●過去のDiary
- 4月26日「ザ・ダイバー」
- アメリカ海軍で黒人としてはじめて‘マスター・ダイバー‘になった伝説の男、カール・ブランシアの実話です。マスター・ダイバーとはなんぞやって感じなのですが、海に潜って物を探したり、排除したりする仕事らしい。この話の1950年から60年代にかけては、海軍の制度が改正になり人種差別排除の傾向に動きはじめた頃。しかし、現実はまだまだ厳しい壁があった。
小作農に息子に生まれたブランシアは、出世を夢て海軍に入る。父親は別れ際に「ぜったいに帰ってくるな、通例はやぶっていけ」という。
ようやくダイバーの養成所に入所を許されるが、そこに出てきたのがロバート・デニーロ扮する教官ビリーなんだわ。彼のしごきに耐え彼はダイバーの試験に合格する・・しかし・・・。怒りを覚えてしまうほど激しい拒否反応なんですよねぇ。人種差別が根本にある映画は多いですし、 そのいずれもが成功例としての感動を見るものをあたえてくれます。 ただ、ひとつひとつ取り上げて物語にできるほどそれは英雄的な状態で・・ 珍しいことなのだなとも実感してしまう。
ビリーが「黒人が安い賃金で働くから親父が解雇された」って台詞があったんですよ。だから黒人の存在を許さないって。それって完全に逆恨みなんだけど・・理由としては説得力あると思う。社会の仕組みとして安い賃金で黒人労働者を使うようにしているのは白人なんだけど…でも、それによって被害をこうむっている白人もまたいるわけかぁ…。そうなると堂堂巡りで、どうしようもないやんっておもっちゃう^^;
この映画、そんな差別に立ち向かうってだけじゃないです。海の男としての名誉や自尊心にうちだされた友情みたいなものもしっかりと書いてます。結局ビリーはブランシアのこと一人の男として認めざるを得なくなり、最終的には今度は、海軍の頭の固い上層部との戦いに同士として戦うふたりの姿があります。もうね、ジーンとこないわけないって(笑)。ここんとこコメディづいていたロバート・デニーロですが、今回は嫌味なおっちゃんを思いっきり嫌味に、そして、ダイバーとしての誇りをもった頑固な男として演じてます。その妻のシャリーズ・セロンがまた綺麗でしたねぇ。この女性の位置づけみたいなものが私にはちょっとわからなかったのですが、 形のいい唇に惚れそうになります(笑)
カール・ブランシアを演じた役者さんは、意思の強さを主張する目と愛嬌のある笑みが魅力的でしたねぇ。最初が17歳で最終40歳、違和感のないところがすごいっ。実際はいくつなんだろう。 黒人さんの年齢って分からないです(笑)。
ともかく・・・すごい人でした。実話ってとこがまた(-_-;)。 強靭な精神力と耐力の持ち主・・・ただただ感服!!。そして、 ひたすら祈ってみたましたっ^^;。むちゃつかれますぅ・・・ですが何かをやらなきゃって気にさせてくれそうな映画です。まあ、これをみて「願えば必ず夢はかなう・・自分のやる気次第だ」なーんて 安直希望を抱くことはできないですけど・・・。- 4月13日「ザ・メキシカン」
- ブラット・ピットとジュリア・ロバーツの共演なんていったらそりゃお客さんはいるよねぇ・・・話題の「ザ・メキシカン」の試写会行ってきました。
5年前に組織の大物(ボス?なのかなぁ・・)の車と衝突事故を起こしたジェリー。その大物は事故が原因で逮捕されちゃったもので(拉致した人間トランクに乗せていたんだって)、出所するまでって期限付きで運びやをやっている。しかーしこの男どーも、ドジくさいらしくて、何度もしくじっている。最後の仕事ということで、無理やり゛メキシカン゛という伝説の拳銃をメキシコまでいって受け取り、その持ち主をつれて帰ることを言い渡される。
