解説
2006.10/18



自己解説。


 というか、まえがきというか、あとがきというか、そんな感じで、少々。
萌え萌えだ?くねす(M.M.D.)がサークル活動を始めたのが、1997年5月。
その時のメンバーが、sintoととのさま。彼らの作品も読めるので、ぜひ、どうぞ。
 さて、最初に出した、かつ最後まで書き終えた初めてのお話が、まちあわせ
りゅうのすけとの再会が、もし遅れていたら、という仮想戦記みたいな桜子のお話。
実際、原作と重複する場面では、原作の台詞そのままなので、間違ってもいない。
エヴァンゲリオン、小沢健二、高校教師、柊あおいと、当時の影響がそのまま出ているのが若い。
 ふたりきりは、その直後に書いた、自分としての長編二作目。
夏休みも終わりの頃、唯とりゅうのすけが、ふたりきりでお留守番、というお話。
ありきたりすぎる設定ながら、だからかもしれないが、評判がよくて驚かされた。
 夏の終わりには、ふたりきりの続編。
海に行く約束をした唯とりゅうのすけの、二転三転、七転八倒のお話。
花火に浴衣は、真夏の魔法。女子の魅力を倍増させ、男子の自信を深めさせる不思議な衣。
誰かがギャルの戦闘服だと言っていたが、実際のところはどうなのか。ギャルでなくても威力十分かと。
いきあたりばったりという悪いくせが表に出ていて、あとになって、けっこう後悔。
 M.M.D.の時に書いた中では、最も長いお話となった、春を待つ季節
原作中の桜子の、原作に描かれなかった部分を書いたもので、つまりは桜子の生活のお話。
思い入れの深いお話であるだけに、書き直したいと思うほど、自分の中ではあらが目立つ。
特に、「退院したら、俺とデートするんだ」という台詞に対する部分を書き忘れたのが痛い。
題名は、当時の最新鋭ゲーム機、PC-FX版同級生2の、宣伝文句から頂いた。
 最後の長編は、男の戰い。旧漢字なのは、エヴァンゲリオンのせい。
体育祭を舞台にした、血で血を洗う三角関係のお話で、実の主人公は、西御寺有友だった。
同級生2と競馬の融合とか、出せる人間は全部出しとか、煩悩丸出しとか。
これに関しては、やりたい放題やった感が強く、作者としても楽しめた。
このお話の、後半部分の唯と有友は、けっこう好き。いや、つか、唯はかわいいだろ。
なんて、自分で言ってもみる。
 これ以降は、短編ばかり。長編、短編。特に基準があるわけではないのだけれども。
まずは、forever with…。これは、唯とりゅうのすけの、出会いと結婚のお話。
人様の本向けで、きつい締切とページ数、結婚という主題がまずもって決まっていた。
さらに、初体験となる縦書き、唯の一人称文体など、いろいろと苦労させられた。
特に、一人称時の呼称。大人だから、私でいいよな、と、この時は決められたが。
高校時代は、唯はね、なんて書かなければならないのだろうか。ああ、恥ずかしい。
まぁ、ゲーム中でも、私は大丈夫、なんて言っていたから、私でもいいのだろうが。
題名は、永遠の宿敵、PS版ときめきメモリアルの副題から盗ませてもらった。
 PS版で追加された、西御寺の妹、静乃ちゃんのお話が、Merry Christmas Mr.…
内容は、クリスマスの日に、サンタさんと初デートをする、というもの。
ゲームが発売される前のわずかな情報を頼りに、3日間で書き上げた愛の一本。
当然ながら、延期延期の末に発売された原作とは、大幅に性格が違っていた。らしい。
だいたい、有友兄さんなんて、ボクの静乃ちゃんは言いません。兄さまです。
将来的には、不倫で近親相姦です。これは決定事項です。ええ、運命です。
ごまかした言葉の先は、もちろん、ロレンス。スペルわかりません。
 Never can say…、に続くのは、good by。邦訳は、さよならなんて言えないよ。
人様のいずみ本向けに書いた、いずみの恋の結末のお話。結論のお話、か。
この当時、自分には短いお話が書けないと思っていたので、できた時は嬉しかった。
綺麗にまとまっているような気がして、作者としては好きなお話。
