全体的な印象
ZARD3作目のベスト(ZARD BLENDシリーズはコンピレーションでありベストではない)にして,キャリア集大成の2枚組。そして,おそらく泉水さん30代最後になるであろうアルバム。
ZARDデビュー15周年として,このベストアルバム,待望のビジュアルコレクションDVD,そして写真集が発売された。
困ったことにこのベストアルバム,通常盤と初回盤があり,初回盤は特典DVDが3種類もあり,ZARD BESTの時と同様に,マニアは4種類も買わなければならない。私のようにZARDサイトを運営するようなZARD廃人ではない普通のファンは1枚だけで良いですよ。その金でビジュアルコレクションを買いましょう。
Chris Bellmanによる全曲リマスタリングということであるが,正直,劇的に変わったという印象は受けなかった。
全曲解説
Disc1
01.Good-bye My Loneliness
作詞:坂井泉水 作曲:織田哲郎 編曲:明石昌夫
1stシングル。記念すべきデビューシングル。発売当初と現在ではCDの音量がかなり違う(コンプレッサーをかけてでかい音が出るようになっている。)ので,現在のレベルの音量になっている。ヴォーカルが歪んで聞こえたので,リマスタリングの弊害かと思ったが,元々ヴォーカルが歪んで録音されているようだ。
02.眠れない夜を抱いて
作詞:坂井泉水 作曲:織田哲郎 編曲:明石昌夫・池田大介
ヒットしなかった2nd,3rdはスルーして,4thシングル。ジャケット写真が素晴らしく,TVデビューあり,セールス回復,イメージ確定とかなり重要な作品。この曲が無かったら今のZARDは無かっただろう。
03.IN MY ARMS TONIGHT
作詞:坂井泉水 作曲:春畑道哉 編曲:明石昌夫
5thシングル。もともと音が頭の中に広がって渦を巻くようなMixだったのだけど,リマスタリングでも余り変わっていない。
04.負けないで
作詞:坂井泉水 作曲:織田哲郎 編曲:葉山たけし
6thシングル。誰もが知っているZARDの代表曲,24時間テレビでもお馴染み,くるくるドカンの掟ポルシェゴールシーンでも青木さやかが熱唱,と励ましソングの代表格。
この先ZARDの全盛期,シングルが殆ど連続して収録されている。「ZARD BEST the Single Collection」の時点で既にシングルよりかなり音量が大きくなっていたのだけど,さらにでかくなっている。
05.君がいない
作詞:坂井泉水 作曲:栗林誠一郎 編曲:明石昌夫
7thシングル。栗林誠一郎の同名タイトルのカバー。アルバム「揺れる想い」収録のB-versionではなくシングルバージョン。「ZARD BEST the Single Collection」マスターとどう違うのかちょっと聞いただけではよくわからない。
06.揺れる想い
作詞:坂井泉水 作曲:織田哲郎 編曲:明石昌夫
8thシングル。この曲のおかげで今のZARDの息の長い活動があるのではないか。「負けないで」だけじゃないとを証明した2枚目のミリオンセラー。
07.もう少し あと少し…
作詞:坂井泉水 作曲:栗林誠一郎 編曲:明石昌夫
9thシングル。メランコリックな曲で,「負けないで」以降の3曲の路線を修正,この後さわやか路線のシングルがしばらくリリースされなくなる。人気があるうちに色々な路線の曲にチャレンジして音楽性の幅を広げようとしたらしい。
チャート初登場僅差の2位。この時の1位との関係が10年以上経ってもバラエティー番組のネタにされるくらい面白かった。
08.きっと忘れない
作詞:坂井泉水 作曲:織田哲郎 編曲:明石昌夫
10thシングル。アルバム「OH MY LOVE」収録バージョンではなくシングルバージョン。
09.この愛に泳ぎ疲れても
作詞:坂井泉水 作曲:織田哲郎 編曲:明石昌夫
11thシングル。かなり重厚な曲で,後半はハードロック化する。
10.Oh my love
作詞:坂井泉水 作曲:織田哲郎 編曲:明石昌夫
アルバム「OH MY LOVE」収録のアルバムオリジナル曲。アイドル歌手のような萌え要素満載の歌詞,美しいメロディ,光が散乱するようなアレンジ,シングルにしないのが勿体ない曲だった。しかし,典型的ZARD曲が収録シングルに無かったアルバム「OH MY LOVE」は,この曲を大々的に前面に押し出してダブルミリオンを獲得したのだった。
11.こんなにそばに居るのに
作詞:坂井泉水 作曲:栗林誠一郎 編曲:明石昌夫
12thシングル。超攻撃的なZARD。ジャケット写真からして真っ赤だ。
12.あなたを感じていたい
作詞:坂井泉水 作曲:織田哲郎 編曲:織田哲郎
13thシングル。前作からうってかわってスローなラヴ・バラード。凄い振り幅だ。
くすぐったくなるような泉水さんの歌詞が織田哲郎作曲・編曲の曲にベストマッチ。
冬にリリースされ,ストーブでポカポカに暖かくなった部屋で何回も聴いた経験から,この曲を聴くとあのストーブの暖かさを思い出す。
13.愛が見えない
作詞:坂井泉水 作曲:小澤正澄 編曲:葉山たけし
