●過去のDiary
- 6月15日「東亜悲恋-トウアヒレン-」
- 日韓合同開催のWカップ中にやってるこの作品も、日韓合同作品ってわけでして・・再演ですから、もちろん狙ったものなんでしょう。 Wカップを境に日本と、韓国の密度がいい意味で深くなることを願ってってとこでしょうか。
日本と韓国が決勝にこまを進めた次の日にこの舞台見てきました。もちろん最後の挨拶で話題になってましたが、 これで、どちらもが負けていたり、どちらかだけが勝っていたら・・・複雑だろなぁ(笑)さて、舞台ですが・・・。
W杯に沸く韓国にスポーツ記者井原が取材にやってきた。そこで、 通訳のアルバイトのミナと出会うんだが・・
なーんでか最初っからけんか腰の二人(笑)。日本のこと嫌いなのに通訳しているとかなんとか(そりゃ、ミナの台詞どおり お金いるのなら仕事としてするでしょ)つつかかるし、ミナはミナで、私は、ダンサー希望でバイトしてるって話したのに、 何も話してくないっていきなり キレて・・韓国語でまくしたててる、まずこのやりとりに疑問。なんで初対面のふたりがこういう展開になるのか・・ 思いながらみていると、井原はミナにつれてきてもらった球場で、彼の高校の同級生で同じ野球部だった、在日韓国人の岩本のことを話し始める。岩本くん(この人ものすごく野球は上手い)は、 在日韓国人であるがゆえに、差別を受け続け、野球で食べていくために甲子園を目指す彼が 先輩のしごきにも耐え、井原たちと、不器用な友情を作っていく。 岩本君とその妹と井原の初々しい恋物語なんかもあったりして・・・
しかし、新山という先輩の逆恨みにより、妹が襲われ、それに逆上したふたりは、新山を 殴ってしまう・・
高校球児にゃご法度のだわなぁ〜。結局、岩本抜きで戦った野球部は、負けてしまい、岩本は行方しれずで、 そんなこんなで井原くんは、野球が嫌いになったってわけなんだが(野球が嫌いというよりも、 野球から当時のことを連想していまうのがイヤなんだろなぁ〜)・・・。観劇中は、そんなに気にならなかったのですが、 こうやって、頭の中で整理すると、ごちゃごちゃになる舞台だ。ふたつの話がまじわってくれない。 井原とミナの恋が最初うまくいかなかったのは、野球のお話とは全然違うわけで・・・。 はっきり言って関係ないもの。これ、どちらかに絞った方がよかったような気がしますねぇ・・。 別にミナと恋人のならなくても良かったのでは?
一番よかったなぁ〜って 思うのは、岩本君と井原君の10年後の再会(彼は事件のあと、 韓国に渡っていたんだなんで、野球場で再会するんです)シーンかも。別に岩本君が日本人であっても、成り立つお話だったりするんですよねぇ。 そりゃ、韓国人であるということで、差別を受けてきたということがあっての、岩本君の性格であり、 内野君を含めた3人の友情のお話はいいものだったのです。
でも、恋物語を前面に出したいご様子なんですよねぇ〜(笑) なんたって「東亜悲恋」ですから(「東の亜細亜の悲恋」ってことなんでしょうねぇ。でも、なぜに悲恋?)。
井ノ原君は、「なんで俺だけが許される」その思いが重しになってずっと迷走していたような青年がはまっていた。 日常がそのまま舞台にのった感じの 自然な演技が好感もてる。
ミナ役のシューさん。日本語は上手だけど、演技はどうなんだろ。日本語に心をこめるのは難しいのかな。 言葉は分からなくても、韓国語で話しているときの方が心が伝わるような気がしたの。 なんで赤いひらひらしたワンピースきているのかは謎でした。
岩本君役の子は、大阪弁が自然で助かった(中にゃ妙な関西弁になってる人いたし・・なぜか井原くんは標準語だった) 。一番高校野球児にみえた(笑)。「知らないことがいっぱいある」にうなづいていた私。
そりゃおおざっぱには知ってますよ。でも、理解していると人には言えないや。この間からこんなんばっかだ^^;。
これ見てて、ほんと難しいやぁ〜って思ったのは事実。好きな国かとかどうか考えたことなかった。