 Idol talk。世にも珍しい、かどうかは知らないけれど、可憐とお弁当のお話。
サークル1周年本を作る際に、掲載するお話の主題がお弁当と決まり、ひとり、四苦八苦。
ちなみに、sintoはこれを、とのさまはこれを掲載した。
ボクは、本当は桜子で書きたかったものの、無理があるので可憐に変更。
頁数の制約もあり、可憐とお弁当とりゅうのすけを結び付けるのに難儀したまま終わってしまった。
悪い意味ですっきりとしていなくて、なにか、こう、隠しておきたくなる。
最後だけでごまかそうとするくせは、ホント、治さないといけないな、と思う。
 すっきりしていないのは、初夏 雨上がりも同じ。
唯とりゅうのすけと、にわか雨と傘と、というお話で、ベタベタなはずなんだけど。
文章と文章が、きちんと結ばれていなくて、どうにもまとまっていない印象を受ける。
書き出しの部分や、駅前の回顧のところは好きなんだけど。もったいない。
 初夏 雨上がりと同じく、ビデオ版同級生2からもらった題名、心もよう 晴れのち…
いずみの誤解によるやきもちのお話、というのは、萌え系にはありきたりの設定。
なんとか赤面率を上げようと、ですます文体を使ってみたが、かんばしくなかった。
このお話で、ぐちゅらせるよりも、脳みそをかゆくさせる方が難しいと知った。
 ちなみに、ですます文体は、久美沙織のMOTHERという小説で出会ったもの。
使い勝手のよさと、文に軽さを持たせられるので、これ以降、使うことが多くなった。
 結婚組曲という、小沢健二の楽曲のまねをしたのが、恋愛組曲。
桜子が中心人物で、小沢健二の歌を題名にもらっている以外、共通部分は、実はない。
それでも組曲。作った人間がそうだといえば、そうなるのが、この世界の仁義。
 ドアをノックするのは誰だ?は、心もよう 晴れのち…の裏版。
一人称なのに、かなりくどくど書きすぎて、悪い意味で重たすぎる。
小説は削る作業だと誰かが言っていたけれど、なるほどと納得させられた。
こういう、いかにも女の子らしい振る舞いをする桜子は、かなり好きなんだけども。
 大人になればは、個人的によく使う、お互いの呼び方のお話。
りゅうのすけは、桜子だろうし、桜子は、りゅうのすけくん、以外にないと思う。
ちなみに唯は、お兄ちゃん、りゅうのすけくん、ダーリンの三段活用。
唯も桜子も、りゅうのすけ、って呼び捨てにしないというか、できないような気がする。
とはいえ、智って呼び捨てにした香澄ちゃんの例もあるから油断はできないけれども。
 痛快ウキウキ通りは、桜子のエンディングの中のお話。
全体的な流れや雰囲気が、いかにもネット小説っぽいと思うのは、ボクだけかしら。
言葉を選べば、淡々と進んで終わる、みたいなの。
こっそりピチカートファイブが元ネタ。キャッチーでもグルービーでもないけれど。
3時間も待っていたのよ、わたし、猫といっしょに、しゃべって。
この三作に、春にして君を想うを加えて、パーフェクト恋愛組曲となる予定だったのに、ジオング。
 サークル2周年本に、お茶をお題としたお話を書くことになり、それが、チャイナ・カフェ
喫茶店で語り合う、桜子とりゅうのすけのお話も、厳しいお題に難儀させられた記憶が。
ただ喫茶店で話をさせるのは簡単だけど、必然性がないとダメなような気がして。
その女の子だから、その場所だからこそのお話を作りたいとは、いつでも考えている。
なかなかうまくいかないけれど。
 M.M.D.最後のお話は、音のない言葉。元題は、音のない音楽。名曲。
恋人に、夜中、こっそりと電話をしにいくという、現代人には想像のつかないお話。
同級生2が発売された当時は、携帯電話を所持している人が、いかほどいたことか。
電話といえば、固定電話。個人ではなく、家単位の所有物だったなんて、信じられる?
意中の女子に電話をしたら、両親が出てきて、冷や汗をかきながら呼び出してもらって。
それだけに、取り次いでもらった時の嬉しさは、確実にあったけれど、それは余談。
でも、どうして夜中にこっそり電話しなくちゃいけないの? それはのちほど。