ジェリーには一緒に暮らしているサマンサという恋人がいて、その前の仕事が終わったら足を洗い、一緒にラスベガスに行く約束だった。でも、メキシコに行かなくちゃならなくなったから・・・二人は大喧嘩・・・。喧嘩別れしたまま、ジュリーはメキシコに、サマンサはラスベガスに行 くのだが・・・”メキシカン”という銃には伝説があって、報われない恋のためにのろいをかけられた銃なんだそうな。装飾がとっても綺麗で、希少価値が高いのかいろんな組織から狙われてる(このあたりの関係図はちょっと分かりにくいです)。
伝説がね、語られる人それぞれでちょっと違うっていうのが、おかしい。きっと伝達段階でどっか違ってきたのでしょうね。語るのに回想シーンになるわけなんだけれど、昔の無声映画のような雰囲気があっていいなと思った。ブラットピットは、私のイメージよりもすごく幼かった。なんかまだ大人になりきれない雰囲気を残しているのがいいのだろうか。ジュリアロバーツはお得意の気は強いけどかわいげがあって憎めない女性。なんつーか・・これは二人のファン向けの作品だと思う。気楽に楽しめます。喧嘩はするけれど愛し合ってる二人。この二人の口喧嘩のシーンはすさまじかった(笑)。なんちゅう自己主張の強い・・ちょっと聞いていてしんどいところもあるけど^^;。
サマンサは結局ラスベガスに行く途中に、ジェリーが逃げないようにするためにリロイっていうおっちゃんに拉致されるんだ。私は、どっちかっていうとこのリロイ(あとで偽名だって分かるんだけれど)サマンサの二人のシーンの方が楽しめた。
拉致するものとされるものの関係なんだけれど、お互い恋の相談相手になっちゃってとっても仲良しになっちゃうし・・・リロイは心やさしきヒットマンだから・・・なんだか味があった。
あと、ジェリーがひょんなことで出会う、わんちゃん・・こいつが最高!!デス。- 4月10日「涙」
- 乃南アサさんの小説。
刑事である勝と萄子は挙式を目前にしていた。東京オリンピックの前日、特別体制のため仕事に出かけていた勝から電話が入る・・・「忘れてくれ・・」と。そして、勝は行方をくらました。 そして、先輩刑事の韮山の娘信子が乱暴され殺害された事件にかかわっているのではないかと嫌疑がかかる。
韮山は刑事をやめ、自分の手で裁くという。萄子は、そんな韮山よりも先に勝を見つけ出さなければ・・そしてなによりも、何がどうなってしまったのかちゃんと聞かなければと、勝を探しはじめる。話は、萄子が勝を探して真実をつかむまでが延々と書かれている。周りは、結婚前でよかったと・・・しかし、本人は納得がいかず、 探し出そうとする。彼女を見守る両親の忍耐や弟の成長(彼の成長が年月の長さを感じさせるの・・) なんだかヒトゴトじゃないように入ってくる。親としては、早く忘れて誰か他の人と結婚して幸せになってほしいのに・・・彼女もそんな両親のことは痛いほど分かるが、心配されればされるほどうっとおしいっていう気持ちもよく分かる。
そして、娘を殺された韮山もまた、真実を追っていくうちに、娘の意外な性格を知ることになる。これがまたなんとも・・気の毒で・・・ 「涙」という言葉がぴったりのお話^^;。
長編なんですが、萄子も韮山もこの事件を追いかける間にちょっとずつ変わっていく様子がわかり、事件の真相も気になるし、 二人の様子も気になると・・・中弛みせずつっぱしって読んでしまった。萄子の一途な思いはいじらしいが、なんとなく現実味のない話のようにも感じる。どうなんだろ・・・人は婚約者がもしかしたら殺人を起こしたかもしれないと疑われて、行方をくらました時・・・ここまでできるものかと・・・
それだけの激しい思いを貫き通す強さは、無鉄砲さからきているものだと感じるが、ちょっとうらやましい気がするな。 私ならきっと、忘れることができるかどうかは分からないが、周りを説得するだけの強さはないだろうから・・・(むちゃ現実に考えると、働かなあかんしねぇ・・・^^;この萄子さんはお嬢さんらしいが・・・)。
がっと一気に読み終えたあと、なんだかうらやましいと同時にこの主人公の性格にちょっとイライラしたりもちゃう話でもありました。 でも・・映像になっていたら・・・泣くなきっと(笑)- 4月9日「リトルダンサー」
