■ POSTPUNK BEST13編
GANG OF FOUR "ENTERTAINMENT!"
Andy Gillによる空気までも切り刻んでいくようなカッティングギターがあまりにも格好良すぎる、ポストパンクを代表する傑作アルバム。クールな感じがパンクではなく、ニューウェーブなのかもしれないけど、ポリティカルなバンドらしいです。若いキッズにもパンク以外の1979年リリースのこの1stアルバムを手にとって聴いてくれるとおっちゃんも嬉しいぞ(とはいえ、おっちゃんもさすがに1979年は小学生だわ)。赤いジャケットのデザインも逸品。
THE ONLY ONES "THE ONLY ONES"
1978年リリースの1stアルバム。学生だった頃、再発されていないこともあり、金もないのに7,000円ほど出してLPを購入しました(若気の至り)。最近手軽に聴きたいたいということでCDを購入し、久しぶりに聴いたのだが、いやー、最高です。音的にはちょうど時代どおりに、パンクとニューウェーブの間って感じでしょうか。BUZZCOCKS風のパンキッシュな曲もあれば、泣ける曲もあり、Peter Perrettはかなりの曲作りの天才と言えるかもしれません。私はなんとなくMarc Bolanにも近いところを感じました。2nd"EVEN SERPENTS SHINE"も3rd"BABY'S GOT A GUN"も最高!
THE RAINCOATS "ODYSHAPE"
1981年リリースの2ndアルバム。勿論、ラフトレードからのリリース。とにかく愛おしい。ありとあらゆるところで演奏面のことが話題になりますが、演奏をしない私にとって、どうでもいい話だ(ちなみに、部屋にあるゴードン・スミスちゃんはインテリアです)。これを聴けば、好きに楽しく適当にすることが如何に難しいかがよく分かる。しか〜し、彼女らは、やってのけちゃいました。この心地良いほんわかさは何なのだろう。頭でっかちの男どもには真似できません。
KILLING JOKE "KILLING JOKE"
1980年リリースの1stアルバム。今となっては古さも感じますが、これを初めて聴いた時、結構衝撃的でした。無機質でダークでクールな雰囲気が漂いながらも、怒り、憤りといった熱さをぶち込んでくるのがあまりにも格好良かったです。結構、昨今の音楽に対する影響力が大きい感じがします。曲の感じがなんとなく想像できるジャケットもクール。アメリカ人には作れないUKポスト・パンク傑作作品であります。ちなみに邦題は「黒色革命」。結構イケてます。
THE MONOCHROME SET "STRANGE BOUTIQUE"
1980年リリースの1stアルバム。気合いが入っていなくて、一見、爽やかに軽くやっている感じがしながらも、ちょっと捻くれた感じがまさしくニューウェーブ。夜に、白熱灯のみの暗い部屋で、ウイスキーを片手に聴いてみたい。空中をふらふらと漂うようなインド出身のボーカルとペラペラの軽いギターの見事なコンビネーション。久し振りに聴きましたが、やっぱり好印象は変わらず、隠れた名品に確定。注意しておきますが、熱くて迫力のみを求める人は全くお薦めできません。
THE DURUTTI COLUMN "THE RETURN OF THE DURUTTI COLUMN"
ヴィニー・ライリーのソロプロジェクトの1stアルバム。1979年リリース。初回ジャケが他のレコードジャケットを傷つけるためにサンドペーパージャケだったり、B級パンクNOSEBLEEDSの出身だったり、そんなこんなでどんなノイズミュージックかと思うかもしれませんが全く違います。とっても優しくて切ないメロディーが最初から最後まで響きわたります。しかし、ただ美しいだけではなく、聴いていると徐々に孤独感に襲われ、心が掻き乱されてしまうところが、並みのギターインストアルバムではない名盤たるところです。歌なし作品としては、最重要作だと思ってます。とりあえず、1曲目"Sketch for Summer"で決まりでしょう。
THE POP GROUP "FOR HOW MUCH LONGER DO WE TOLERATE MASS MURDER?"