韓国が北と南に分断されたのは日本のせいなの?これちょっとひっかかりましたね。
確かに過去において、日本は韓国の人に悪いことをしているけど、秀吉の朝鮮出兵まで持ち出されたらたまらないぞ(笑)。
植民地支配をされた国は、他にもあるだろうが、そのかつて支配していた側とされていた側の様子はどうなんでしょうね。 解決しているのかしら・・。- 6月12日「マジェスティック」
- ハリウッドで脚本家をしてたピーターは、共産主義者として聴聞会にかけられようとしていた。 もちろんそれは、本意でない。あせりを感じながら車で走っていた彼は、事故を起こしてまう。
車ごと川に転落し、頭をうちける。そして、目を覚ました時には、見知らぬ海岸だった。
そこは小さな町。彼は、記憶を失っていたが、助けてくれた人や入った店の定員がみんな 「どこかでみたような気がする」という。
そう、 9年前に戦争に行ったままになっていたルークにそっくりだったのだ。
自分はルークなのかと自問するが、周りはみんな「帰ってきてくれた」と喜んでいる。 恋人であったアデルさえも・・・
そのうちに、ルークの父親がしていた古い映画館を復興させる。 彼は戦争でたくさんの若者を失ったこの町の希望になっていた。「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」といった穏やかに奇跡と感動を与えてきた監督の作品。 それでこれもまた・・と聞いていました。「グリーンマイル」はラストが、 なんだか残酷だなぁ〜という印象があってそんなに印象的ではないが、ショーシャンクは好きな作品です。
ちょっと期待していたのですが、私の中では消化不良気味。
ピーターが死んだはずのルークに間違われて、そのまま過ごすうちに、 町に活気がもどり、人々の顔があかるくなる。彼に対する周りの人の期待はものすごかったのだ。
それだけに人違いだったと分かった時の反応は暗いもの・・・・それが、彼の勇気ある行動で また希望を持ち直す・・・。
町のひとたちがとても優しくて、いいひとばかりだから、いっしょになって喜べて、 いいのですが今ひとつ、なにか足りないような気がする。
私には、希望を描いた作品ではなく、ピーターというひとりの若者が、 彼の台詞にもあった「信念をもたなかった」彼が、ルークを愛する人たちと出会い、 ルークの意思を感じて、ひとまわり大きくなるというの成長物語のように 感じた。ピーターはジム・キャリー。コメディ俳優というイメージが強いが、なかなかよかったかな。 この方、目がガラス玉みたいで人形っぽいんだなぁ〜〜。
ルークの父親、デニスの父親、彼を助けた医者、クラリネットをもらった少年、 人生を一生懸命生きている人たちの 姿が丁寧に書かれているのは見ていて楽しかった。- 6月11日「陽はまた昇る」
- 1970年代、日本ビクターの中のVTR事業は赤字続き、本社自体もいい状況ではなく、 リストラを余儀なくされていた。
そこに、加賀谷が部長として人事異動でやってきた。
技術屋で、家庭用ビデオカメラの開発をしようとしていた加賀谷は最初抵抗を感じるが、 隅に追いやられたVTR事業部の部下を守るためには、家庭用のVTR機の発明しかないと、 極秘で開発を始める。
しかし、その間に、ソニーが先に「β」機を発表した。
他社も家庭用ビデオ産業に乗り出す。VHSと名づけたピクター製のビデオ機が完成した頃、 いろいろな規格のものを一本化するという 通産省の力が動いた。そして流れは「β」の方に・・・夢を持ち、それを自分の力で可能にした男たちのお話。派手のある映画ではないけれど、 やはり逆境の中、がんばる姿はいいものだ。
1970年代の日本かぁ・・こういう電気釜あったねぇ〜なーんて、 ちょっと前の日本が懐かしく感じる。
そして、私たちが普通に使っているVHSの誕生の裏話は、 えらい波乱万丈だったんだ。ベータビデオがどこかに行ってしまった謎も解けた(笑)。 家にビデオが入った頃にゃVHSが主流だったもの。
