成年後見制度の種類

目次

・成年後見制度の種類

法定後見制度の3類型

 ・成年後見

 ・保佐

 ・補助

 ・代理人の同意権、取消権の対象となるのは

成年後見制度の種類

成年後見制度は大きく分けると、法定後見制度と、任意後見制度の2つがあります。
これのうち、法定後見制度は、「後見(こうけん)」「保佐(ほさ)」「補助(ほじょ)」の3つ に分かれており、判断能力の程度によりご本人の事情を踏まえ3類型から選択できる ようになっています。

法定後見制度は、現に判断能力が不十分な方が利用する制度で、将来に備えて申立てをするものではありません。
これが任意後見制度との大きな違いです。

成年後見

常時、判断能力を欠いている人を対象としたのが「後見」の制度です。

ご本人の法定代理人となる成年後見人には、本人が行うすべての法律行為について代理権、取消権が付与されます。

ただし、自己決定権の尊重という観点から、一般の食料品や雑誌、衣料品などの日用品を購入するような「日常生活に関する行為」については取消権はありません。

この「日常生活に関する行為」については、はっきりと明文化されていませんが、次のようなことが考えられます。

1.電気、ガス、水道、電話などの契約、代金の支払い


2.食料品や衣料品(高価な着物などは除外)、日常使用する雑貨の購入

3.近隣へ出かけるための公共交通機関の利用

4.毎月の地代、家賃の支払い


5.かかりつけ医への診療の依頼、医療費の支払い、介護サービス代金の支払い。

6.孫達に少額の小遣いを与えること

7.これらの支払にあてるための預貯金の払い戻しや振り込み。
(借入れやローンなどは当然含まれません)
ただし、実務上は、成年後見人が就任した後には、預貯金の払い戻しや、公共料金等の支払、地代家賃の支払いなどは、すべて成年後見人が行っており、ご本人の財産をしっかり確保できるようにサポートしています。

保佐

判断能力がかなり不十分になってきた人を対象にしたのが「保佐」の制度です。

日常的な買い物はできても、不動産の売買や自動車の購入、お金の貸し借りなどといった重要なことが自分1人ではできない場合には保佐が該当します。

 ご本人をサポートする「保佐人」には民法で定められている「重要な行為(下記参照)」 について 同意権が与えられ、ご本人が保佐人の同意なしに行った行為については、保佐人に取消権が付与され、後に法律行為を取り消すことができます。

また、申立てのあった特定の法律行為については代理権も付与されます。

補助

判断能力が不十分な人を対象としたのが「補助」の制度です。

一人暮らしなどで「預貯金などの日常的な金銭管理が心もとない」「介護サービスなどの契約内容がよく理解できず、ひとりで手続きを行うことができない。という高齢者の方に最適な制度が補助です。

ご本人をサポートする「補助人」に、申立てのあった特定の法律行為について代理権が付与されます。これにより補助人が本人に代わって預貯金の出し入れや、介護サービスの契約などを行うことができます。

また、悪徳商法の被害の防護策などもを念頭に置き、として一定の重要な財産処分について、補助人に同意権を付与することもできます。

同意権が付与された法律行為につき、ご本人が補助人の同意なしに行った行為については、補助人に取消権が付与され、後に法律行為を取り消すことができます。

なお、補助は医師の診断書があれば、申立てができますが、保佐、後見とは異なり、本人以外の者が申し立てた場合には、補助開始の審判について本人の同意が必要です。

代理人の同意権、取消権の対象となるのは

保佐、補助の場合の同意権、取消権の対象となる「重要な行為」として民法第13条第1項は次のことを挙げています。

1.預貯金を引き出すことや貸金の返済を受けること、利用すること。

2.金銭を借り入れたり、保証人になったりすること

3.不動産をはじめとする重要な財産権を手に入れたり手放したりすること

4.民事訴訟で原告となる訴訟行為をすること。

5.贈与すること、和解・仲裁契約をすること

6.相続の承認・放棄をしたり、遺産分割をしたりすること。

7.贈与・遺贈を拒絶したり、不利な条件がついた贈与や遺贈を受けたりすること。

8.建物について建築・改築・増築・大修繕をすること

9.一定の期間を超える賃貸借契約をすること。



ご不明な点はご相談ください。
古川美奈子司法書士事務所
電話 079-222-6672

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