マルチアンプ方式は複数のアンプで分割周波数ごとに直接スピーカーを駆動します。このため音の鮮度が向上し、きわめて分解能の高い音になる(埋もれていた音が聞こえる)最高のスピーカー駆動方式です。この理想を求めることでマルチアンプにチャレンジし不幸にして失敗された方も少なくはありません。その要因は自作派の間では、チャンネルフィルターとしてCRのみのバッファアンプもないもので簡易にチャレンジしてマルチは難しいと決めつける方もいます。周波数分割がきちんとできれば,スピーカーのネットワーク方式とは格段の違いが体験できます。
マルチアンプ方式の調整
はじめに
私の考えとして、マルチアンプ方式の調整はあくまでもフラットに調整するもので、音作りに積極的に利用するものではありません。チャンネルデバイディングネットワークできちんと分割することが正当派の使い方です。チャンデバがなければマルチアンプ方式は成立しません。
簡単に行う、チャンデバ疎調整
ホワイトノイズを用いる
簡単なところではFMチューナーの局間ノイズを利用します。これはホワイトノイズには幅広い帯域の成分が含まれているからです。そして身近なものなので簡単に使えるメリットがあります。
@ウーハーアンプだけ動作させます。ゴーと言うノイズが聞こえます。(適当な音量に合わせます)
AMIDアンプを駆動してレベルを上げて行きウーハーとバランスの良い音で聞こえるところに合わせます。
Bツゥイターアンプを駆動してレベルを上げて行き全ての音のバランスが良くなった場所に合わせます。
疎調整はたったこれだけの簡単な事で出来ます。これを音楽、ましてや楽器の音色で合わせると訳がわからなくなり、マルチは難しいと思うようになります。(特に分割数が多い場合)
マルチアンプでの音作りは間違いでは?
なぜマルチアンプ方式で音を作らなくてはならないのでしょうか、マルチアンプのメリットはパワーアンプの出力で直接スピーカーを駆動、出来ることにあります。そして各スーピカーユニットに、その帯域のみを受け持たせるので無理無くワイドレンジのひずみの少ない音を楽しめます。それなのにクロスポイントを重ねたり、1次のフィルター(−6dB)で済ませたり、積極的に音作りに利用している場合もあります
これが自分のやり方と言われれば確かにそうですが、はじめてマルチアンプ方式を試される方はこれをやってしまいますと泥沼に入りこみ抜け出せなくなります。ひどい遠回りをすることになるのです。
マルチアンプでの解りやすい音作りの例
こう言う音が出るはずだ、あるいはあそこでは、こんな音でこのレコードは鳴っていたと言う思いこみは、こんな音を作ってしまいます。
@トランペットの音にクロスポイントを持ってくる。そして重ねるするとその楽器の音が膨らむ
Aシンバルの音にクロスポイントを持って来て−6dBのゆるいフィルターを使うそしてレベルを高くする
このような事をやって見るとジャズ喫茶ぽくなり、これで楽しめればそれでも良いのですが、あいにくクラッシクも聞きたいとします。するととてもバランスの悪い音になってしまいます。
マルチアンプでの主義主張
オーディオにおける再生音楽は各人の主義、主張で成り立っていると言っても過言ではありません。マイナーな趣味であるがために、表に出ることは少ないのです。買って来た物にしろ、自作したものにしろ、最終的には自分で作り上げるものですが、私のようにこうして理屈を述べていますと、理屈で音を鳴らしたのでは面白くないと言われます。時には計算がめんどうなので適当にフィルターを交換して耳で決めている。これがこの音だの論まで出てきます。そこまで主義、主張を言われると私との考えが、全く異なるのでそれ以上は、論争になるので引き下がるようにしています。否定は災いの元です。
精密調整
精密調整は計測機を用いて行うのが良いと思いますが、現実的には不可能であることがほとんどです。そこで今度は、疎調整の位置を基準に音楽を再生して合わせます。不思議なことにそんなに疎調整の位置から外れません。これが私の言うマルチは簡単だの根拠です。そして最後に良くわかっている歌手の声で別人の声になっていないか確認します。フルレンジのスピーカーで声を比較すると良いと思います。楽器の音では比較しにくいのです。おかしな調整だと、たとえばシャンソンの金子由香利さんの声が、さだまさしさんになったりします。実際に松田聖子さんの声で調整の不適当さが良くわかるのです。やってみると馬鹿に出来ないのです。(また笑われることを書いてしまいましたが試して見る価値はあります)何も松田聖子さんに限らず良くわかっている歌手や声楽家を用いれば良いのですが、音楽で調整してはだめです。またジャズ喫茶の音の記憶を基準にしてはならないのです。特に古くからの著名店の印象はやめてください。
|