Alfa Romeo 164
トラブル&メンテナンスレポート(No.18)


1999年 10月

初めてユーザー車検にチャレンジした。今まで車検はディーラー(コーンズ)にお願いしていたが沼津に転勤になり横浜まで車を持込むことが億劫になったことが今回チャレンジするきっかけになった。またそれに合わせて沼津の友人が同時期ユーザー車検を受けるという事を知り、便乗させていただける事になったので話しがトントン拍子に進展した。終わってみて想像以上に簡単だったというのが正直な感想であるが、これも友人たちの協力があったからであり、この場をかりて厚く感謝いたしたい。

さて手順について

1 必要書類の入手と記入

車検(正式には継続検査)には以下の7種類の書類が必要となる。

  自動車検査証  (いわゆる車検証)    自分で用意できるもの
  自動車損害賠償責任保険証明書
  自動車税納税証明書
  24ヶ月定期点検記録簿      車検場で入手(一部購入)できるもの
  継続審査申請書
  自動車検査票
  自動車重量税納付書

各書類の書き方はここでは省略する。車検場にサンプルが有るので参照していただきたい。
また自動車損害賠償責任保険証明書、いわゆる自賠責証明書は新たな車検期間をカバーする新しい契約を行い今までのものと合わせて必要となる。

2 車の点検 (24ヶ月定期点検記録簿の作成)

平成7年7月の改正道路運送車両法の施行によって、法定24ヶ月定期点検整備を車検前に実施しなくてもよくなったが、もちろん定期点検整備が不要になった訳じゃない。またユーザー車検だからとは思いたくないが、当日の車検申請受付にて点検簿の内容は細かくチェックされた。法的には後回しでも良いが事前にやったほうがどうやら良いようである。ディーラーに車検を依頼すると点検はプロが実施するのであるが、ユーザー車検の場合はほとんどの場合自分でやらなければならない。(もちろんプロに頼む事もできる)。ではいったい何を点検すれば良いのかという疑問が生じるわけだが、そんな疑問も点検簿を見れば解消される。点検簿には点検すべき項目が図入りで書かれてあり、そこに書かれた項目を1件ずつ点検していけば良いのである。もちろんわからない項目は無理して点検しない。たとえばCo値などは匂いを嗅いで分かるものじゃない。これは後で説明する予備検で点検しよう。
小生の場合のんびりやったので丸1日かかったが、それでもかなり甘い点検になったのが正直なところ。ちなみに不具合や交換などの個所はこれと言ってなかった。

3 車検の予約

ユーザー車検は完全予約制がとられている。予約は電話でおこなう。沼津の場合コンピュータによるアンサーテレホンサービス(24時間制)である。電話をかけると女性の声でガイダンスが流れるのでそれに従い予約日を入力する。受付時間は1ラウンドから4ラウンドまで時間帯に別けられており、空いているラウンドに予約を入れる事ができる。別に何処のラウンドでも良いが後で説明する予備車検をAMにやるなら3ラウンド以降が良いと思う。予約を入れると予約番号の案内が有るので忘れずに記入しよう。我々は4ラウンドをGET。2時30分受付。早めに行って下見もできるラウンドである。

4 予備車検

自分でおこなう点検の中で外観やエンジンルーム内、そして下回りはある程度自分でできるが測定器を使う検査はこの予備車検において事前に点検し本番にのぞむ。予備車検は本番の検査ラインほど項目は無いが、ブレーキの検査(ブレーキを踏んだり放したりする)やスピードメーターの検査(テスターの上でアクセルを踏み走行する)、そして排ガステスターを使う検査など本番さながらの予行演習ができてありがたい。 時間的には15分ほど。価格は3,150円。


友人の75
検査の項目は以下の内容である。
1 サイドスリップ検査    ホイールアライメント
2 前後ブレーキ検査    前輪後輪のブレーキ能力
3 駐車ブレーキ検査    駐車ブレーキ能力
4 スピードメーター検査  メーターの誤差 (40Km走行時)
5 ヘッドライト検査      照射角度(明るさ)照射光軸(方向)
6 排ガス検査        C0 HC 排出濃度
上記6項目の中で調整が必要だった項目はヘッドライトの光軸の調整のみ。本来ならば調整は行われないがご厚意(?)で同検査場で調整いただいた。

5 さてここからが本番! 車検場にて

まず車検場に着いたら印紙を購入する。購入する印紙は検査手数料と重量税の2種類。購入したら検査票と重量税納付書に貼り付ける。車によって金額は違うのであらかじめ必要な金額を調べておくこと。書類がすべて整ったら継続審査窓口にて全書類を提出。ここで書類審査。24ヶ月定期点検記録簿の点検のもれなどは結構シビアに注意された。書類審査が終了すると車両検査を受ける検査ラインのナンバーが指示される。

ライン検査の内容

 第1ステージ  外観検査
 同一性の確認
 第2ステージ  第1セクション  サイドスリップ検査
 第2セクション  スピードメーター検査
 前後輪ブレーキ検査
 駐車ブレーキ検査
 ヘッドライト検査
 第3セクション  排気ガス検査
 第3ステージ  下回り検査
 第4ステージ  総合判定