んで、ビクターってどうも音楽業界のみって感覚があったので、 ここが、世界に出回るほどのVHSビデオ機を開発したとはちょっとビックリでした。
加賀谷部長の人柄と踏ん張りもすごいなぁ〜と思うが、それよりもトップにいた人たちの 判断力も素晴らしい。VHSに限らず、戦後の日本でいろいろなものが 開発されてきた裏側にはひとつひとつの話があるのだろあなぁ〜。
ラストシーンはあれは実話なのかしら?ちょっと やりすぎのような気がした(実話なのだとしたら、ものすごかったんだなぁ加賀谷部長の人望って)。 まあ、つられて泣きそうになりましたケド^^;自分の山は自分でみつけて登らんとあかんってことかぁ〜・・・しみじみ。
- 6月8日「幽霊はここにいる」
- 安倍公房作、鴻上尚史演出で、 池乃めだか、橋本じゅん、北村有希起哉、西牟田恵、谷原章介、木野花という個性的な方が一杯 出演している舞台みてきました。
詐欺師の大庭は、ある日友人の幽霊と旅をしている深川という男と出会う。 幽霊を信じたわけではないが、その幽霊が、身元を捜していると聞き、大庭はそれを利用して 商売をはじめる。
その商売は予想以上に繁盛し、最初は死人の写真をもとにサギを働いていたのだが、 幽霊が探偵をするやら、治療をするやら・・・・どんどんとエスカレートしていく。始まる前、ずっとにぎやかな音楽が流れていた。 いきなりスクリーンが現われて「幽霊はここにいる」とテロップ。傘の洪水・・・。 カラフルだぁ・・(笑)。
すごく人のいやらしい部分が前に出た作品で、みていてちょっとうぅ・・とうなりたくなるとこもアリ(笑)。 詐欺師の頭の中はすごいとおもうよ。ころんでもただじゃ起きないって感じ。
ところどころに入る歌みたいなものはテープかな?鋭い歌詞だったようなんだが、 聞き取りにくかったのが残念。
休憩なしの2時間、走り詰めって感じの舞台。テンポがあって飽きなかった。 まあ、ところどころに吉本ギャグが入れてあるのはいるのかいらないのか・・・個人的にゃなくても 充分におもしろかったと思うのだが(話してるだけでおもしろいもん)。 なかったらやはりお客さんは物足りないのかな。
真相をあばこうとする新聞記者の橋本じゅんさんはあかわらずテンション高いわ。 ラストちょこっとだけ台詞あった「いい声の男」は、とっても背が高くてかっこいぞ(笑)。とってもカラフルな衣裳。娘の衣裳だけが白くて・・・その中で、周りにまどわされずに真っ直ぐにいる心うちを 現わしているようだった。
しかし、この衣裳と戦争云々の話が(その幽霊さんは、兵隊さんで、戦場で深川と一緒に戦っているうちに、 彼だけが死んでしまったらしい)ちょっと妙に思える。そう、この話ができたのが 40年以上もまえ・・ふたりの過去の話を除けば現在でも充分普通のお話。
人間の本質、そして悪事って・・・根本的にゃかわらないのだなぁ(笑)。「ごあいさつ」として入っていた 鴻上氏のメッセージ。 あのオウム真理教の広告宣伝部長を、公演でみかけた時の話なんかも書いてあったんですがね。 ものが何であれ「やることがはっきりしていて、それ以外やる必要がない」状態は安心で平穏がある。 っていう一文にね、なーんかすごく共感してしまいました。
- 6月7日「海は見ていた」
- 黒澤明監督の幻の作品らしい。んでもって最初で最後のラブストーリー・・・。といわれても 私にはピンとこないんですけどね(笑)。そっかぁ〜って。
山本周五郎の「なんの花が薫る」「つゆのひぬま」の短編2本をつなぎあわせた物語。
深川のはずれの岡場所「葦の屋」が舞台、そこには4人の遊女がいる。 姐さん分の菊乃は、ひものような男に貢いで、吉原から身を落としていた。 年の一番若いお新は、器量はよいがすぐに客に惚れてしまう。そんなお新におかみさんも菊乃も 「客に惚れてはいけない」という。
