●過去のDiary
- 7月29日「神様のボート」
- 「必ず戻る」と言って消えたパパを待つために、引越しを繰り返す。 ママが言うには「骨ごと溶ける恋」の末草子ちゃんは生まれたそうな。 そして、ひとつのところに馴染んでしまったら・・・きっとパパとは会えない・・と。
なぜ引越しを繰返すのかという草子の問いに「神様のボートに乗ってしまった」と答えるママ。 風のように、猫のように生きる母親 葉子と、成長していく娘の姿がそれぞれの 言葉でつづれられている。江國香織さんの小説です。
江國さんはかなり人気のある作家さんなんだけど、私はほとんど読んだことがなかった。 ぱっと思いつくのは「きらきらひかる」ぐらいかなぁ〜
いつも本屋さんでいいなぁと思っているし、友人がとってもいいと 後押ししてくれていたのだけれど・・・。恋愛小説が多いってイメージがあるからかもしれない。この母親の葉子さん。草子ちゃんの父親とのことは、 かなり漠然とした形で語られていて、最初は気になって仕方がない。 ただ、「どこにいても必ずみつけだす」という言葉を信じて待っているという。
ロマンチストで、ちょっと非現実的。散歩が好きで、気がつくと何時間も歩いてしまうような危なっかしいくて、 別に精神的に病んでいるわけではないけれど、自分の世界に生きている。
なんなんだろなぁ〜。こういう危なっかしい主人公に惹かれてしまう。
どこか、どこにも根をはらずにふわぁ〜と生きたいとあこがれるからだろうか。 それでいて、実際はどこにも行けない性分だからなのだろうか。そして、こんな風に一途に人を愛せたら・・と あこがれるからだろう。
ただ、とても自由だということはすごく強くなくちゃいけなくて、孤独だ。 こんな生き方もいいなぁ〜と思いながら読んでいたが、途中くらいからとても悲しくなった。 ラスト近くは泣きそう^_^;
そんな母親とは反対に、だんだと現実を生きていこうとする草子ちゃん。 時間の流れとともにあたりまえのように、大人になっていく様子が書かれている。
母親は変らずに、「神様のボート」に乗りつづけようとしているのに、降りてしまう娘。 それぞれの言葉で同時間が語られるから、その対比が面白くて悲しい。他の小説も読んでみたいなと、はまりつつある自分が居ます。
- 7月20日「白夜行」
- 東野圭吾さんの小説。
本格的な推理小説から、「秘密」なんかのちょっとファンタジックなもの。どういう作風と片寄らない東野さんですが、 どこかに人の心の落とし穴みたいなものがちょこっとひにくって書いてあるんだなぁ〜と、 この本を読んでから、今までの作品をもそう思ってしまいます。
そのぐらい、あとがきを書いてらっしゃった作家さんの言葉を借りれば「とことんダーク」な作品でした。大阪の廃墟のビルの1室で男が殺された。彼は質屋の主人で、死ぬ前にはかわいいお菓子を買って、 100万という大金を銀行から下ろしてきていた。発見者は近くに住む少年。そこは、 少年たちの遊び場だったのだ。
結局お宮入りとなったその事件だが、それをしつこく追う刑事が一人・・・。そして、その刑事が 気になって仕方がない、被害者の息子「桐原亮司」と容疑者の娘「西本雪穂」。
それぞれの別の道を生きていく二人だが、それぞれの生活にはどこか不可思議なことがあり、 ふたりの接点が見え隠れする。見えないところで精巧になされている事件・・。うまく世間を欺いていく欺き方が半端じゃなくて怖すぎます。
