遺言 目次
1.遺言を残すメリット
2.遺言を残すべき方
3.遺言の種類
4.検認とは
1.遺言を残すメリット
今から自分の死後について準備をしておくのは、縁起が悪い。
自分には大した財産もない。
私の家族は大変仲が良く、財産分与で揉めるとは考えられない。
そのように考える方が多いのではないでしょうか。
しかし、世界情勢が不安定な中、年金制度もあてにならず、セーフティーネットが不十分である中、遺族にとっては、遺産が今後の生活に大きな支えとなり得ます。
遺族を取り巻く経済事情、生活環境などから、遺産の分け方について円満にまとまるケースばかりではなく、遺産分割について骨肉の争いとなり、身内の縁が切れてしまうまで揉める事もあります。
遺産の分割に関しては、当人どうしというよりその配偶者、子どもを含めた家族どうしの問題になりますから、ことはより複雑になります。
遺言書がなければ、相続財産は法律で決められた割合(法定相続分)の配分に従います。
金銭以外の財産は分割が難しいのがほとんどです。
病気がちな妻が一人残されたり、 子どもは3人いるが、長男だけが家業を継いで苦労していたり、前妻との間の子がいたり、隠し子を抱えていたり・・・。
遺言を残しておけば、相続は遺言内容に従わなければなりません。
病気がちな妻には、長年一緒に住んでいた自宅を相続させたい。
あわせて預金の半分も残したい。
農業を共同経営している長男には、農地を含めて財産の半分を引き継がせたい。
一向に家には立ち寄らず、好き勝手している二男には財産をあまり残したくない。
生前認知していない子どもがいるが、認知をして財産を与えたい。
可愛がっていたペットの行く末が心配だから、面倒見のよい長女に引き取ってほしい。
などなど・・・。
誰々にどの財産を相続させたいのか、生前の主張を遺言によって反映させることができます。
又、特別にお世話になった知人、戸籍上結婚をしていない内縁の妻など、相続権を持たない人に財産を譲ることもできます。
2.遺言を残すべき方
✔ 相続に争いが起きそうな方
✔ 事実婚の方
✔ 同姓結婚をなさっている方
✔ 特定の相続人にのみ財産を引き継がせたい方
✔ 子供のいない夫婦
✔ 生涯独身を貫いている方
✔ 再婚で前配偶者との間に子供がいて、子供間や、現配偶者と前配偶者の子供との交流がない方
✔ 帰化をし、日本国籍を取得している方
✔ 外国人と婚姻されている方
✔ 相続人の中に認知症の方がいる
✔ 遺産を特定の団体に寄付したい方
ご不明な点はご相談ください。
古川美奈子司法書士事務所
電話 079-222-6672
3.遺言の種類
遺言方式には次の三つがあります。
1.自筆証書遺言
2.公正証書遺言
3.秘密証書遺言
1.自筆証書遺言
自分で紙に書き記す遺言のことです。紙とペン、印鑑さえあれば、どこでも作成できますから、手間も費用もかからず、一番手軽に作成することができます。
令和2年度から、この自筆証書遺言を法務局にて保管する制度がスタートしており、下記に示す検認手続が不要となります。
ただし、法的に定められた様式に従わなければ無効と判断されてしまいますので、以下の方式に注意して下さい。
・全文を自分の手で書くこと
代筆を頼んだり、ワープロやタイプライターで作成することは認められていません。また、ビデオ撮影も認められていません。一部必ず全文自筆で書いて下さい。
一部
・氏名を自筆し、押印を忘れないこと
氏名も必ず自筆で明記して下さい。
本人であることが誰にでもわかるようであれば、芸名やペンネームなどでもかまいませんが、できるだけ戸籍上の氏名を用いるようにしてください。
印鑑は実印でも認め印でもかまいません。
・作成した日付をかならず記入すること
日付は具体的な年月日を記入してください。
例えば、「28年10月吉日」というような記入では不十分であり無効とされます。
遺言書は何度でも作成することができ、後の遺言で、先に作成した遺言を否定することもできます。
作成された遺言の順番が明確に分かるように日付の記入は忘れなで下さい。
・その他の注意事項