- イギリスの田舎の炭坑の町の話、町は炭坑ストでざわめいている。組合員たちはスト破りをして仕事にでかけるバスを止めようとし、それを抑えようと警官が列をなす・・・
父親は炭坑夫、母親は亡くなり同じく炭坑夫である兄と祖母とで暮らしているビリーは、ボクシングをならっていた。ある日、そのボクシングをやっている隣でバレエのレッスンが始まった。ひょんなことからビリーはその中に混じってしまう。男の子はバレエなんてやるもんじやないって思いながらも、彼ははまってしまたわけだなぁ・・・なぜそこで先生は彼にやらせたのかは謎なんだけど・・・^^;
最初はボクシングに行くふりをしてバレエに行っていたわけだが、父親にみつかってしまう。父親は、 絶対に許そうとせず、あきらめようとするビリーに先生は彼に「ロイヤルバレエ学校のオーディションを受けなさい・・」と言う・・・大人たちが扮装をしている中、踊りながらかけていく少年。重苦しい現実の中でも子供は、いろいろな可能性をみつけていくもんだ。バレエの練習風景は、絵に描いたよう・・・(笑)。体育館にバーを置いて素朴な風景・・・。見よう見まねで必死になって踊ろうとしている姿はとってもほほえましくて、自然に顔がほころんでしまう。
父親に反対された怒りを踊りで表現するシーンがすごかった。体の中からのエネルギーが外にでていて・・・(なんでかタップなんですけどねぇ・・)。ビリーを誘った先生はなんだか正体不明(笑)。何者なんでしょ・・でも、ぶっきらぼうだけれどいい人^^;。娘とビリーの会話は小学生にしては怖すぎる(笑)
最初は猛反対をしていた父親が、息子が楽しげに踊る姿、はじめて何かをしたいという意思を自分にぶつけてきたことで、結局は折れてしまう。そして、自分の信念を曲げてでも彼にオーディションを受けさせようとする姿に感動せずにはいられないだろう。この父ちゃん炭坑夫にはみえなかったけど(笑)
ビリーのオーディション行きは町中の協力の上に成り立っていた。先の見えている炭坑の町におこったちっちゃな希望だったのだろう。人影のない 道端にいつもぽつんとひとりで遊んでいる少女がとても淋しそうで、町を表現しているようだった。ラストは、大人になって立派にダンサーとなったビリーで終わる。演目が「白鳥の湖」ってところもなんだかドラマチックでしたね。父親の涙がこれまた・・・いいもんでした。
- 4月6日「連弾」
- 土地持ちで働く必要がなく料理や洗濯が得意で専業主夫してるだんなと、キャリアウーマンの妻。 娘と息子の4人家族。
妻の不倫騒動からが勃発、結局破局となるが、約束していた娘の発表会での連弾だけはちゃんとやりとげたいという・・・
母親の不倫の現場写真を見せられて、嫌悪感をもつ息子と、父親の弱さにイライラするクールな娘。 アットホームからほど遠い家族だけれど、お互い求め合っているものはある・・・竹中直人主演、監督の映画です。前回の「東京日和」は、なんとなくなんだろなぁ〜〜ってな雰囲気が流れてまして不思議な感覚を覚えたものです。
何の番組だったかで、視聴者からの質問で「竹中さんの共演者はどうして美人ばかりなんですか」というのがあり、ひとりで笑ったんですが、確かに、中山美穂さん、沢口靖子さん・・好き嫌いは別にして、ほとんどのひとが綺麗だとみとめる素敵な女優さんです。 今回は、天海祐希殿ですからねぇ・・・
ゆりちゃん(天海)のふくれっつらから始まって、でっかい口でわらってる笑顔で終わるこの作品。 人の本能というか゛血゛というか・・・切っても切れないものの小さなジョブ攻撃されたようでほろりと感動した。
妙な間(笑)は竹中さんの間そのものだった・・・^^;。ここは笑っていいのか?と、とまどってしまう場面もあるが・・・、夫婦の破局という悲壮な状態をそのまま描くのは照れてわざとはずしているようなところがらしいと思う。
