家族信託 目次
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1.信託とは
信託とは、「信じて託す」という意味で、家族信託とは文字通り、家族を信じて財産を託し、託された家族が託された内容に沿って財産を管理し、指定した受益者(財産から収益や生活費などを受け取る人)に利益を与える制度です。
認知症対策や未成年の子の福祉を守ることができる等、現在の幅広いニーズに応えるための制度といえます。
2.家族信託の基本的なしくみ
家族信託には、3者の当事者が存在します。
財産を託す人→委託者
財産を託される人→受託者
委託された財産から利益を受ける人→受益者
委託者は信託の契約で定める事により、信託財産の管理・処分権限を受託者に与えます。受託者は管理している財産から生じる決められた利益を受益者に渡します。
上記で説明しただけではイメージはつかみにくいかもしれませんが、
老後、判断能力が低下すると自身の預貯金や不動産、特に収益不動産などを管理できなくなり、新たな賃貸人との契約能力もなく、不動産を売却したいと思っても成年後見制度を利用しないと売却すらできない事態が生じてきます。判断能力が十分あるうちに家族信託を設定することによりこれらの事態に備えることができます。
3.成年後見制度との違い
成年後見制度では、一度制度を利用すると、おそらくお亡くなりになるまで後見人がつき、流動資産(預金など)が1200万円以上ある方は、ご家族ではなく、弁護士、司法書士などの職業後見人がつくケースが多くなります。職業後見人がついた場合は月額報酬として2万円から6万円程度(年額にして24万円から72万円)の報酬が毎年必要となります。
その点、家族信託では、家族に財産を託すため(家族を受託者と設定するため)、無報酬として設定することができます。
また成年後見制度では、居住用財産などを売却する場合は、裁判所の許可が必要となりますが、家族信託で財産処分権限を受託者に託しておけば、受託者(家族)の判断で財産を処分することができます。もちろんこの財産は不動産も含まれますので自宅の売買も可能です。
家族信託を設定しておけば、認知症になったとしても、後見人の報酬で財産を目減りさせることなく財産の管理を家族にまかせることができます。
また、成年後見制度では、ご本人の財産から自由に家族に贈与をしたりすることはできません。成年後見制度では、被後見人(ご本人)のために適切に財産管理がなされるよう、常にチェック機能としての裁判所の目が光っています。就任した後見人は、1年に1度、裁判所に財産報告を行わなければなりません。
この点も、家族信託であれば、柔軟に財産処分を設定することができます。毎年、孫に50万円を贈与したいなどのご希望にお応えすることも可能です。
4.専門家に依頼するメリット
家族信託を設計するには、複雑な法文の解釈が必要です。事案に即した内容を法律に当てはめる作業が必要であり、信託に精通した専門家に依頼することが望ましいでしょう。ひな形をそのまま適用すると、思わぬ落とし穴があり、法律的に知識がないと難しい場面が少なくありません。専門家に依頼しておくと比較的スムーズに事が運びます。
5.専門家に依頼するデメリット
専門家に依頼するには、事務にかかる報酬が発生いたします。
また、入念な打ち合わせをするのに基本的には面談をお願いしますので、任せたらハイ終わりではありません。
6.
■お願いできない方
■疎遠であり迷惑をかけたくない方
■同居の子供はいるが、障害者で事務を行うことが難しい方。今後障害のある子の福祉に不安を抱いている方
■配偶者はいるが高齢で認知症などの心配がある方
■散骨・樹木葬などを希望しており、家族や親族と供養方法につき意見が合わない方
■内縁関係のご夫婦・同姓のカップルで事実上の婚姻関係にある方
7.家族信託にかかる費用
死後事務委任契約を当職で受任した場合、
①司法書士報酬
30万円~50万円程度
②公証人への手数料
③登記手続報酬
10万円から
8.どのタイミングで行えばいいか
家族信託を検討すべき方は、早めに契約を締結されることをおすすめします。
いったん信託契約を締結しても、後から契約を解除したり、内容を変更することも可能ですので、現在、不安を抱えてらっしゃるのでしたら、速やかに契約締結してください。
ご高齢などにより、認知症にかかってしまった場合は、契約締結をすることができなくなりますので、ご注意ください。
9.より安心を得るために。家族信託契約と同時に締結する契約
家族信託を設定しただけでは、死後の相続手続き、認知症になった場合の対応、見守りなどに関して行うことは出来ません。
より安心を得るために、下記の手続きを同時にとることをおすすめいたします。
■任意後見契約の締結
■尊厳死に関する誓約書の作成
ご不明な点はご相談ください。
古川美奈子司法書士事務所
電話 079-222-6672
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