ZARDのタイムトラベルは14thシングルのロッカバラード「Just bilieve in love」を飛ばして15thシングルのこの曲へ。パメラの小澤正澄作曲,再びハードロック路線に戻る。凄い早口が特徴の曲。
14.サヨナラは今もこの胸に居ます
作詞:坂井泉水 作曲:栗林誠一郎 編曲:葉山たけし
16thシングル。ハードロックの次は再び甘ったるいこの曲へ。中高生のポエムのような歌詞とジャケット写真の泉水さんの白い服に萌えまくりだ。ヴォーカルが違う「TODAY IS ANOTHER DAY」ヴァージョンではなく,シングルヴァージョン。
数少ない簡単に行けるジャケット写真のロケ地,サブマリンドッグは今年で閉店してしまい,あの泉水さんが座っている椅子に腰掛けることはもうできなくなってしまった。あの店に,私がこのサイトに書いた紹介文が貼ってあったのはちょっと嬉しかった。
Disc2
01.マイ フレンド
作詞:坂井泉水 作曲:織田哲郎 編曲:葉山たけし
17thシングル。3枚目のミリオンセラーシングル。友情を歌った(でもラブソングにも聞こえる)正統派ZARDソング。
プロモーションビデオで一瞬だけ映る泉水さんのカメラ目線見たさに,何度もVHSテープを巻き戻したものだ。
02.心を開いて
作詞:坂井泉水 作曲:織田哲郎 編曲:池田大介
18thシングル。このベスト盤に附属する「Golden History 1991〜2006」によるとこの曲は4年前のデモテープのお蔵出しだったそうだ。ビーイングのことだから元々ZARD向けの曲だったのかも怪しいが,出来上がってみればZARDのイメージに忠実な曲。
出だしの「私はあなたが思ってるような人ではないかもしれない」は泉水さんが我々ファンに向けて放ったメッセージのようにも思える。
03.Today is another day
作詞:坂井泉水 作曲:織田哲郎 編曲:池田大介
アルバム「TODAY IS ANOTHER DAY」収録のアルバムオリジナル曲。ちょっと微妙な出来のアルバムだと私は思うのだけど,この曲を前面に出して展開,ちゃんと結果は出た。今回のベストアルバムに収録されたアルバムオリジナル曲はこの曲と「Oh my love」だけ。カップリング曲は1曲もない。
04.Don't you see!
作詞:坂井泉水 作曲:栗林誠一郎 編曲:葉山たけし
19thシングル。アップテンポな曲なので,ライヴの際には盛り上げたい場面で使われた。1〜3週目の妙にねばり強い不思議なチャートアクションが印象的だった。
05.永遠
作詞:坂井泉水 作曲:徳永暁人 編曲:徳永暁人
22ndシングル。「永遠」よりオリコン上のセールスが良い20th「君に逢いたくなったら…」とセールスの悪かった21st「風が通り抜ける街へ」を飛ばし,この曲へ。この曲が一般的に認知されている最後のZARDのヒット曲か。
ヴォーカルが終始ノイズっぽい上に歪んでいるのが気になる曲だが,今回のリマスタリングでも変わりはなかった。元の録音が悪いらしい。この後,録音の歪みが目立つようになる。
06.My Baby Grand 〜ぬくもりが欲しくて〜
作詞:坂井泉水 作曲:織田哲郎 編曲:池田大介
23rdシングル。この曲もヴォーカルが歪んでいるなあ。余りヒットしなかったこの曲,改めて聴いてみると,もう少し評価して良い曲じゃないかと思う。
07.運命のルーレット廻して
作詞:坂井泉水 作曲:栗林誠一郎 編曲:池田大介
25thシングル。帽子ジャケットが印象的な24th「息もできない」を飛ばし,この曲へ。「ZARD BEST 〜The Single collection〜」のミックスではなくシングルのミックスで,若干アウトロが短いようだ。どうせならカップリングの超名曲,大野愛果の作曲家デビュー曲にしてひょっとしたら最高傑作かもしれない「少女の頃に戻ったみたいに」を収録して貰いたかった。
08.Get U're Dream
作詞:坂井泉水 作曲:大野愛果 編曲:葉山たけし
一気に26枚目〜31枚目のシングルを飛ばし,NHKのシドニーオリンピック中継イメージソングという最高クラスのタイアップが付いたこの32ndシングルへ。
アップテンポな励ましソングで,セールスは前作までに比べたら上がったが,大ヒットとまでは行かなかった。
30thシングル「痛いくらい君があふれているよ」を最後に8センチシングルは終わり,12センチシングルに移行していた。そして,作家陣を次々入れ替え,最終的に主力作曲家が大野愛果に落ち着いた。
附属ブックレット「Golden History 1991〜2006」によると「ZARD BLEND 〜LEAF & SNOW〜」リリース後1年半の休養に入る,とあるが,これだとZARD第2章として発売された34thシングル「さわやかな君の気持ち」のリリース(6か月後)とタイミングが合わない。私の印象では33rdシングル「promised you」あたりから活動停止状態になった感じがする。この曲の後アルバム「時間の翼」が発売されたが,表題曲が未完成だったり,リミックスで曲数稼いだりちょっと考えられない状態だった。途中で制作が停まったのではないか?