父親とそっくりな息子と母親の性格をもらったんだろうという娘の対比がおかしかった。 子供の方がまだ怖いものしらずなだけに速球で返してくるから、その一言にはたと慌てる図っていうのもなんだか現実味がある。
不倫して、開きなおって(笑)、かなり好き勝手に生きている妻なんだが・・・やはり母親の部分がちらちらと見え隠れする母の部分がいじらしい・・・。母親らしいことなにひとつしていないとなじる夫に「十月十日お腹の中にいたわよ、くやしかったら腹の中に胎盤しこんだら・・」みたいな台詞には、笑った(笑)。これを言われたら男は勝てないだろなぁ・・・^^;。気の毒だけど・・・
竹中さんは、怖がりのお金に細かい優しい男が似合っていた。不器用で、子供に対しても がんばってしゃべってるがどこか寒い風が・・・(笑)でも、ぼそっという一言がとてもよくて、 ラスト、息子の頭をなでながらの台詞はぐっときた。
ゆりちゃんは・・・きれいだった・・。久しぶりに派手に動きまわる彼女を見たよ。 華やかな雰囲気とたくましさが魅力的・・・。頭がよくて気が強い母親としてではなく、 一人の女性として娘はあこがれていたんではないだろうか・・。これだけ言われていても まだやり直そうと思える夫の気持ちが理解できるカリスマ性を感じた。
娘の夢の中でとんでもないかっこしてる時にゃぶっとんだけどねぇ・・(笑)劇場に入ると、どっかから男の歌声(つぶやき?)が・・。それが竹中さんの声だと気づくまでしばらく、ちょっと変わった人がいるのかとこわかったよ(笑)。映画の中でうたわれている変な鼻歌は、 竹中直人作らしい・・・。母と娘がソファーに座って歌う歌がミュージカルっぽくて好きだった。
- 4月3日「トラフィック」
- なにがすごいのか・・・でも、見終わったあとはぁ〜〜すごって思いましたよ。 いつもの映画と違う・・スケールを感じました。
先日のアカデミー賞を何部門か受賞した作品。しかし、よく日本で予想とかってやってるけれど、男優賞の とったラッセルクロウの「クラディエータ」を見たのは1年も前だし、「キャスト・アウエイ」は今上映してるし・・・ これはこれから・・・なんだか変な感じ。ただ、賞を取ると興業的にぜんぜん違うんだそうで(それでも、 映像とか衣装とか視覚的な賞をとっているものの方が日本では受けるらしいけど)これもまた、ヒットするのかな。
しかし、メキシコから流れる麻薬の流通社会を描いたこの作品、かなり奥深いというか、難解というか・・・ 誰もが楽しめるものじゃないと思う。日本でも麻薬組織があって、生活の中にはいりこんできているといっても、 まだまだ、普通に暮らしている人間がめったとおめにかかるもんじゃない。
映画の舞台となった場所にすんでいるかたがたには、もっと身近に感じるんだろうな。話の筋があっちこっちに移動していく。サンフランシスコ、メキシコのティファナ、シンシナティの3つの都市で繰り広げられる ドラマが、麻薬というキーワードでつながっている。
夫が密輸入の大物だったと、夫の逮捕後に知らされた妻。当初、ひとりでは生きていけないといっていたが、 生きるために子供を守るために、自ら夫と同じ道に足をふみいれる。たくましい・・・^^;
ドラッグを取り締まる警官、それを買収する組織。お金がうごいて、人の心がうごいて、裏切り、寝返り・・・ なんだかよくわからん(笑)。が、英雄が一夜にして逮捕され、裏切り者が英雄に・・・すべて紙一重、人の心の 弱みにはいりこんでくる。
麻薬取締りの最高責任者、仕事として戦うが家庭でも戦っていた。優等生だと思っていた娘が、麻薬におぼれていく。 簡単に売買されている現実を目の当たりにして、悩む男。ひと波乱ののち立ち直ろうとする娘を横にして、 「聞き役です・・」その言葉に人とひとのつながりの大切さを感じた。
麻薬取締りの未来は明るいとは到底思えない現実の中で浮き彫りにされるのは、人の脆さ・・・ずるさ・・・たくましさ・・。 でも、人はそれだけじゃないってこともきちんと感じることができて、後味はよかったです。