ある夜、一人の若侍がやってくる。喧嘩をして追われているというのを、お新たちの機転でかくまう形になる。 真面目な侍は、その後もちょくちょくとお新のもとに通うようになり、 菊乃らは、ふたりがいっしょになってくれれば。。と願うのだが。この試写会、舞台挨拶つきでして・・・熊井監督、清水美砂さん、遠野凪子さんがいらしていた。 熊井監督は、みょうなボケ具合がマジなのか、計算なのか・・(笑)。 笑わせていただいた。かなり高齢のようにみえるけど、監督業は体力いるだろうからお元気なのだろうなぁ と、考えながらみていた。
あとの2人は、着物の生地を使ったようなドレスで、きっと柄違いなのだろう。 色合いでずいぶんと違った印象を受ける。
清水美砂さんは、オリエンタルムード満点で・・このような舞台挨拶は手馴れているご様子。 なんでも、この撮影中は3ヶ月のお子さんと一緒だったそうで・・。 合間に授乳していたっていうからすばらしい。それだけに女性らしいラインをみせられると(笑)。 確かに・・・(^^ゞ。
遠野さんは、かわいらしかった。白塗りしなくてもOKなんじゃない?ってぐらい色が白くて、 若いなぁ〜と。話の中では2人の男を好きになる。最初 そんなに早く切り替えられるものかと悩んだらしい。二人目の良介を演じる長瀬さんに 「あなたを好きになることはできないかもしれない」と言ったというから・・びっくり。
撮影にはいると不思議に、ちゃんと好きになれたらしいが・・ほとんどが「葦の屋」の中の出来事で、人情味たっぷりのお話。遊女の話というにはかなり地味で(笑)、 ほのぼのとした感がある。寒い夜、もうお客はこないだろうからと、おかみさんと みんなでコタツを囲んでいる図はなんだかいいなと思った。
そこになじみのお客もやってきて・・。雇主と雇われる側というよりも、 家族のようだった。そんなだから、お新ちゃんの恋にも、みんなが親身になっていくんだな。
まあ、結局は早合点のようでかわいそうだったのだけれど・・・
遠野さんのお新ちゃんは、かなり情が深いのでしょうねぇ。 自分も苦労をしているのに、苦労している人をみるとどうにか助けてあげたいと思うようで・・・。
最初はせつなーい気持ちになってみていたんですが、この子ってこれの繰り返しだった?・・と思うと それじゃ身がもたないんじゃないのぉ(まわりも)〜でしたね(笑)。この話じゃラストはそれがいい方向に むいたけど・・・。なーんて思いながら、なんでこんなドライに考えてしまうんだ・・と自分がいやんなるわ(笑)。
初々しさと、そういう世界にある程度いる手馴れた感がいい感じに合わさった微妙な色気が、 男はそりゃ惚れるだろってぐらいかわいいお新ちゃんでした。
「江戸の粋」をみてください。ご本人は話していたが、菊乃姐さんはかっこよかったっ!。
キっとにらむと怖いけど(笑)。ラスト近くはこの人の独壇場。
洪水の中、逃げ場を失っているのに一番いい着物を着るんだよって・・・キリとしてるんだもんなぁ〜。男性陣は、長瀬正敏さん、吉岡秀隆さん、奥田瑛二さん、石橋蓮司さん。隠居さんの 石橋さんがいい味出してました。どの男性に一番共感しますか?との問いに「誰も」と監督は答えていたけど・・・ 納得ですな(笑)
この時代の遊女の着物ってかわいいんですよねぇ・・。すごい柄ものを重ねてあったりするのですが、 妙にそれがマッチしていて・・。こういうの見るのも江戸ものの作品をみる楽しみです。
でも、祭りのシーンなんかで、昼間に白塗りの顔が一杯あるっていうのは。 ちょっとこわいぞ。
車も走っていなくて、静かな町の中。こういう時代もあったのだなぁと思い、人の手ですべてが行われていて、 不便ではあったけどのんびりしていていいなぁと思う。まあ、あの中じゃ生きていけないと思うけど。
ラスト近く、洪水で水が上がってきて屋根の上に逃げているのだけど、そこには 満点の星空。ファンタジックで綺麗ではあるけれど、 人の心が描かれている人情感溢れる作品の中で、これはちょっと綺麗すぎ。 嘘っぽくって、どんどん気持ちが冷めていってしまった。菊乃姐さんいい顔してたんだけどなぁ〜。