1980年リリースの2ndアルバム。普通の人が聴けば、これを音楽というのか疑問のことでしょう。確かに私も本当に好きなのかと尋ねられたら、「?」マークが頭によぎりますが、ポストパンクの最重要作の一つであるということは断言できます。ここには、期待されるような美しいメロディーなんか、存在しません。あるのは、現代社会への激しい怒りに満ちた人間拡声器と化したのマーク・スチュワートの叫びと、強靱なビートの塊。この津波のような怒濤の攻撃に耳、そして脳が制圧されてしまうのを、ただ黙って屈服するだけになってしまいます。降参。
XTC "WHITE MUSIC"
1978年リリースの1stアルバム。ニューウェーブの大御所投入してみました。アンディ・パートリッジの変態キーボードなんかでニューウェーブの代表バンドと化していますが、さすが、1978年。まったくパンク作品と言っても何ら問題なく、ビートがキレまくっています。もっとイメージとしてのニューウェーブを堪能したいなら3rd"DRUM AND WIRES"(1曲目"Making Plans For Nigel"なんかポップソングの名曲)なんかがよろしいのかもしれませんが、パンク小僧の方はこの1stかと。
WIRE "PINK FLAG"
1977年リリースの1stアルバム。とにかくアルバムの評価というより、最後の曲"12XU"(want to sex youとのことらしい)のことになってしまう。この曲は、MIDDLE CLASSの"Out of Vogue"級のあまりにも早く産まれすぎたハードコア・パンクソングだと思う。MINOR THREATのカバーが有名で逆にカバーの方しか聴いていない人の方が多いかも知れないと思いますが、是非、この1曲だけでも、聴いて欲しい。1977年であの音を出してます。のび太君と一緒にタイムマシーンに乗ってきたとしか思えません。
JOY DIVISION "UNKNOWN PLEASURES"
1979年リリースの1stアルバム。イアン・カーティスの自殺で伝説な存在となってしまい、盤自体が持つ実力以上にプラスアルファな評価になっているかもしれませんが、ポストパンクの代表作の一つなのは間違いないのでしょう。これを聴くと暗闇に取り残されてしまい、生きる気力がなくなっていくような感じがします。ま〜、私はマニアではないので、ここには収録されていない"Love Will Tear Us Apart"なんかのベタな曲の方がすきだったりするのですが(蛇足ですが、Paul Youngのカバーの方をオリジナルより先に聴いてました)、希望が見出せずいじいじしたい人は是非この世界に足を踏み入れてはどうでしょう。
SQUEEZE "COOL FOR CATS"
ニューウェーブというかパワーポップというか、とにかく名作とされている2ndアルバム(1979年リリース)。確かに4枚シングル化され、2曲が全英2位(8曲目"Up The Junction"と12曲目"Cool For Cats")という万人受けするアルバムとなっております。1979年なので、ピコピコなキーボードが出てきたりますが、ビートルズから連なる伝統の美しいメロディーはアルバム全体に漂っております。兎に角、この時期、彼らには、才能があったということは間違いなしです。
AU PAIRS "PLAYING WITH A DIFFERENT SEX"
疾走するモンゴル女性兵士のジャケットが印象的な1stアルバム。1981年作。当時はインディーチャートを賑わしたそうな。グループ名やジャケットに加えLPのインナースリーブの基礎体温表からもフェミニズムな感じがプンプンします。音的には、GANG OF FOURのカッティングギターの影響が窺えるシンプルなサウンドでありますが、ハスキーな女性ボーカルを持ってくることで、GOFとの違いを際立たせてくれます。ファンクなベースも気持ちよす。ちなみにwikiによると、ボーカルのWoodsは弁護士だそうです。相手にするとかなり手強そう。
PUBLIC IMAGE LTD. "FLOWERS OF ROMANCE"
実のところこの作品、別に愛聴しているわけでもないし、感動しているわけでもありません。しかし、ここで紹介するのは過去ジョニー・ロットンと称した彼が、こんな自由で創造的な作品を作り出したことに対し敬意を表せざるを得ないと思うから。ピストルズの楽曲の方が何倍もキャッチーでポップであり、たとえ解散したとしても普通の人ならその路線に沿った作品作りになってしまうものですが、さすがアナーキーなライドン先生は批判を受けるのを気にせず、勇気を持ってロックってものを解体させてしまいました。この1981年リリースの3rdアルバムが彼の25歳の作品であることも驚きであります。
■HARDCORE BEST9編
CONFLICT "FINAL CONFLICT"
CONFLICTはどのアルバムも最高なのですが、中でも最高傑作は1988年リリースの4thアルバムであるこれです。DISCHARGE等のDIS-COREが苦手な人も大丈夫。なにせ、メロディーがあり、曲ごとの展開が見事で、ハードコアとしては珍しくアルバムとして聴けます。個人的にはメロディック・ハードコアと同じ扱いをしているのですが、一応、こちらの方で紹介しておきます。美しいとはいえ、猛烈なツインボーカルによるすさまじい掛け合いに、背筋がぞくっとすること間違いなしです。心から聴いてもらいたいと思う作品。