その事件後の19年間のふたりの生活を追っていくという形をとっている。 決して、その事件を追いかけているわけでなく、 ふたりの様子は、いつも一番近い友人の言葉により語られ、 読んでいる方は最初事件とはなにも関係のない、ただ漠然と彼女らの学生生活の話を眺めているような感覚になる。
ただ、時期を追って話が一区切りする毎にだんだんと、背筋が寒くなるような感覚になり、 途中すごくいやな気分になってくるんだなぁ〜。
華のように華やかな生活を一見送る雪穂には闇の部分がほとんど見えない。 それだけに、その闇に気がついた時には倍ぐらい冷たさを感じる。反対に亮司はずっと得体がしれない。
小さな頃の出来事が、つくる闇の部分。実生活でどれほど成功を収めても 「私の人生は白夜の中」という雪穂。
幼い頃に、愛されて育った子供は、どんなに道を踏み外すことがあっても 何かのきっかけで立ち直ることができる。そんな言葉を漠然と思い出しながら読んでいた。 その逆は・・・と/(・_;\。- 7月12日「猫の恩返し/ギブリーズ」
- すっかり名作づいているスタジオジブリの2本立ての作品の試写会をみせてもらいました。 昨年の「千と千尋」ですっかりファンになってしまったようです(笑)
「ギブリーズ」は、うーーん(-_-;)。よくわかりませんでした。 短編アニメ集のようなものでしたが、会場で沸きおこっていた笑い声とは裏腹に・・ どんどん沈んでいく私の心・・という感じで(いろんな笑いもありましたケド)、「猫の恩返し」の方が時間的に短くて、1本にするのはちょっと・・という感覚で放映されたものとしたら・・・いらないかも(笑)と思ってしまいました。 子供も多くみるんだよなぁ〜?みたいな部分もあったりして(考えすぎかしらん)。
その中で、ほのぼのとした、初恋の思い出みたいな題材のものはかわいかったです。めがねの君は、 目がないのがツボでした。「猫の恩返し」の方は、もぉ。。かわいいーてしゃーなかった。
ハルという高校2年生の少女が、一匹の猫を車から助けたことから始まる物語。 その猫ちゃんいきなり立ち上がってお礼を言って、おじぎしていくんだよぉ・・・
その次の日の新聞で、どこかの試写会で、このシーンで子供の声が聞こえて、いけると思ったという監督の 談話が載っていましたが、ほんと、このシーンはいい意味で衝撃的ですね。 そしてまたかわいいのぉ〜〜。
バロン男爵はいつもかっこつけてて・・・かっこよくて、ぶたのように太った猫ヌタは、柄は悪いけどいいやつ。 猫の国の王様は横柄だけど、どっか抜けてるし、王子様はとってもいいひとだったりする。 猫の国では猫は2本足で立っていて、心優しい白猫ゆきちゃんは、いつも手を横にふって走るんです。 それぞれのキャラクターも最高です。
主人公のハルはとっても優しい女の子。でも、優柔不断で、ちょっとお人よしすぎかな。 そんなんだから、猫の国もいいかもねぇ・・なんておもっちゃっての大騒動。バロンは 自分の時間をしっかり生きていれば何にも怖がることはないっていうけど・・
どうしても、心がゆれてしまうみたいで、そのたびに、ハルの姿が猫に近づいていく・・ ってなんちゅう分かりいやすい(笑)。そんな流されるのではなく、自分の時間を大切に・って主題も 分かりやすかった。映画の規模としては、そう大きくなく童話の粋を出ないものなのでしょうが、 何も考えずに童心に返れる映画で好きになりました。
- 7月8日「海辺の家」
- 「あと3ヶ月あるから。。。家を建てよう」そんなキャッチフレーズをどこかで聞いたような気がするが どこだったのだろうか・・・?
