戸でもやってもらえるとのことで楽しみ)とか,若干のマドリガーレのLP(not CD)をよく聴いた時期がありましたが,この7月,久々に接しました。「宗教的・倫理的な森」は手元に何も資料がなく(コルボの全集CDを買うべきか?),お尋ねする次第です。

* カンタータシリーズ
 10月の Bach カンタータもすばらしかったですね(JRのトラブルで来られなかった方には本当にお気の毒でした)。すでに,フォーラムにそのレポートが寄せられていますが,このシリーズは欠かさず聴かせていただいており,1回ごとに何か新しい発見がありますBach がこんなことを と驚き,チャペルでの響きを求めて,リリングとかアーノンクール−レオンハルトの同じ曲のCDをかけてみても,印象がまるで違うこともしばしば。鈴木−BCJの斬新さチャペルの音響の魅力を味わえるのはなんとも幸いなことです。2000年のスケジュールも発表になり,カンタータに加えてマタイブランデンブルク全曲(これ,大好きですが,実演ではまだ100%満足したことなし),大いに期待しています。

* その他のコンサート
 松蔭のチャペルでは,BCJのシリーズの他にも,いろいろのコンサートが行われています。最近では,9月15日の「レクチャーコンサート」11月3日のオルガンコンサートを聴きました。
 敬老の日はシュッツの声楽曲が鈴木氏の解説と指揮,「ヴォックス・フマーナ」という名(以前,女子大の学生さんたちのアンサンブルでこの名が使われたこともあったように記憶)の10名余の合唱(BCJ神戸のメンバーを含む)で歌われ,楽しませていただきました。無料(!)というサービスでしたが,きちんと歌詞対訳のついたプログラムが配られるなど,いつもながらの気配りに感謝。
 また,文化の日は今年度「ゼロビートシリーズ」の2回目で(秋分の日の第1回は急用でゆけず残念),BuxtehudeBach の曲が雅明氏のオルガンで聴けました。愛らしいコラールから荘重なプレリュード,トッカータなど,チャペルをゆるがす多彩な響きを堪能! このオルガンなどはどんなオーディオ装置をもってしても再現不能な世界で,生のコンサートならではのものです。

 かなり長くなりましたのでこの辺で。また,お便りさせていただきたいと思います。

(廣森 勝久様 [神戸後援会員・神戸市垂水区]) (99/11/04) 
 廣森さん、はじめまして。お便りありがとうございます! 松蔭のチャペルとBCJへの変わらぬ暖かいまなざしに満ちたお便りに感激いたしました。本当に、松蔭あってのBCJですね。だからこそ経済的には苦しい中でも神戸公演が続けられているに違いありません。このBCJの“心のふるさと”のために、神戸公演後援会の活動もさらにいっそうの広がりを持ってもらいたいもの、と祈らずにはおれません。
 7月と10月のBCJ神戸公演のご感想も興味深く拝見させていただきました。確かに会場の違いは大きな要素ですね。しかし、現在の東京オペラシティもBCJととても相性がよいのでは?と、私は思っています。機会がありましたら是非こちらにもお運びください。7月公演の歌詞とタイトルについてのおたずねは、近日中に「Q&A」のコーナーにもUPしようと思います。何かご存知の方がいらっしゃいましたら、お知らせください。
 さあ、廣森さんが11/3に楽しまれた、鈴木雅明さんによるバロックオルガンコンサート本日(11/5)東京・カザルスホール公演です。オルガンは違いますが、その再現不能な世界を存分に堪能してきたいと思っています。
(矢口) (99/11/05)

 


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