 M.M.D.が解散し、ひとりサークル、萌え萌えぐりったーず(M.M.G.)を立ち上げる。
サークルとしてはひとりでも、M.M.D.の時と同様、いろいろな方の手助けをいただいていたけれど。
この場を借りて、お礼申し上げます。特に、明日香さんと、岬こぢろさんには。感謝感謝。
 2000年4月、実質的な初参加イベントで出したのが、甘いの。
唯とお兄ちゃんの、屋上での接近遭遇のお話で、とにかく強気な唯に驚く。
これまでは、おっかなびっくりに懐に入ろうとするような女の子として書いていた。
それが、こんな風になった理由は、ただひとつ。書き手の唯に対する考え方が変わったから。
これ以降の唯は、ますます強気度を深めていくことに。
 照れるの。-新婚組曲-は、イベント当日3時間で書き上げたもの。
唯とダーリンの、仕事帰りのお話は、のちに、新婚組曲と副題が付けられた。
短くて、ちょっとエッチで、個人的には好きなんだけど、評判はそれほどよくない。
ぱっと読んでみて、同級生2のお話とは思えないからだろう。
 新婚組曲とは、副題どおり、唯とお兄ちゃんが結婚したあとの、唯とダーリンのお話。
ただ、そこに至るまでの過程を書いたお話がないので、わけがわからなくなるらしい。
特に、M.M.G.になってからは、説明をしないお話を理想としていたから、ますます。
 解説らしく解説をしておくと、唯とりゅうのすけは、エンディングどおりの道を歩む。
高校を卒業して、看護学校に進み、ふたりとも八十八市民病院に勤め、しばらくして結婚。
ただ、特に変化もなく、変わったことといえば力関係ぐらいで、唯が尻に敷きはじめている。
というのが新婚組曲の設定。
そんな状況での、ふたりの新婚らしさ、みたいなものを書いたものが新婚組曲。
例えば、裸エプロンとか、例えば、変な性癖とか、端から見ると、ええっ、ての。
 えっちなの。-新婚組曲-は、ふたりのお風呂場での痴態のお話。
M.M.D.の頃は、色気は下着までと自制していたが、M.M.G.になって脱却。とうとう、裸に。
さりとて、題名ほどいやらしくはなく、題名でそそられると、かなりがっかりさせられる。
実際、イベント会場では、題名で手にしてくれた人が多く、こっそり、してやったり。
みっちゃんの言われたとおりにやられると、骨まで溶けます。いやマジで。
 調子にのって、薄いの。-新婚組曲-を出したが、これは、よくなかった。
新婚さんの、寝床の上でのお話だというのに、文章も中身も、中途半端すぎた。
だらだらしやすい自分の文章の、悪い部分が出てしまったようで、ちょっと悲しい。
 この頃、新婚組曲ばかり書いていたのは、同級生2サークルとして行き詰まっていたから。
そんな状況で、半分、オリジナルである新婚組曲は書きやすかったし、ネタも浮かびやすかった。
ただ、自己満足以上にはなれなかったけれども。
 そんな中にあって、静かなの。は、同級生2の桜子の想いのお話。
こちらも解説を加えると、桜子とりゅうのすけが付き合い始めた直後のお話となる。
ところが、りゅうのすけといったら、八十八町では、悪い噂で有名な男の子。
そして、桜子のお母さんといったら、その名前を聞いて卒倒しかけた人だった。
そんな人に、付き合っていることを認めてもらうどころか、話すこともできるわけがなく。
自然と、桜子の両親には秘密の付き合いとなり、電話もまた、一方通行になった。
という背景が頭にないとわかりにくいかも。
それを踏まえて、さらに、音のない言葉の前章として読んでほしい。
 したの。-新婚組曲-は、題名どおりの、ふたりが、した、お話。
新婚さんといえば、初めての夜だよな、なんて、したことのない人間は盛り上がるもの。
別にそれまでにやってるし特には、なんて、わびさびのわからぬ台詞は聞きたくもない。夢を壊さんで下さい。
 しないの。-新婚組曲-は、したの。-新婚組曲-と同時期に書いたお話。