さて次に、指示された検査ラインに車を誘導させ上記内容の検査を受ける。検査内容は大きく4ステージに別けたが特に難しいのは第2ステージ。自分一人で車を検査ラインに走らせ各項目を電光掲示板の指示に従い検査する。各項目の順番と検査要領は決まっていて事前に参考書等で勉強しておくと焦らずにすむ。また、早めに行き他の車がラインを通る様子を見学するのも良い方法である。ある程度検査項目の順番と要領が頭の中で整理されていないと矢継ぎ早に指示される内容に焦りもたつく可能性は大きく、合格する検査も失敗しちゃいそう。
ステージごと内容を簡単に説明すると第1ステージは検査員が車台番号や原動機形式、外観、灯火類などの動作確認を行う。受かるポイントは検査員が来たら直立不動の姿勢で大きな声で「よろしくお願いしまっす!」と挨拶すること。・・・それは冗談であるが、検査員の指示をよく聞きテキパキ行動しよう。ちなみにホーンマークやバイザーのコーションラベル(触媒異常時の注意事項を書いたシール)等はここで有無の確認が行われる。ハンドルを換えセンターボタンがアルファマークのクロヨンにはホーンマークなどあるはずが無く、急遽正露丸の箱のラッパのマークを切り取りセロテープで貼り付けた(爆)。またコーションラベルは内容をそっくりそのままワープロ打ちし貼り付けた。でもどうしてないんでしょう・・・(笑)


第2ステージを待つ75とクロヨン
第2ステージは大きく3つのセクションに別けられる。まず第1セクションはサイドスリップ、つまりアライメントの検査を行う。これは比較的簡単。コツはセンサー(2枚の鉄板)の上に引かれた線の上を真っ直ぐにゆっくり走れば良いだけ。予備車検でパスしていれば大抵は大丈夫。ただしセンサー上でのハンドル操作と急ブレーキは厳禁。分かり難いが左写真のタイヤがのっている黄色い点線の延長にそれがある。結果が良くても悪くてもそのまま走り抜け次のセクションに移る。バックは駄目よ!。そのまままっすぐ走るとタイヤを乗せるローラー(テスター)があり、それに前輪を乗せる(後輪は自動)。
ここから第2セクション。ここではスピードメーター検査、前後輪ブレーキ検査、駐車ブレーキ検査、ヘッドライト検査が行われる。電光掲示板の指示に従いアクセルを踏んでスピードメーターが40Kになったらパッシングしたり、ブレーキを踏んだり放したり結構矢継ぎ早で忙しい。各項目の判定を受けすべてが合格でなくても次のセクションへ移る。ちなみに不合格が生じた場合は再検査の為のラインがありそこで不合格になった項目の再検査を受ける事ができる。
さて第3セクション。ここでは排気ガスの検査を行う。予備車検場で検査を受け合格していればまず間違いなく合格する。

ブレーキ検査中のクロヨン
作業は簡単。排気ガステスターのプローブと呼ばれる検査棒をマフラーに差し込み検査結果が出るのを待つだけ。排気ガステスターが自動的に検査してくれる。結果が出たら次のステージへ移るわけであるが、ここまでの検査結果の内容をここで自動車検査票に記入する。排気ガステスターの横に自動検査記録機が有るからここに検査票を差込み記録のスタンプを押しておく。これを忘れると今までの検査が無効になるので要注意。ここまでくれば一安心。後は第3ステージで下回りの検査を受けるだけ。ここでも電光掲示板や下回りを検査している検査員からの指示が有るから注意して聞き逃さないこと。前に進むと指示が出れば検査は一通り終了。
排ガス検査中のクロヨン

ここでも検査結果の記入が有るので忘れずに。もし不合格の項目があったならばここで先ほどのラインの端に再検査ラインというのが有るのでそこへ進入。受ける項目のボタンを押して再検査をおこなう。すべて合格ならば総合判定所に検査票を持参し検査員に総合判定の合格印をもらう。

6 車検証交付

検査ラインでの車両検査が終了したら車を駐車スペースに戻し車検証の交付の手続きを行う。といっても先ほどの継続検査窓口で受付をおこなっているのでそこに全書類を提出する。後は名前が呼ばれ新しい車検証とステッカーが交付される。ステッカーは早めに張り替えよう!


今回要した費用

自動車損害賠償責任保険 31,200円
自動車重量税 37,800円
継続検査手数料 1,500円
書類関係購入費 150円
予備車検代 3,150円
ユーザー車検 参考書 1,200円
   合   計 75,000円

前回ディーラーに車検を依頼した際の請求内容と比較すると、部品交換およびその工賃は別として、車検整備一式48,000円、車検代行手数料12,000円、スチーム洗浄12,000円、検査ライン一式8,000円、合計80,000円が浮いた計算になる。手放しに喜びたいのは山々であるが素人が行った点検整備であるゆえにプロが行う点検整備に比べると甘いはずである。本当なら交換や整備が必要な個所も見落としている可能性があるかもしれない。したがって日頃忙しくとも定期的に点検をする手間はかかるわけだし、今まで以上に車の調子に対し気をつかわなければならないのである。そんな事を考えると80,000円で当面の安心を買うのも満更無駄じゃない(安心じゃないことが結構多いが・・・)(笑)。
ユーザー車検は確かにディーラーに依頼するより費用は安く済む。しかしながら車検場に持込む手間はかかるし、何よりも今まで以上に車と深く付き合わなければならない。間違っても車検を通したからといってこれからまた2年は安心して乗れるという意味ではなさそうである。自分の車は自分が責任を持って維持する。そんなきっかけづくりなのかもしれない。


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