"Old"ナルドの香油

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原稿集_序
編集責任者: 安黒 務
2013年8月6日
 仁美の祖父は尾道で小学校の校長先生であり、祖母も先生。そして母も先生であった、いわゆる“教育一家”。祖母は新聞に投稿などされており、召される日までボケるようなことはなかったそうである。母哲子は戦後、児童に教科書に墨を塗らせる経験を経て教師を辞した。仁美自身も大阪教育大学で学んだ。言語障害学科で学び、障害児教育の素養を身につけた。それらの家風、教育、経験が仁美の原稿に独特の視点-“うまみ”を与えている。

 読んでみて、妻、仁美の原稿には“新聞投稿”原稿の趣きもあるかな、そう思う。大村家(妻の旧姓)の血筋かもしれない。「自分の意見」をもつ近代・現代女性である。家庭や教会や世の中のさまざまな事象に対して“I say …”と語り始める。その内容からはいろいろと教えられることが多い。そして内容とともに機知に富んだ組み立てがまた興味深く、引き込まれる。そこには妻が落語などを愛好していることも影響しているようである。

 結婚してから33年、楽しい語りかけを“ウーマン・ツー・マン”で聴かせてもらって楽しかった。それで「きみの思っていること、考えていること、しゃべっていることをそのまま文章にして広く分かち合ってみたら、どう…」と勧めてみた。

 「地のすべてのひと」に共感を得ていただくことは無理であろう。しかし、“幾人かにでも”読んでいただき、楽しんでいただき、なにか教えられるものを感じ取っていただければ、仁美が生きてきたことにまた、“ひとつの意味”を見出せるのではないか、そう思うのである。