新婚さんといえば子作りだよな、なんて、裸エプロンに思いを馳せる若者は考えるもの。
別にそれまでもやってるし、なんて、腑抜けた言葉は聞きたくもない。
こちらは、男の生理、女の生理という主題を、あとでとってつけられて都合がよかった。
 ジオングなので、しないの、net版。は、こちらのみの公開。一応、18禁。だと思う。
最初にこちらを出すつもりでいたけれど、あまりに卑猥でないので、書き直すことになってしまった。
自分の限界を残しておくために公開しておく。18禁だからといって、期待して読むと、萎え萎えになっちゃうヨ。
 濡れたの。は、たまたま同じ場所で雨宿りをするはめになったふたりのお話。
雨に濡れた制服っていいじゃない。それだけで絵になるじゃない。大好きよ、あたし。
他にも、詰め込めるだけ萌える要素を詰め込んでみた。
題名で、ちょっとどっきり。でも、中身は淡泊、みたいなものが、この頃の主流。
 濡れるの。は、八十八駅で傘を待つ唯と、それを持ってきたお兄ちゃんのお話。
こちらは、個人的には珍しい、付き合い始めた直後の、しかも、らぶらぶという設定。
エンディングに書いてあるとおりの距離感だとしたら、こんなものじゃないかな、と。
ただ、思ったよりも恥ずかしくなくてがっかり。実は、未完成。
 未完成といえば、好きなの。-新婚組曲-。も、似た感じ。
もっともっと赤面系に進むはずだったのに、ずいぶんと試行錯誤して、違う方向に進んでしまった。
病院の屋上で、仕事中にふたりきり、という状況は、けっこうおいしいはずなのに。もったいない。
 ネットをうろついていると、会話だけの小説に出会う機会がけっこうある。
そういうのが好きでなかった理由は、不自然さが目立つから。説明文が多すぎるのが、特に。
けれども同時に、自分の究極の理想系が、会話のみのお話であることにも気がつかされた。
説明なしで、会話の端々で全体がわかるようなお話。難しいのは承知の上だけど。
 重ねるの。-新婚組曲-話すの。は、そういう意味での実験作。
ダーリンのお誕生日のお話と、お兄ちゃんでのお部屋での争いのお話。どちらも、手抜きにしか見えない。
というか、打ち込むことが本気で辛くて、さりとて、新刊がないのも困るので、出してしまったというのが真実。
露骨に、ヤマグチノボルや桑島由一の影響を受けているのが、この頃の自分っぽい。今もだけどね。
 M.M.G.最後のイベントに出したお話は、叶うの。
悲しいまでの唯の想いを、素直にすぅっと染み出せたら、と、基本に立ち戻ってみたお話。
そして、ボク色に染まって、歪んでしまった唯を、矯正するためにがんばってみたお話。
けれども、どちらも上手にはできなかった感じ。お話は好きなんだけど、課題は終えられなかった感じ。
残念。

 いつだってサヨナラは、同級生2以外で書き終えた、初めてのお話。
あかり、志保、浩之の三角関係のお話で、さほど明るくないのが、いかにも。
自分の中のTo Heartの印象が、正直に正面に出てしまった感じ。
特にあかりは、仮面の下でにやりと笑っているような、そんな女の子にしか思えない。
それと戦わざるをえない志保の苦しさといったら。
ちなみに、ボクはゲーム版は知りません。アニメ版しか知りません。
 太平洋。ネットをうろつけばいくらでも出てくる、チョコレートのお話。あかりと浩之。
会話部分と他を少し入れ替えれば、同級生2のお話にもKanonのお話にもなる。
そんな、汎用性の高い、いかさまチックなものを目指して作ったものの、あえなく自爆。
あかりの陰湿さと、唯の素直さと、名雪の國府田マリ子さが合致しなかったのが原因。
でも、世界共通の萌えは存在しているわけだし、できなくはないと信じている。

 とりあえず、こんな感じのお話たちです。お暇があれば、読んでみて下さいませ。


(2006.10/15 ホクトフィル)

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