42歳のバツイチのジョージ。20年間勤めてきた職場を突然解雇され、その帰りにぶっ倒れる。 診断は、ガン、あと3ヶ月というところ・・・
自分の人生のラストに彼は、家を建て直すことを決意する。10年前に離婚した妻コリーンのもとにいる息子サムと一緒に。 最初は嫌がっていたサムを無理やり家に連れてくる。 ドラッグをやり、化粧をして、顔にピアスを開けるそんなサムに、 「幸せそうにみえない」というジョージ。サムは悪態をつきながらも、次第に手伝うようになる。
コリーンは、再婚して2人の息子がいるが、ジョージとは反対のスマートな旦那様とは、 どこか心がすれ違っていることを感じている。最初はサムが心配で様子を見にきていたのだが、 ふたりの思い出の家が壊されていくのを見て、一生懸命に作ろうとしているジョージをみて、 冷めていた愛情が復活するのも感じていた。
家が出来上がるにつれ、いろんなものの角がなくなって、まるい空気が漂うように なるのだが・・時間は残り僅かになっていた。うわさ通りの素敵な映画で、みれてよかったなと思う。残り少ない人生で初めて息子と、人と、向き合おうとするジョージ。 人は、案外簡単にいつでも変えられるものなのかもしれないなぁ〜。
高級住宅地の中のボロ屋を立て替えるのだが、この場所がいい。海が横にあって、 日当たりがよくて・・とても綺麗。
最初は一人で・・それにサムとサムの幼馴染のアリッサ(この娘もいいかげん大人をというか男をおちょくっていたよなぁ(笑))が加わり、コリーンとその息子たち・・・その様子をみていたら、 人がこの家に集まってくるのが自然に思えた。
人の輪って不思議なものだ。息子のサムに今話題の「スターウォーズ・エピソード2」のアナキン・スカイウォーカーに抜擢されたヘイデン・クリステン君。そっちの映画はみていないのでCMの印象だけだが、若かったのねぇ・・・
そして、なーんて綺麗な顔しているんでしょ。最初は反抗して化粧なんぞをしていたりするのだが、 似合いすぎ(笑)。このままおっさんにならないでほしいタイプです(笑)。
そんな外見が、線が細くてど傷つきやすそうな繊細な少年役がはまっていた。家の解体から、家を作る工程、ジョージが断崖から飛び降りるシーンも含めて、ジョージ役のケビン・クラインは、 スタントなしでやる意気込みようだったそうな。。。
試写会だから、前知識の段階でそういうことを教えてくれるが・・それって必要なのかなぁ〜と思うことがある。 屋根をつくっているジョージをみながら 説明を思い出してしまって、こんなところでそんなこと考えなくてもいいよなぁ〜と思った。
意気込み=映画の出来とは関係ないと思うし・・。 (そりゃものすごい場所であっぱれとは思いますけどね)、 どちらかというと荒い性格のジョージが、時折みせる穏かな表情や苛立ちは、そんな飛び込むシーンがスタントであろうとなかろうとどーでもいいぐらいのものだったのだから・・。バラバラだった家族がまとまっていく様子もいいのだけど、最初に病院でジョージが医者に頬をなでられて、久しぶりに 人のぬくもりを感じたとつぶやくところが好きだった。たぶん、それが彼は変わろうと するきっかけになったのだろうと思うと、人のぬくもりって不思議だなぁ〜と思う。
ラストはもちろん悲しくて・・でも、優しい気分になれる映画でした。- 7月6日「さよならの城」
- 寺山修司原作で、少女のために書いたっていう詩集を集めてのミュージカルだそうです。
寺山修司さんって耳にはよくするのですが、未知の体験でしたねぇ。 舞台の上の世界もホント未知の世界(笑)。 プログラムなんかを見ていると、アングラ系のお芝居とエンターテーメントが合体したとありましたが、 ほんとそんなぐちゃぐちゃな感じでした。
舞台には、その詩集についているイラストを書いていた方の絵がいくつか。かなり個性的で、 でも、その絵をみると知っているなぁ〜ってよく見かける絵でした。その詩集がいくつか並んでいたりして、好きな 人にはたまらないのではないのでしょうか。
ただ、1本の筋書きのあるドラマがあるわけではなく、 理解しようと頭で考えても疲れるだけで無理です(笑)。かなり哲学的なコトがぐるぐるまわっているし・・ 「さよなら」にしても「恋」にしても、言葉にすると難しいことについて語っていますから。
