"Old"ナルドの香油

報道された踏切事故について


報道された踏切事故について
2013年10月15日
  先日、電車の通過を待っていた車の前に、遮断機が下りているにもかかわらず、一人のおじいさんが線路内に立ち入り、うずくまってしまうという事件があった。

 父親が運転する車に乗っていた四十代の女性が、父親の制止にもかかわらず、助けなくては!とおじいさんの元に駆け寄り、おじいさんは車輪と車輪の間に身を置くことが出来たため、軽傷ですんだが、女性は電車に跳ねられ亡くなった。

 このニュースに接し、なんともいたたまれない気持ちになった。目の前で娘の事故を見るという父親の気持ちを考えると、慰める言葉も無い。

 この事故の後、女性の勇気を称える人々の声がニュースで流され、政府はこの素晴らしい行いを称えるべく、賞状と銀杯を贈ったと伝えていた。私はこの女性の行動は今の世の中において、まれにみる善行であったと思うし、彼女の生き方がそこに現れていると思う。

 しかし、ニュースの伝える称賛の声の陰で、自殺しようと列車に飛び込む人の問題は取り上げられなかったことに物足りなさを感じた。毎日、どれだけの人が自殺の衝動にかられ、実行しているか、都会に住んでいると"ただ今、人身事故のため、列車を点検しております。"というアナウンスをしょっちゅう聞くという。

 毎年、わかっているだけで約三万人の人が自分で自分の命を絶っている。このことを政府も国民も協力してまず、考えるべきではないのだろうか?勇気ある人が他の人の自殺に巻き込まれて死ななくてもよい世の中になって欲しい。

 そして、彼女を失った父親が、自分を責めることの無い様、周りの方々のフォローを願っている。そして、あのおじいさんも責めないであげて欲しいし、生きる力をもう一度取り戻して欲しいと思う。