遺言の内容は、できる限り明確に、誰が読んでも誤解されない文で、端的でわかりやすい表現を用いてください。
遺言書が完成したら、「遺言書」と書き記した封筒に入れ、封をして、遺言書に押印した印鑑を押して封印しておくといいでしょう。
自筆証書遺言は、家庭裁判所の検認手続きが必要で、開封は家庭裁判所で行うことになります。それまでに開封や書き換えなどの痕跡があれば、無効になってしまう可能性があります。
保管には十分に気をつかってください。
自筆証書遺言のメリット
・手軽に簡単にできる
・いつでも作成することができる
自筆証書遺言のデメリット
・遺言方式や遺言内容に不備の生ずるおそれがあり、確実性に欠ける
・破損・紛失のおそれがあります
・相続人が遺言書の存在に気付かない事があります
・相続時に検認の費用がかかります。
2.公正証書遺言とは
遺言書を公正証書にして公証人役場で保管してもらうのが公正証書遺言です。
遺言者が口頭で述べた内容を、2人以上の証人が立ち会ったうえ、公証人が作成します。
確実な遺言書を残しておきたい場合は、公正証書遺言を作ることをお薦めします。
公正証書遺言のメリット
・公証人に法律の規定どおりに作成してもらうので、遺言書が無効になることは、まずありません。
・公正証書遺言は相続が開始するまで(20年間)公証人役場で保管しますので、破損、紛失のおそれはありません。
・相続時に家庭裁判所で検認を行う必要はありません。
公正証書遺言のデメリット
・証人2人以上の立会が必要です。
※ 未成年者、被後見人、被保佐人、遺言者の推定相続人と受遺者配偶者と直系血族、公証人の配偶者、四親等内の親族、書記および雇い人は証人として認められていません。・手間と費用がかかります。
(公証人手数料)
・遺言内容を証人や公証人に知られてしまいます。
3.秘密証書遺言とは
遺言者自身が作成して封印した遺言書を公証してもらうのが秘密証書遺言です。
遺言内容を公証人や証人に知られたくないが、実行を確実なものにしたい時には、秘密証書遺言をおすすめします。
遺言者が自分で遺言書を作成し、公証人と証人の前に封書を提出して氏名住所を述べ、公証人がその提出日と遺言者の申述内容を封紙に記載し、遺言者、証人とともに署名押印します。
秘密証書遺言のメリット
・遺言内容を秘密にできます。
・遺言書は自分で作成しなければなりませんが、自筆証書遺言と違いやむを得ない場合には、ワープロやタイプライターで作成してもいい事になっています。
秘密証書遺言のデメリット
・証人2人以上の立会が必要です。
※ 未成年者、被後見人、被保佐人、遺言者の推定相続人と受遺者配偶者と直系血族、公証人の配偶者、四親等内の親族、書記および雇い人は証人として認められていません。
・手間と費用がかかります。
(公証人手数料)
・遺言書は自分で作成する為、遺言方式や遺言内容に不備の生ずるおそれがあり、確実性に欠けます。
・手続きが終わったら自分で保管するため、破損、紛失のおそれがあります。
・自筆証書遺言と同じく、相続時には家庭裁判所で検認を行わなくてはなりません。相続時に検認の費用がかかります。
ご不明な点はご相談ください。
古川美奈子司法書士事務所
電話 079-222-6672
4.検認とは
検認とは、家庭裁判所で相続人又は代理人立ち会いのもと、遺言書が開封され、遺言書の形式や状態を調査して、その結果を検認調書という公認文書にしてもらうことです。
公正証書遺言以外の遺言書は、見つかった時点で開封せず、すみやかに家庭裁判所に持っていくことになります。
遺言の有効・無効を判断する手続きではありません。
申立人
遺言書の保管者・遺言を発見した相続人
申立先
遺言者の最後の住所地の家庭裁判所
申立に必要な費用
遺言書1通につき収入印紙800円
連絡用の郵便切手
(各家庭裁判所に確認してください)
申立に必要な書類
・申立書
・申立人、相続人全員の戸籍謄本
・遺言者の戸籍(除籍・改正原戸籍 出生時から死亡までの全ての戸籍謄本
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