詩というある意味抽象的に表現してある世界を、これまた抽象的にした舞台というのが印象かな。
ほんとちゃんとはわからなかったんですが・・・嫌いじゃない(笑)っ。 出演者ののんちゃん(久世)が、言葉が綺麗って言ってましたが、 そのまま耳にするとすっと無理なく入ってくる感じがするところがいいのかな。
観客参加コーナーが途中にあって・・・これがまたすごいテンションで。 お疲れモードでなくても私はついていけないのですが(観客の半分はついていってない気も。。)、 多少?マークを飛ばしてみていた前半でしたので、このコーナーで頭がすっきりしてよかった(笑)。
後半は、この舞台の雰囲気に慣れてきたのか、 それぞれのシーンのつながりを無視して楽しむと、ここ好きだなぁ〜っと思えるシーンも あって嬉しかった。
休憩なしの2時間の舞台。すごく長く感じたのはいろんなものが詰め込まれていたからかもしれないなぁ〜。 もう少し小さな劇場の方があっているかな?という舞台でもありました。キャストは久世星佳、舘形比呂一、NIROを前面に押し出しての宣伝でしたが(笑)、いろんな個性がそのまま板の上にのっかって、それがけんかせずにそこにあるところが不思議でした。
開演前から、タテさんは自分で「タテ様」って(笑)、綺麗なふたりがナルシストに語っていて、 びっくりするやら笑えるやら。
タテさんの舞台はちょくちょく見ていますが、声を聞くのが久しぶりのような気がします。 でも、どこにいても。。。この人ってぇ〜〜(笑)。
踊りだすと自分の世界に入ってまして・・・すごいですわ。スカートひるがえして踊るのは みていて好きなんですけどぉ・・なぜか絶対それを剥ぎ取ってしまわれて^^;。それがイマイチ?かも。 赤いドレス似合っていたのになぁ〜
ポストに手を突っ込んでもだえる姿がツボにはまりました(^^ゞ
ダンサーのお二人に比べると、のんちゃんは格段のあつかいで・・・久世ふぁんにゃたまらない七変化ものですね。 そぼくな青年から、かわいらしい女性、タキシードでダンスは踊るし、 女王さま状態で、ロックを歌う・・。タテさんとの漫才っぽいシーンもありの、 素の感じでの日記の朗読もあったりして・・・
退団後歌っているのをみるのは初めてですが、変らぬ歌声というか、在団当時よりも力みがなくて前に声が出ているような 気がしたのは気のせいか・・。
この方ってほんと、気構えの見えない方で・・・寺山さんの詩のようにすっと入ってくるところが不思議。 癒し系っていうのかなぁ〜
役づくりに関しては特に何もしないこと・・と語っていたように、そのまんまのいろいろが素敵だった。 男役なんぞをしていることもあって、どーしても、昔を思い出しながらみていたところもあったのですが、 変らぬ部分と、確実に年月が経っている部分のバランスのよさがありましたね。
NIROくんに「本当に宝塚ですか」といわれてましたし、宝塚に居た頃は特別華やかなタイプではなかったはずなのですが、 やはり大劇場で多くの人を前に、強いライト中で仕事してきた人のオーラを感じました。
タテさんの集客力とはまた違うし、台詞の伝え方も他の方々とはどこか違うんですよねぇ・・・。 進行していた方もすごく説得力のある話し方をしてらっしゃいましたが・・
日記を読むのんちゃん、かわいかったぁ・
NIROくんは、始めましてでしたが、とっても顔が小さくて・・おそろしく腰が細くて・・・おもしろかった(笑)。
この3人のバランスはとってもよかったのですが・・・。 他の方々に比べてでかかったぁ〜〜。そりゃま、のんちゃんが小さく見えるぐらいですからねぇ。「初恋の人の名前は?」と聞かれて答える観客。初恋かァ〜どれがそうなんでしょねぇと思いつつみてました(笑)。 ラスト、観客と一緒に大写真大会・・とのせられて、舞台に上がるジブン(^^ゞ。
あの状態じゃ写ってはいないでしょうが、舞台の上にのるなんてめったにないもんで、探検気分で楽しかった。 しかし、その間に出演者の方は、舞台から降りていて・・客席のうしろからバイバイと手を振られて 去って行ってしまいましたっ。