09.もっと近くで君の横顔見ていたい
作詞:坂井泉水 作曲:大野愛果 編曲:池田大介
37thシングル。35thシングル「明日を夢みて」から一気に活動が活発化。2003年は「異邦人」と合わせてシングルが4枚出た。この曲が2003年最後のシングル。上の8曲目「Get U're Dream」からは丸3年経っている。
この頃の録音は十分音量が大きいので,リマスタリングの影響は殆どわからない。
この曲をライヴで聴いたとき,出だしの泉水さんの声量の大きさにビックリ。
10.今日はゆっくり話そう
作詞:坂井泉水 作曲:大野愛果 編曲:徳永暁人
原点回帰アルバムとも言える「止まっていた時計が今動き出した」がリリースされ,初のライヴツアーまで実施,充実したなかリリースされた39thシングル。泉水さんが動き,歌うプロモーションビデオが制作された。特にサビの部分で,夜景を背景に,曲に合わせながら科を作って体を揺らすシーンは秀逸。
11.星のかがやきよ
作詞:坂井泉水 作曲:大野愛果 編曲:葉山たけし
12夏を待つセイル(帆)のように
作詞:坂井泉水 作曲:大野愛果 編曲:葉山たけし
この2曲が両A面の40thシングル。ねばり強く売れ続け,新規ファンの獲得に成功した。それにしても随分と健全な曲を作るようになったものだ。
13.ハートに火をつけて
作詞:坂井泉水 作曲:大野愛果 編曲:葉山たけし
ZARDキャリア総括の旅はいよいよ最後の曲に到着。両A面の41st「悲しいほど貴方が好き/カラッといこう!」を飛ばし,最新の42ndシングルへ。全然ヒットしなかった軽い曲だが,サビの部分は随分と聴きやすく結構好きなんだよな。
Disc1が14曲だったので,Disc2の13曲目のこの曲の後にシークレットトラックが…と期待したが,何もなかった。
ジャケット・ブックレット
パッケージは豪華であり,初回盤の場合,ビニールカバーにCDのジュエルケースの入ったBOXと特典DVDの紙ケースが同梱され,BOXを開けるとZARDのキャリアを振り返った小冊子(Golden History1991〜2006)がまず目に飛び込んできて,そいつをどけるとアンケート葉書,そして2枚組CDジュエルケースが出てくる。ジュエルケースにはくるみ製本の豪華フォトブックレットが収録されている。これで通常盤で普通の1枚のCDより若干高い程度の3,200円で,初回盤は3,500円ながら,DVDが附属するため再販対象外となっていて,値引きされて初回盤より安く3,000円以下で入手できた。
初回盤はDVDとアンケート葉書の色以外違いが無いのにかかわらず,DVD特典の違いにより型番がそれぞれ異なっている。ご丁寧にブックレットにまで型番が記載されている。DVDだけ手元に残して本体を中古に売却できる親切仕様であるが,中古屋に出回った本体から,それにどの特典DVDが付いていたかわかるようにもなっている。
ブックレット収録の写真は初公開のものも多いが,既出のものも結構多く,どうせ没テイク写真が山ほどあるんだから全部初公開の写真にしてくれればいいのに,と少し残念な印象。
それにしても,「眠れない夜を抱いて」のフォトセッションは良い写真を残したなあ。西田幸樹撮影という話を聞いたことがあるが,この人はアイドル写真業界の大物で,最近じゃBerryz工房の菅谷梨沙子(12歳小学6年生)を撮影して,その筋の人たちを悶絶させている。「坂井泉水からりしゃこまで」である。凄い。
セールス
- オリコン最高位?位
- 登場週数?週
- 総売上?万枚(300位までの集計)
これからです。
おすすめの1曲
「Oh my love」
どれも良い。私が一番好きなこの曲を挙げておく。
<<前のアルバムへ 次のアルバムへ>>
|