MINOR THREAT "COMPLETE DISCOGRAPHY"
1981年、1983年に録音された作品の編集盤(1989年リリース)。FUGAZIのIan MacKayeが在籍した最高のUSハードコア・クラシックの1つ。もっと言えば、DAG NASTY、BAD RELIGIONのBrian Baker在籍っていうのもありますね。まー、とにかく熱い!激しい!声を振り絞るIanの絶叫ボーカルが心にどか〜んと染みること請け合います。さすが、良かれ悪しかれ1つのムーブメントを作ってしまっただけはあります。あとUSハードコアバンドでは、ARTICLE OF FAITHなんかも血走っていて、最高です。
REFUSED "THE SHAPE OF PUNK TO COME"
スウェーデンを代表するポリティカルなハードコア・バンドの3rdアルバム(1998年リリース)。ボーカルがTHE (INTERNATIONAL) NOISE CONSPIRACY、THE LOST PATROL BANDでお馴染みのDennis Lyxzén。なんちゅう頭の柔軟性とセンスなんでしょう。彼は、時代時代で指向を変えながらも、肝心なパンクの格好良さという大黒柱をど〜んとぶれずに真ん中に置いているところがすごい。器用貧乏ではない天才。で、本作品も単純なハードコアパンク作品ではありえず、様々な要素をぶちまげて飽きさせない展開はさすがでございます。
7SECONDS "WALK TOGETHER,ROCK TOGETHER"
1985年リリースの3rdアルバム。比較的最近の"GOOD TO GO"を紹介しようと思ったけど、NENAの"99 Red Balloons"のカバーが入っているので、その時の気分でこちらをセレクト。プロデューサーとしてIan Mckayeがあがっているのは、今、裏ジャケで確認しました。そういや、ギターとかMINOR THREATっぽいな。まさしくメロディックなハードコアの元祖の一つと言えるのでは。
DISCHARGE "HEAR NOTHING SEE NOTHING SAY NOTHING"
1982年リリースの2ndアルバム。HARDCORE PUNKの王道中の王道。前作"WHY"でも、メロディックしか聴かない人にとっては、一緒かも。両者とも圧倒的かつ暴力的な破壊力で、脳天かち割られます。メロディってものもないし、スピードと簡潔なメッセージというだけでは、なかなか長期間にわたって順調な活動をしていくのは難しかったと思う。でも"WHY"とこれを産み出し、裏ロック史に燦然と輝く歴史を刻み込んだという事実だけで充分成功なのでは。そういえば、ジャケットも最高に格好良い。
G.B.H "CITY BABY ATTACKED BY RATS"
1982年リリースの1stアルバム。DISCHARGE、EXPLOITEDとともに三大UK HARDCOREバンドとして有名なG.B.H。二つのバンドと異なり、ポップな親しみやすさ、聴きやすさではナンバー1であります。 とはいえ、メタリックなギターサウンドを先頭に突っ走るスピード感はHARDCOREならではのもので、イライラが積もってスカッとしたいときには最高な音であります。メロコアから時代を遡りたい人、そしてHARDCORE PUNKというものを初めて聴きたいと思っている人には、とってもお勧めの1枚。
MINUTEMEN "DOUBLE NICKELS ON THE DIME"
あのSSTから1984年リリース。3rdアルバム。ほとんど1分台の曲ばかりと記載すると同レーベルのBLACK FLAGや初期HÜSKER DÜ等のモロハードコアのサウンドを思い浮かべるかもしれませんが、HARDCORE JAZZ FUNK PUNKと言ったらよいのか、とにかく唯一無比な展開。いやはやクールもクールであります。頻繁に聴きたいものではないですが、JAZZやPOST PUNKからの影響を見事に消化し昇天させた名作であることは間違いないでしょう。センスの塊。
NEGATIVE APPROACH "TOTAL RECALL"
1981年から1984年にかけての録音を収録した編集盤(1992年リリース)。超ぶち切れボーカルが魅力的なUSクラシック・ハードコアバンド。怒りに満ちたこの声を聴いていて、彼は日常生活をスムーズに送れているのか少し不安になってきます。私はこの編集盤しか持っていないのですが、正直、個人的には、"Tied Down"さえあれば充分。エセ・ファンもろバレなのですが、本当にこの曲、ハードコアベスト3に入りそうなすごい曲であります。とってもかっちょよいです。
CHAOS UK "CHAOS UK LP"
1983年リリースの1stアルバム。ノイズ感に溢れたバンドを1つ選びたいと思ったので、DISORDERの"PERDITION"とどっちにしようかと何回か勝負させましたが、とりあえずこちらにしておきます。実のところ、全体としては、五分五分なんですが、ボーナストラックの"No Security"があまりの超名曲なので...。アルバム本体に比べて、パンクロックよりなのですが、この勢いと緊迫感に打ち勝てる曲は、ほとんどないのでは思っております。ちなみに私のiTunes上では、星5つの曲は45曲ありましたが、ばっちしこの曲はその中に入っております。
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